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短いスケールのベースの新鮮さと感じる可能性。

【何が出来るか何を楽しむかで化ける】


「あれ?何か小さいケースがある?ウクレレ持ってきたんですか?」
「うぉ!知らないベースだ!可愛いっすねそれ!って5弦だこれ!」

先日、音楽教室の生徒の方が、ミニサイズのベースを持ってきてくれて、時間を忘れて楽しんでしまった。

ショートスケールなんてものではなく、ギターよりさらに短い、とにかくコンパクトでびっくり。ケースを見ただけでは、ベースが入ってるなんて信じられない。

こんな楽器が出てるのかと驚かされた。


そして見てビックリ、弾いてビックリ、オモチャ的感覚とは異なる新鮮な楽しさに浸れてしまう。ミニベースとは言ってもなんと、ローBを張ってる5弦。しかもPUは、プレベタイプ1発と来たもんだ。

へたに器用バリバリ、本格路線なんてのより、よっぽどベースらしくて好感持てる。可愛らしいサイズ、印象から一転、なかなか硬派でストロングな仕様じゃあ~りませんかと。


ヘッドホンアンプでの使用だった為、でかいアンプを通したらどうとか、バンドでどうなのか、その辺については答えられない。

張りが弱い、ピッチが甘い、音がなかなか伸びてくれない、そういうのも言わずもがな。欠点を見ようと思えば、いくらでも出てくるのも間違いない。


しかしま~、そんなマジモンお説教モードに今なってどうすんねん、何か楽しくなるんかいな、弾けば音出まっせと、セルフツッコミかましたい気分にさせられた。

そのミニベースに求める要素の全てに「メインベースと比べて」が付くと、如何にバカバカしい要求をしてるかが分かる。

「メインと比べて量感が足りない!」
「メインと比べて音が伸びない!」
「メインと比べてピッチが甘い!」
「メインと比べて体に馴染まない!」
「メインと比べてメインと比べてメインと比べて!!」

「別の楽器だよ!!!」

違って当たり前やんけと。


逆に言えば、それら全てが強みになる、新鮮な感覚になると考えてもよい。

「量感が足りないかなぁ?でもそのチープさが良い!」

「音は伸びないかなぁ?でもハマる曲は絶対ハマる!」

「ちょっとピッチ甘いかなぁ?でも何か味があるな!」

「さすがに小さいかなぁ?でもおもしれ~!何かかわいい~!」

考え方次第で、メリットに転換できる。

認識、脳ミソをちょっと変えると、一気に面白くなっていく。


【音が弾む  弦がたわむ  発音が変わる】


メリットとデメリットは表裏一体。素晴らしい利点のはずが、必ずしも自分に味方をしてくれるとは限らない。目的用途によっては真逆に働いてしまう、それに苦しまされる事にもなる、そんな痛感をする。

短いスケールのベースを弾く事によって何が得られるか?何が変わるか?何を表現しやすくなるか?

そこを色々取り違えていると、前述した【メインと比べて症候群】みたいな話で終わってしまう可能性も高い。


スケールの短いベースを弾いて思うのは【音が弾む】って事。これが妙に心地良い。

いつものベースにスポンジを詰めたり、ミュートして親指で弾いてみたり、色々音作りしたり、タッチで調整してみたり、多大な労力を投入して出そうとする音が、いとも簡単にポンと出てしまったりするという、そんな困惑が愉快で楽しい。

大きなベースで小細工してどうにかしようとしてるところ、小さなベースが堂々そのまま出してしまう、そんな面白い現象が起こる。


弦の張りが弱くなるとそれだけ、手応えも出来る事も変わってくる。左手の感覚が違うのも顕著、ビブラートやチョーキングも別物になる。

そもそもの話、発音の感覚もタイミングも変わってくる為、それがそのまま右手と左手に出るってのも、多分にあると思う。

それをいつもの感覚、手応えを求めるまま弾くと、どうにもならない違和感と拒否感を誘発してしまう可能性も高い。でもそこは、遊びや楽しみを入れるつもりで弾くと、良い感じの気分に変わってくる。

「このスケール短い音の感覚は面白いな~。いつものベースでももっとハイポジション使ったり倍音を減らすように弾けば似た感じ出せるか?」なんて風に、メインの方に影響を与える可能性まであるかもしれない。

「それさっき言った小細工やん」ってツッコミはさておき、真面目な話、サウンドと発音のイメージが生まれるだけでも、プレイと発想が変わってくるのは間違いない。


【スケールを短くする事も立派な選択肢になっていって欲しい】


話してる事が、ミニベースについてなのか、はたまたショートスケール、ミディアムスケール、33インチなども含めての事なのか、微妙な感じもあるかもしれない。

たった1インチの違いでどう変わるのか、ショートスケールでもベースって意外とイケてしまうのか、ミニベースは別物ジャンルとして考えるべきなのか、興味が湧くと同時に、さまざま疑問も湧いてきそうなところ。


思うに、求める要素がスケールの違いによって良い感じにもたらされたり、設計による根本的な改善策になるのであれば、もっと柔軟に選択できるようになると色々変わってきて、面白そうな気がする。

例えば、自分の好みで言えば、ハイCの5弦を求めるとしたら、もっとスケールを短くしてもいいかなって感覚がある。

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