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デザインのトラブル案件と対処法(セリフ編)

こんにちは。クリエイティブディレクター/プランナーのぽりです。
DesignToastで講師をしながら、日本&アジア間でのクリエイティブディレクション・企画を行っています

WEBデザイン制作でフリーランスをしていると、
ぶち当たるトラブル案件ってありますよね。

私はフリーランスになって2年程。
ほとんどはステキなクライアントさんでした。

デザイン制作を無事終わらせられた時、いい関係を築けて終われると、「一緒に頑張ったね!」感がありますし、
思いや一緒によくしようと試行錯誤した時間や手間が深いほど、そのサービスを応援してしまう。

でも、デザイナー駆け出し時代は、変なお客さんに当たったりも。

今回は「こういうクライアントはやめとけ」的な話を対処法と一緒に書いていければと思います!

私が経験したトラブル案件

お金系
- 報酬の減額
- キャンセル(報酬を払わない)
- あとからディスカウントをお願いしてくる

作業多い系
- 求めるリクエストが見積りの範囲外だが、追加料金に応じない
- 修正依頼が多く、終わりがない
- 設定した期限に終わらない

人格・会社の体質の問題系
- 最初の依頼と言ってることが次々変わる
- 最終決定者以外でデザイン確認を進めていて、最終的にどんでん返し
- 自身の求めているものを表現するのが大変なので、くみ取ってほしい(丸投げ)

なんでこんなことが起こるのか

それは、
デザインがオーダーメイドで、いい悪いの評価軸が曖昧で、主観にゆだねられるものだから
という性質が大きい気がします。

そして、売り上げに直結しないから、
軽く見られてるところも原因ですよね…。

トラブルの兆候がある、危険なセリフ6選

1.「プロのデザイナーさんにお任せします(^^) ガンガン提案してください!」

一見デザイナーを立ててくれている風。何も言わなくても勝手に想像通りのものが上がってくると信じているので「思ってたのと違う」と後でトラブルになりがち。
見極めとしては、ヒアリング時に質問をしても曖昧な答えしか戻ってこない。またはナチュラルにスルー。

「お任せ」と言われた場合、結構な確率で大きな修正が来るのは覚悟しておいた方がいい気がする(もちろん裁量を任せてくれた上で「完璧です!!!!!!!」と褒めたたえてくれる神のようなクライアントさんも、もちろんいるのですが)

【対処法】
頭に描いているゴール自体が曖昧なので、制作を始める前に具体的なWEBサイトを見せ、どこが好きか、どこが嫌か等を聞く。
頭の中のイメージの方向性だけでも、まず共有の必要性あり。

クライアントに頑張って伝えさせる等、動いて・頑張ってもらう。
でないと文句しか出てこない事態も起こりえます。


2.「デザインサンプルが必要?探す時間がないので、いきなりデザイン出してくれればいいですよ!なる早でお願いします!」

いつも忙しそう(に見える)人に多いパターン。忙しい自分が一番なので、外部業者は自分のために働いて当たり前と思っているかもしれない。(違ったらごめんね)
出したら「イメージと違うから、もう一度3案、明日までに提案してほしい」と気軽に言われることも。

本当にクライアントが忙しい場合もあるが、それに付き合わされて制作を急かされることもあるため、急ぎ案件に精神をすり減らしてもいいという場合はいいかも。

【対処法】
なんとか時間を作ってもらい、WEBサイトのバリエーションをいくつか提案して「この中だったらこれですか?違いますか?」等、できるだけ相手に時間・手間をかけさせず、答えやすい質問をする(忙しさを理由に、それに答えてくれないようなら危険かも)
あと、トップは3案、修正回数4回まで、等の制約を制作前に作っておくのがおすすめ。


3.「こんな感じのやつ、3日くらいで作れたりします?」

手の込んだWEBサイトを見せながら言われることあり。
デザイン制作を依頼し慣れていないだけで悪気がないことも。ただ、どんどん「明日までにお願いします!」と夜中にリクエストをしてきたり、スケジュールを詰めてきたりと、エスカレートする可能性も。

意外と、大手広告代理店等から仕事を受ける時もこういう感じで言われたりもします。お金も良くても、体力・精神力が強い人が受けた方がいい案件。他の案件ができなくなることもあります。

【対処法】
スケジュールは個人的に強気に出た方がいいと思っています。最初に「難しいです」とはっきりと伝え、余裕を持ったスケジュールで見ておく。
あと、もし〇日までに出しますと言ったら、それより前日までには出さない方がいい。(延々修正依頼に追われる予感)


4.「デザイン案5案くらい出して貰えます?」

この場合、本人の欲しいもののイメージが定まっていない
本当に定まっていたら、1案でもいいはず。

悪気がないこともあるけど、簡単にいくつも作るのはデザイナー的には手間も工数もかかり無駄な作業になるので、先にこういうものがいいとイメージを固める作業に徹して、その上で手を動かす方が無駄がないです。

【対処法】
一度一緒にミーティング中などでもいいので、WEBサイトサンプルを出してもらう。


5.「契約書ね~契約交わしても争いごとになる人はなるし…結局は人ですからね!」

私の経験上、なんだかんだ契約書を交わさない人はクロです。

スケジュール詰まっているから次の案件からにしようとか、忙しくてのらりくらりとサインをしてくれないまま案件が始まってしまうとか、色々あるでしょうが、納品データを渡す前に必ず契約書はサインして貰った方がいいです。
たかが数十万の案件を未払いしたくらいで、裁判までおこすフリーランスデザイナーなんていないだろうと高をくくっているクライアントもいます。

