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【第4章】猫に飼われたヒト フルーメンへ

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創作小説『猫に飼われたヒト』第29回〜をここからまとめて読むことができます→人間研究所主任のフルーメンは苦悩していた。突然失踪してしまった憧れのアウラ元所長。彼を探しフルーメンが…
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2024年4月の記事一覧

【創作小説】猫に飼われたヒト 第37回 曇天の下の希望

【創作小説】猫に飼われたヒト 第37回 曇天の下の希望

というわけで、フルーメンは初めてキッチンに立つことになった。

本棚から料理本を取り出してきて、簡単に作れそうなものを選ぶ。

人間は雑食だから、なんでもいいだろう。だが、適量、ひとつまみ、キチンと計量できないものの単語の羅列に悪戦苦闘。
「初めての一人暮らし」という料理本を棚から引っ張り出してくる。

(適量ってどれくらいだ…?ひとつまみ?そんなの猫によって量変わるだろ…)

フルーメンは顔をし

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【創作小説】猫に飼われたヒト 第36回 給仕係

【創作小説】猫に飼われたヒト 第36回 給仕係

研究所にて。

「今日からお世話になります!給仕係のキャロルです。雑用でもなんでもやりますので、どうぞよろしくお願いします!」

研究所にはヒソヒソ声が響き渡った。

なぜ急に給仕係というものが設けられ、猫が一匹新しく入らなければならなかったのか。

ティオ「おいメガネ。これ、一昨日急に決まったんだって?」

メガネ「はい…そうですよ…」

ティオ「しっかり見惚れちゃってんじゃん…」

ティオ「先

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【創作小説】猫に飼われたヒト 第35回 もう1人の人間

【創作小説】猫に飼われたヒト 第35回 もう1人の人間

フルーメンは唖然とした。

「助けて」

メスの人間。それは体も身につけている衣服もボロボロで、大粒の涙を流していた。

「…まさか、そんな…」

そして、フルーメンは人間の背後に倒れている猫の足らしきものを見つけた。

慌ててそれに駆け寄る。するとそれは。

アウラの死体だった。

「アウラさん…!!」

アウラの死体の頭部には、何かで殴られたような痕があった。

「君は…君が…やったのか」

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【創作小説】猫に飼われたヒト 第34回 コスモス畑の先に

【創作小説】猫に飼われたヒト 第34回 コスモス畑の先に

レックスとキャロルは昼食を終え、研究所に向かった。

研究所には、新入研究員のメガネしかいなかった。ぽつんと1人席に座るメガネに、レックスは驚いた。

メガネはひとりぼっちである理由を説明した。

「新人を1人放っておいて社員旅行だなんて信じられない。すまなかった。今日は私も夜までここにいるから」

キャロルもレックスの言葉に同意した。
「そうですよ。それに、なんでレックス先生もお呼ばれしなかった

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