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【第3章】猫に飼われたヒト 教育実習

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『猫に飼われたヒト』第3章をここからまとめて読むことができます。あらすじ→小学校の先生になるため、教育実習に挑むアド。そこでは子どもたちにまで人間への偏見が広まっていた。なんとか…
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【創作小説】猫に飼われたヒト 第28回 授業を終えて

【創作小説】猫に飼われたヒト 第28回 授業を終えて

「初授業はどうだった?」

小学校の廊下。初授業を終えほっと胸を撫で下ろすアドに、レックスが尋ねた。

アドは苦笑いをした。

「途中、アクシデントが起きてしまってどうなるかと思いましたけど…先生がカバーをしてくれて助かりました」

「ああ…あれは予想外だった。すまなかった。せっかく教案通りにいっていたのにな」

「いえ!それはまあ、そうですけど…」

「だが、授業が必ずしも教案通りに行くわけでは

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【創作小説】猫に飼われたヒト 第27回 気づき

【創作小説】猫に飼われたヒト 第27回 気づき

騒めく教室の後ろで、レックスが静かに手を挙げた。

「アド先生、質問です。人間の言葉は、全部悪い言葉なんですか?」

その言葉にアドはハッと気がついた。

「…そうだ…みんな聞いて!今レオくんが言ったみたいに、人間が言葉を話したからといって、争いを起こすわけじゃないの!みんな、黒板を見て」

アドは黒板の中央に線を引いた。

「左側の言葉と、右側の言葉。違いがあるんだけど分かる猫はいるかな?」

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