志望校を決める時期(早慶志望者)

【皆がはまる落とし穴】


独立して2度目の夏が終わろうとしています。早稲アカ生を中心とした様々なお子様・保護者様と接する中で気づいたことがあります。

それは、志望校を絞り込む時期が遅いのではないか?ということです。

早慶・MARCHの附属高校を中心とした3科目受験しかする予定がないにもかかわらず、夏期講習は理社を含めた5科目受講をしている生徒が多いことに非常に驚きました。

塾側も経営的な理由で、できるだけ5科目受講を引き延ばしたいという現実は確かにあります。しかし、本当に生徒の合格の可能性を高めるのであれば、志望校の絞り込みや、それに伴う受講科目の変更も生徒ファーストで行ってほしいと思います。

せっかく中1から2年以上も利用してくださっているご家庭に対する適切な対応であるとは私には思えません。

もちろん、会社から求められるノルマとの狭間で真にご家庭のために動いてくれる社員がいる教室もあります。しかし、それはほんのごくわずかである気がします。

大手になればなるほど「信用」はありますが、そのサービスが利用者にとって本当に価値のあるものなのかどうかは皆様がご自身で見極めなくてはなりません。

貴重な夏休みの時間を3科目に絞った過去問演習に使えたら、どんなに早慶附属高校の合格の可能性が高まるだろうか。。。と思うと、悔しいというか、残念というか、非常に複雑な気分です。

「中3の冬に成績が良ければ、どこの学校も選べる。とにかくがむしゃらに勉強しろ!」という考えもあります。それで成功した子がいるという話も聞いたことはあります。

しかし、そこに至るために、高めの目標を早期に設定してモチベーションを高めながら、優先順位をつけて勉強する必要があるのではないでしょうか。

私が指導してきた生徒で、目標が曖昧なまま、中3の冬に志望校合格に向けて余裕のある成績をキープできた子はほとんどいない気がします。その前段階で何らかの障害につまずく子が多くいました。(志望校であったり、勉強とはまったく関係ないことであったり、様々です。)

ゴールが見えないまま、暗闇の中を全力疾走できる人間などいるのでしょうか。それができるなら、目標が明らかになった状態の方がより力を発揮できるのではないでしょうか。

「とりあえず好成績をキープする」という目標では、精神的に追い込まれていく受験生を奮い立たせる強烈なモチベーションにはなり得ないと私は思います。


ご参考までに私が塾勤務時代に実施していたスケジュールを一部公開いたします。(より具体的な内容は商売道具なので、伏せておきます。)

【志望校選定スケジュール】


※あくまで私の指導してきた地域の生徒のものです。地域により定期テストの点数等は異なる可能性もあります。

《中1》

勉強に前向きになるために自信をつけさせる期間

定期テストで点数を取らせる

→学年順位上位1割は当然、「1桁順位でなければ悔しい」ぐらいの感覚を持たせる。順位が発表されない学校も増えていますが、基本的には5教科で9割以上得点するのは当たり前でした。5教科470点以上でないと。。。という雰囲気をクラス内で作っていました。


《中2》

早慶・国立・開成・渋幕の学校見学(説明会・文化祭等)に参加させる

中2のうちに高校受験のゴール・自分がこの先に進む道を見せておく。これが一番大事だと思います。中1でつけた自信があれば、「目指す」ことができます。この段階で、ある程度の自信がないと「目指す」ことが中2のうちにできません。

中2の冬期面談、中3春期講習前の面談で志望校の整理はほとんど終わってしまいます。多少の変更等はありますが、軸があるのでブレません。

定期テストでは、できるだけ時間をかけずに今までの成績を取る方法を身につけさせる期間です。


《中3》

(春)
早慶志望(受験は3科のみ)かつ、駿台偏差値55未満(3教科)の生徒は3教科受講に切り替えさせます。

(夏)
早慶志望者であれば3教科受講でよい。早慶志望であり国公立・開成・渋幕の可能性も残しておきたいという場合は、6月駿台の偏差値65(3教科)は欲しい。

6月の駿台偏差値60未満(3科)で「早慶に合格したい、5教科受験の可能性も残しておきたい。」というのはそれなりの危険が伴います。すべて手に入れようとした結果、何も手にせず終わる可能性が高まることにも留意してください。