契約書があれば最悪未払いの場合、裁判でも勝率が高まるので、けん制するにも効果はあります。なんだかんだで拒否する人はほんとに危ないので、絶対おすすめしません。

【対処法】
・契約書を交わさない人は信じない。
・お金を払ってもらってから、納品データを渡す。


6.「送って頂いたデザインありがとうございました!MTG今日夜など行えますか?」 

オンラインMTGや電話など、なんでも口頭で伝えたがる。
100%このタイプが悪いわけじゃないのですが、私の経験上、保守的なやり方を引き継いでいるクライアントは、
デザインの外部業者も体力仕事で汗水たらして当たり前と思っていることもあるので‥

文章にまとめてくれた方が見るのも楽ですし、
書いている方も自分の考えを論理的に自覚することになります。
どんでん返しも起こりづらい。

【対処法】
・口頭だと証拠が残らないので、オンライン等で話したことは議事録をとり、MTG後に文章でシェアする。
・体育会系クライアントほど、ロジカルに・明確に確認するのが良いなと感じます。

まとめ

これは、クライアントワークの核となる大事なことなんですが、

「クライアントにも頑張ってもらう」って、
めちゃくちゃ大事です。

自分一人で汗水たらして頑張っても絶対にうまくいかない。

ここでたとえ話をしましょう。

例えば、あなたが持っているソニーのイヤホン(2000円)が壊れてしまい、
ビックカメラなんかの電気屋さんに行くとします。
各イヤホンの視聴機がズラーっと並んでいて、買おうと思っていたイヤホン以外にも色々聞いて吟味してから、
最終的に、オーディオテクニカのイヤホンが良くて買ったとします。

もともと持っていたソニーのイヤホンをAmazonで購入していた時より、
新しいイヤホンの方が、大事にしないとな、と思えませんか?
愛着がわくというか。

お客さんも同じで、
「買っておいて!」とか「デザイン作っておいて!」と言って渡してぱっと上がってきたデザインだけ見ると
「うーん、なんか微妙だよね~」とか言ったりしがち。

お客さんもアイデアを出して来たり、
こういうのがいい!という理想をしっかり伝えようと努力した時の方が、
「自分もこれだけ一緒に頑張ったしいいものに違いない…」
という心理から、満足もしてもらいやすんです。

好きな女の子に振り向いてもらうのに、
あまりに簡単すぎるより、なかなか振り向いてくれない方が、彼女になったとき大事にするって言いますよね。
それと似ているのかもしれません。

ということで、
外部デザイナーを都合のいい相手扱いさせないためにも
「クライアントにも考えて、手を動かしてもらう」という
ある種、コントロールをする必要があると感じています。

向こうに舵を握らせたら、クライアントワークがめちゃくちゃ辛くなってしまうと思います。
ただでさえ、日本はお客様が神様という文化でもあるので。

とはいえ、
当然クライアントさんは発注のプロでもデザインのプロでもないので、100%思いや欲しいデザインを伝えるって難しいと思いますし、
悪気が必ずしもあるわけではないです。分からなくて当然ともいえます。

なので、違和感を感じたとき、
「そんな風にデザインを軽く扱うなら受けません!」というのもありですが
一般的な価格帯やかかる時間など、クライアントさんが知らないだけのこともあります。

なのでお互い一番理解し合え、
コミットできるやり方を探して行くのが良いですね。

プロのデザイナーとしても
できるだけ相手の思い描くデザイン制作をするために、常日頃から引き出しをためて置いたり、相手の答えやすい質問を心がけたりと、

あの手この手を使ってヒアリングをするのも仕事だし、
相手の想いを汲むコミュニケーションスキルって大切だなと感じます。

とはいえ、もちろん下に見ている人もいますよね
「それなら別に頼んでください」とはっきり言って良し。

自分にできないからこそ、デザイン制作を外部に頼んでいる
んです。

こちらもプロで先方にできないスキルを持って仕事を行っているので、
へりくだらず、同じ目線でリスペクトをしあう関係が健康的!

捨て台詞で、
「お前のデザインセンスがないからだ!」
「完成度が低い」
「別のデザイナーの方がいい!」

とか言うクライアントさんに出会うこともあるかもしれません。

誠実に、精一杯相手のほしいデザインを出そうと努力したのに
そんなことを言われたら、ショックだと思います。

そういうクライアントさんはきっと、
同じ目標に向かって、一緒に頑張ろうぜ!
というスタンスでいない限りいいものって作り上げられないことを知らないのでしょう。

けど、
センスがどうこういう人ほど、
デザインセンスとは何かを説明できないし、

完成度低いという人ほど、
その人の完成形をシェアしてくれていないことも多いし、

別のデザイナーの方がいいという人なら、
その方に頼んだらいいんじゃないでしょうか、それだけの話です。

クライアントの本当に力になれたらお互いハッピー。
ただ、やっぱりトラブルって防ぎきれないので、
もしぶつかったら、犬にかまれたと思って忘れましょう。笑

事例編もおいておきます


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