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【創作小説】猫に飼われたヒト 第21回 留守番

鏡の前に立つアド。
上下スーツを身に纏っている。
部屋の中には教育実習に向けた準備物が散乱している。

アドは小学校の教師を目指し、明日から2週間の実習が始まる。

「いよいよ明日から実習だ…!頑張るぞ!」

__________

レックスがレオを拾ってから3ヶ月が経った。

レックスがいつも通り、大学へ出勤しようとした時、寝ているレオの変化に気づく。

「レオ…お前、拾った時より随分大きくなってないか?あれから3ヶ月経つが…」

レオは拾った時より幾分か体つきも骨張ってきて、顔も大人びてきていた。身長も驚異的に伸びている。
「人間の成長はこんなにも早かっただろうか」

思案するレックス。ふと時計を見る。
危うく遅刻するところだ、とレックスが玄関へ向かおうとすると、レオがぱちっと目を覚まし、ぐずり始めた。

「だめ!だめ!」

「レオ?」

「だめ!だめ!」

レオが走って玄関に行き、扉を背にして通せんぼをした。

レックスとレオが互いに睨み合う。

「「……」」

「レオ、悪いな」

レックスがレオの股の下をくぐり抜けようとしたその時、レオにひょいっと持ち上げられてしまった。

「な?!」

そしてレオはレックスを胸に抱きしめた。

「だめ!だめ!」

(……これでは大学に遅れてしまう)

レックスは自分を持ち上げたレオの力の大きさに驚きつつ、はあ、と諦めのため息をついた。

「分かった。分かったから下ろしてくれ。……はあ、どうしたものか……」

次回に続く

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