これは、入塾時期や、中3からの成績の伸びなどで多少変わってきます。

しかし、一貫して言えることは、

志望校に合格する子は決断が早い

ということです。

ご家庭の問題でもありますが、その決断までの過程がスムーズに進むように、中1からすべてを組み立てていくのが我々の仕事です。

早稲アカは定期テスト(学校の勉強)を軽視しすぎて、3年間を通した生徒の育成はうまくできていないと思います。学校の勉強が簡単過ぎて暇を持て余している子は中1から早稲アカに通うのが最適だと思いますが、そうでない子は早稲アカの利用の仕方、塾との付き合い方を考えてみてはいかがでしょうか。

地元の補習塾で中1・2を過ごして学校の勉強を大事にして、中3だけ早稲アカに転塾し志望校に合格するというのが早稲アカとの最も良い付き合い方であると今は考えています。


話が逸れてしまいました。

私の指導してきた生徒は中3の春には具体的な目標が決まっているため、入試から逆算した「今やるべきこと」に集中できます

定期テストは、前日の確認のみ(1秒も勉強しない子もいます)で、皆が480点を超えてきます。

私が手助けすることはもうほとんどありません。当然、志望校に合格します。

同じ合格でも、私は余裕を持って皆を合格させてあげたいと常々思っています。部活で全国大会出場、クラブチームを12月まで続ける等、勉強以外にも時間を割かなければならない子は多くいます。「何が起きても合格させる」と考えると、早くから手を打つしかありません。受験直前に2ヶ月間入院した子もいました。何が起きるか分からないのが人生です。

だから、中1時は生徒が自走する仕組みを作ることにすべての力を使います。非常に骨が折れます。しかし、学年が進むにつれて私のやることは減っていくのです。

私はこれが当たり前だと思って塾勤務を続けてきましたが、どうやら世間では当たり前ではないようです。

お住まいの場所や部活等で、通える塾は限られているご家庭がほとんどであるとは思いますが、保護者様の関わり方ひとつでお子様の未来は大きく変わります。

塾の言うことをすべて信じるのではなく、比較しながら熟慮し、判断してみてください。

塾リテラシーを高めないと、貴重な時間・費用・労力が志望校合格という結果に結びつきません。


【早めの決断で逆転合格した生徒の話】


最後に、早期の決断で大逆転をした子のお話をします。

彼は中3の春期講習から入塾しました。

彼とご両親とは入塾の際に何度も話し合いを重ねた結果、初めから3科目受講でスタートすることになりました。

早慶志望でしたが、中2までの駿台は偏差値50を超えることはなく、中3駿台(4月)も偏差値(3科)は45でした。

6月の駿台で偏差値(3科)でやっと50を超えて、夏期講習中は誰よりも多く過去問を解き、一日中塾にこもっていました。

8月駿台では偏差値(3科)65を超え、その後偏差値60を下回ることはありませんでした。

最終的に慶應志木・慶應義塾高校・早稲田本庄に合格しました。

入塾時にクラスの全員(同じ中学の友人も多数)が5科目受講であるにも関わらず、自分の決めた道を進んだ彼は一本筋が通っていたと思います。またそんな彼の決断をサポートし、併走し続けてくれたご両親からも「本気」を感じました

お母様には、入試直前までご家庭で国語の音読の聞き役に徹していただきました。

そのおかげで4月駿台で39だった国語の偏差値は65まで伸びました。

正しい判断をするためには、正しい知識が必要です。保護者様も、情報を見極める力を養ってください。

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