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オーストリアで健康保険加入手続き・家庭医探しと受診


オーストリアの皆保険制度

オーストリアの皆保険は「Österreichische Gesundheitskasse(通称: ÖGK)」です。日本では医療費の3割を自己負担しますが(+高額療養費制度)、オーストリアではすべて無料です。その分、保険料は日本よりも高いと感じます。そして、皆保険でカバーされる薬や病気の種類は日本と違うところがあります。

皆保険への加入

必要書類

ÖGKへの加入は「ビザ申請中」「住民登録が終わっている」場合にのみ可能です。私は当初配偶者の扶養に入る形でÖGKに加入しました。その際の必要書類は以下の通りです。

  • 住民票

  • 申請書(自分でダウンロード)

  • MA35から発行される管理番号(申請書に記入)とMA35からの手続き中を証明する書面

  • 結婚証明書

申請方法

  1. ÖGKにメールで連絡(居住地域によって連絡先が異なります)

  2. ÖGKより必要書類をPDFで送るよう指示

  3. MA35に連絡し、ÖGKに提出する書類の発行依頼

  4. 書類が揃ったら再度ÖGKにメールで連絡

  5. 不備がなければ、手続き終了後に書面で健康保険番号が通知されます

e-card (顔写真付き保険証) の申請

健康保険番号が通知されたら、保険証の発行手続きを行います。詳しくは下記のサイトをご確認ください。必要な書類は以下の通りです。

  • e-card申請書

  • 規定の写真

  • パスポート

  • 健康保険番号通知書

    予約した日時にオフィスに伺い、カード発行の手続きをします。手元に届く日数はケースバイケースですが、私の場合は約1週間でe-cardが届きました。

健康保険加入前にはPrivat保険への加入

2月初旬にオーストリアに来て、3月末にe-cardを受け取るまでの約2か月間は皆保険がありませんでした。

日本での配偶者ビザ申請時に所定のPrivat保険に加入していたため、皆保険がなくてもPrivatで対応可能でした。その分費用は高くなりましたが、いつ通院が必要になるか、事故に遭うか、何が起こるかわからないので無保険は避けるべきです。Privat保険も様々ですが、契約内容を確認して無駄なく漏れのないものを選びましょう。一部の旅行保険は申請するビザによって認められる場合もありますが、有事には本国送還が基本となり、保険適用外となる疾患も多いです(例えば妊娠は対象外)。

私が加入していたPrivat保険は、契約解除後も2年間、Privat医院やPrivatでカバーされる皆保険適用外治療(例:一部ワクチン)について、支払った医療費の80%を保険会社から返却してくれるものでした。歯科、ワクチン、妊娠・出産まで幅広くカバーされているので、利用する価値があると感じました。

Hausarzt(家庭医)の受診

オーストリアでの初めての病院受診体験

2023年5月半ばに扁桃腺炎をこじらせ、高熱と喉に膿ができる状態になってしまい、Hausarzt(家庭医)を受診しました。

Hausarzt(家庭医)の探し方

基本的には、Googleで”Hausarzt”と検索すると近所のクリニックが表示されます。病院のホームページ(あれば)で予約が必要かどうか確認しましょう。私の受診先は夫がGoogleマップで見つけた口コミの良いクリニックで、夫のかかりつけ医でもある近所の女医さんでした。予約不要・即受診可能な便利なクリニックで、しかもホームページには英語OKの表記がありました。

まずはHausarztへ受診

オーストリアでは、基本的にすぐに専門医を受診することはありません(例外:皮膚科、婦人科、産科、小児科、救急など)。症状が重かったり、Hausarztでは対応が難しい場合は、紹介状を発行してもらい専門医につなげてもらえます。Hausarztは日本でいう内科・総合診療科の医師です。

受診の流れ

  1. 予約不要なのでそのまま受診し、受付(ナース)で簡単に症状を説明

  2. 診察

  3. 処方薬をもらいにApotheke(薬局)へ

受付

オーストリアでは医療費の支払いがないためか、日本のように医療事務や受付はおらずナースが対応します。Hausarztでは基本的に処置もないため、必要な時にだけ診察室にナースが呼ばれる仕組みのようです。受付では「数日前から発熱して喉が痛く、扁桃腺が腫れています。白くなって膿が出ているかもしれません」と伝えました。E-cardを提示し、住所や電話番号を伝えるだけで終わりです。

仕事の疾病休暇(Krankenstand)のために診断書(Arbeitsunfähigkeitsmeldung)が必要な場合も、受付で伝えるようにしましょう。

診察

英語が通じるので、英会話で先生に症状を説明しました。ライトで喉を確認してもらい、膿が出ていたため抗生剤を処方してもらいました。診察時間は約5分ほどでした。

薬局(Apotheke)での処方

クリニックでの支払いはなく、そのままApothekeへ。E-cardに処方情報が記録されているので、E-cardを薬剤師に渡せば薬をもらえます。ここでも問診はありません。

受診時に気を付けたいこと

日本で医療従事者の免許を持っているので、一連の受診を終えて気を付けたいと思ったことを書きます。

  1. 自分の症状をしっかり伝えること
    日本では問診票の回答に沿って医師や看護師が追加で質問してくれますが、こちらでは一切ありません。伝えそびれのないように症状をまとめておくと良いでしょう。

  2. 服薬中の薬を伝えること
    日本では薬剤師が「現在飲んでいる薬やサプリはありませんか?」と聞いてくれますが、こちらではありません(人によるかもしれません)。自分で購入したサプリなどは薬剤師が知らないので、「○○を飲んでいますが、飲み合わせは大丈夫ですか?」と確認しましょう。特に女性の場合、妊娠の可能性や授乳中かどうかも重要です。

  3. 抗生剤にはプロバイオティクスが必須
    今回抗生剤を処方されましたが、強い薬だったため服薬直後から重い胃痛に悩まされました。抗生剤なので服薬中断もできず、再受診してプロバイオティクスをもらいに行きました。日本で抗生剤を飲んで腹痛の副作用が出たことがなかったので、最初にプロバイオティクスを断ってしまいました。薬の内容量が日本より多いので、保護的に働く薬を提案されたら受け取るべきです。再診前にApothekeに助けを求めたところ、無能な薬剤師に胃痙攣の薬を買わされました。薬関係の悩みは必ずクリニックで解決することを心に決めました。


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