【創作小説】猫に飼われたヒト 第22回 大学
アニマーリア大学。
グッダは朝からパソコンで事務作業をしていた。
隣の部屋が開く音。レックスが出勤したようだ。
「レックス、おは……え?!」
なんとそこにはレオを連れたレックスが。
レックスは苦笑いした。
「グッダおはよう…はは、グッダとこいつの背丈が一緒で助かったよ。なんとか誤魔化せた…はずだ」
レックスがレオのマスクとフードを外す。
「ぐっだ!」
レオがグッダに抱き付いた。
「おまっ…何を考えているんだ!?」
「こうでもしなきゃ、大学に来られそうになかったんだよ…体を、こう、持ち上げられてしまってな」
「持ち上げ…え?」
「とにかく、今日だけすまん。レオを研究室に置いておくから。迷惑はかけない。…頼む」
レオがレックスの部屋に入った。
物珍しそうに研究室の中を見渡し、すぐに本棚に近づいた。そして本を取り出し、読み始めた。
「ほら。レオは本があれば大人しいんだ。私の自宅の本は全て読んでしまったみたいで…すまないが、よろしくな」
「……それはいいんだが、レオは字が読めるのか」
「ん?字や写真が載っているのがただ面白いんだろう。字は教えていないからな」
「そうか…ん?レオの手首に巻いてあるものはなんだ」
本を読むレオの左手首に巻いてある、綺麗なブルーのリボン。
「ああ…ほら、人間は昔、家族の犬や猫に首輪をしていたというだろう?それだよ」
グッダは不思議そうに首を傾げた。
「はあ…」
レオが二匹を振り返る。
「かぞく!」
「そう。家族な」
「……レックス、あのなあ...」
その時、一限のチャイムが鳴った。
「おっと、私は授業に行かなければ。研究室にはずっと鍵をかけておくから、大丈夫だと思う。私も頻繁にここに戻ってくるようにするし」
グッダはため息をついた。
「ああ…分かったよ」
そして、レックスはレオのいる研究室に鍵をかけた。
次回に続く
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