見出し画像

デザインのトラブル案件と対処法(事例編)

クリエイティブディレクター/プランナーのぽりです。
クリエイター集団PolittleDesign主宰。 日本&アジア間でのクリエイティブディレクション・企画を行っています。

デザイン講師もやっています。

WEBデザイン制作でフリーランスをしていると必ずぶち当たるトラブル。

私の経験した、世にも奇妙なトラブル案件事例の話をしたいと思います。
笑い話か失敗談と思って、ランチの肴にでも読んでください…( ^)o(^ )

あと、フリーランスデザイナーさんの駆け出しさんにはぜひ読んでほしい…!!!(全部駆け出しでやらかした話です)
知ってることで防げたことも沢山あったと思うんです。

【トラブル1】洋裁スクールのLP

・クライアント / 40-50代の女性(会社)
・スケジュール ・予算 / 少々低め
・トラブルレベル / ★☆☆☆☆

【トラブル内容】
・方向性選定のためのコミュニケーションが難しい
・信頼不足



洋裁スクールのLPデザイン制作でした。

まず、ヒアリングで、
イメージ共有のためにいくつか質問をさせてもらいました。

--------------------------------------------------
◆ 今までいた生徒さんの年代・性別などを教えてください
→「老若男女全員の生徒さんが欲しいので、全員に良いと思われるものをお願いします

◆ 方向性を知りたいので、参考サイトをご共有頂いてもいいですか?
→「参考はありません

◆ どんなテイストが良いですか?
→「シックな感じにお願いします」
--------------------------------------------------

という答えでした。

他の質問には答えがなかったので、
「ターゲット選定はある程度でも絞った方が結果がいいことが多いですよ」
と理由も伝えたりしたのですが、あまりうまくいかなかったので
(個人的に今思うと、こちらのアドバイス提案を全く聞き入れる気がないクライアントさん一定数いるのですが離れるが吉というのが私の結論です。だってそれって見た目だけのデザインしか評価されないなら安価な代りがいたらそちらに変わられてしまうし、ブレーンとして期待されてないという事なら、本質的な中長期的な改善に関わって高く評価される機会もないので…こちらの個性、知見、売りを高く買ってくれるクライアントさんと積極的に付き合っていくべきかと思います)

一旦、方向性を探るために具体案を出してみようと、
色々な「シック」を作ってみる事に。



作ったのは、3案。

◆1/シンプルで洗練された、白ベースでスッキリ洗練された印象
◆2/案1に、女性的ラグジュアリー感を足したもの。
◆3/若者にもアピールする赤を少し入れたクラシカルなもの

イメージはこのような方向性。
シックといっても広いですよね。

スライド07_

しかし、フィードバックは

「イメージが違う」

デザインの修正を先方が作ってくれた、戻しデータは、こんな感じでした 。

スライド07__

データは、

黒グラデーションダークな世界観の背景に、
金の装飾つる草模様のロゴが、大きく配置されたゴシック(ゴスロリ?)でした。

確かに「ゴシック」にも「シック」という文字は入ってはいる…

その後色々あり、
話し合った結果、最終的に作業分だけお支払いただくことに。

【反省点】
・このクライアントは以前も別のデザイナーに発注したものの、同じくデザインイメージが合わないという理由で中止し、二回目の依頼で私に発注頂いた経緯があった。
・自分の考えに確固とした自信のある人を説得するには、まず時間をかけて信頼を勝ち取らなければいけないと痛感。
→そもそも私の事を知って先方から声をかけてくれる場合と、そうでない場合だと立場に大きく違いがあると痛感。

【余談】
・どんなクライアントさんであっても、
・「シック」という単語1つに、各個人が異なる印象を持つことがあることを理解していても、
・こちらが100%伝えた!と思っていたとしても、

自分の思う以上に他者からは分からないものなんですよね・・・。

やはり最初のヒアリングにしっかり時間をとって答えてくれる方の方が、
あとあと満足してもらえ、いい関係を築けることが多いです!


【トラブル2】 楽天市場のLP作成

・クライアント / 30代男性(会社)
・スケジュール ・予算 / 半額くらい低め
・トラブルレベル / ★★★☆☆

【トラブル内容】
・納品後、作業費未払いされ、賠償金を求められる



楽天市場の商品紹介ページのデザイン、
ケーブルやスマホ充電器などの商品LPを、構成から作っていました。

LP制作は破格でやってましたが、
更にデザイン費用を削りたいとのことで、
1ヶ月作り放題でお願いしたいと。

値段的にもスケジュール的にも無理と断わったものの
「なんでダメなんですか?」と粘られ、
折れて「わかりました、では 〇円でなら…」と口頭で言ってしまいました。

ただ、落ち着いてよく考えた末、明らかに生きていくには厳しい価格設定。
やはり、次の日にお断りすることに。
相手に「じゃあ今のLPだけは終わらせてほしい」と言われ、納品。

しかし、

納品の直後、待ち受けていたかのように
5分とたたず、先方から送られてきたのはGoogle広告スクリーンショット。

「あなたがOKしたから、LPができる前提でGoogle広告に申し込みをした。」「にも関わらず、断わられたので損害金として50万円支払ってください」

え????????

それ私のせいなの????
キャンセルできないの???
昨日の今日だけど?????

あわてて、法テラスに相談 → 結果、よくわからない



最終的に、最初に交わした契約書を読みまくったところ

「相手方に何らかの損害を生じさせた場合、損害賠償責任を負うのは案件の報酬と同額とする」
という記載を発見。

これをスマホで撮影し送ったら、返事が来なくなりました。
よかったよううう (  ;∀;)

【反省点】
・契約書の賠償部分に、案件同額の記載をしていて本当によかった
どれだけ断りづらくても無理なものは受けちゃダメ。「一旦考えさせてください」と言い、時間を置くこと(特にスケジュール)

【余談】
賠償金を求められるのは、圧倒的に立場の弱いフリーランス側が多いそう。
※特に会社側から送られてくる契約書は、損害賠償の金額記載がないものがほとんどです。私はここを修正してくれない会社さんはお断りすることにしました。


【トラブル3】自営業者向けWEBサイト作成サービスUI

・クライアント / 70歳くらいの男性
・スケジュール ・予算 / 少々低め
・トラブルレベル / ★★★★★(MAX!)

【トラブル内容】
・「次も依頼するから」と押し切られた値段とスケジュール
・契約書にサインしてくれない
素材が期日までにこない
・納品後の未払い



WEBサイト作成サービスの、
LP(1ページ)とUIデザイン(25ページ)を制作。

素材・構成が期日までに来ないため、
3日で20ページのデザイン作業となりました。
悪条件全部乗せ案件でしたが、なんとかやり切りました。

しかし納品後に「お金を支払うことはできない」とのこと。

支払えない理由を聞くと、
「他のデザインの方が良かったのでそちらをとる」
「納品書を発行していないので納品したとは認められない。契約書も交わしていない」

その後メールが毎日来るようになったのですが、こういう内容。

「訴えられなくて残念でしたね!」
「直接家に来るようなら警察を呼びます」
「向いてないんだから、リタイアした方がいいんじゃないですか?」

怖いよーーーーーーーーー(TωT)

コンペとは聞いていなかったと何度言っても、まともな返事は戻って来ず。
電話をどれだけしてもとらず、
内容証明を送ってもダメで、社会勉強だと思い、ギブアップしました。

【反省点】
・契約書を交わすべきだった
・〇日までに、と言わず、素材を貰ってから1週間で〇ページ制作します、と伝えるべきだった
・次回から、初仕事の場合は着手金を半額頂くようにした
・初回から、値切り or スケジュール厳しい案件をくれる人に注意
・会社名と名前で検索したら、2ちゃんねるでスレッドがたっていて相当恨まれていた。皆さんも、一度案件を受ける前に検索しよう。

【余談】

後に、直近のエンジニア女性がそのトラブル後に
その人との縁を切ったということで、メールをくれました。

クライアント男性、やはり常習犯だったらしい。

別案件でも契約金を前払いで受け取ったにも関わらず、
途中でエンジニアが飛んだので継続できなくなってしまったと。
納品できないにも関わらず、会社にお金を返す気がないため、
今訴えられそうになっているとのこと。

更に、その女性はセクハラを受けていて、
愛人にならないかと毎日言われていたようです。

「愛人にはならない、もう一緒に仕事をするのも辞める」と断ったら
「辞めるのなら、以前仕事で払った分の金を返せ」と脅されたそうで、
彼女も仕事で貰っていない額が相当あったようです。
(しかし、社会人経験が少ないままフリーランスになったこともあり、契約書を交わしていなかったとか…)

これでもか!というくらいのもりもりクライアント。
今となってはなかなかレアな体験でした…良い思い出です…笑

まとめ

さて、見てくれてありがとうございました!

総括して言えることは、
安い案件は、なぜか変な人が多い。

また、今回のラストほどの詐欺師はあまりいないと信じていますが、
変な人によく当たる時期って、
引き寄せてたんじゃないかと。

・若手フリーランス
・駆け出し
・若い女性
・お金がない、辛い状況にいる人
・上京したて


って、既に、騙されやすい感じが出てますよね。。
詐欺師や、色恋目当て、利用・搾取しようとする人に目を付けられやすい。
(大学入ったばかりの頃とか、怪しい宗教の誘いみたいなのあったよね?)

こういう人を避けるのであれば、

クラウドサービスなどで、案件を受ける可能性がある場所のアイコンは、
「女性」「フリーランスになりたて」などが、
不特定多数から分からない方がいいかも。

※ちなみに統計によると、サービスコンタクトセンター等は、男性アイコンや動物アイコンよりも、女性アイコンのクレームが3倍近くになるらしい

営業メールも、フルネームで書くと女性だというだけで、
仕事をそもそも渡す気がないのに面接に呼ばれたりもするので、私は書かないようにしています(効果があるのかは知らないけど)

とはいえ

女性というだけで女性向けデザインを任されることもあるので、
このクライアントさんなら大丈夫そう!と思った時や、
アピールできる時はどんどんしていくのも手だと思います!

いろいろ書きましたが、
こんな失敗があってこそ、契約書を見るのも慣れてきたし、勘が働くようになりました。

フリーランスも契約部分や、
お客さんを見極める部分だけ注意する必要はありますが、
いいところは沢山あるので、フリーランスを楽しみましょう~!

トラブル案件あるある
「デザインのトラブル案件と対処法(セリフ編)」はこちら。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?