見出し画像

車椅子の男性と婚活でデートした話

婚活というと「相手を条件で選ぶ」というのが共通認識ではないだろうか。

男性は女性を「年齢」と「外見」で選び(そこに家事や料理スキルも入るのかな)、女性は男性を「年収」と「身長」で選ぶ、というのは有名な話。

恋愛したい人はガチ婚活に向いてないし、結婚したい人は恋愛と結婚どっちが優先かはっきりさせてから活動しなければいけないという(私的には)イバラの道である。

私自身は現在、恋愛からも結婚からも自由になった身であるが、少し前までバリバリ「恋活」をしていた人間である。

私が恋活を通して求めていたものは「愛し愛される関係性」と「安心感」であり、それが結果的に結婚につながったらいいけど、結婚という形じゃなくてもいいな、というスタンスであった。

これはそんな私が、マッチングアプリで出会った車椅子の男性とデートをした話。


条件なんて吹っ飛ばせ

普通、マッチングアプリを使って恋活をしてたら、最も重要なのは「外見」になるのだと思う。そのため、イケメンや美女がアプリでの強者となる。

次に会話の面白さ、マナーや礼儀。女性は男性の学歴や職業も気になるかもしれない。身長も然り。

しかし、私の恋活はそのどれもを吹っ飛ばして、「心と心で深く繋がれる人」という、大変曖昧で壮大なテーマで行われていた(笑)。

そのため、中身が面白くて自分と繋がれる相手であれば、外見・年収・職業・身長は気にせずスワイプしていた。

ちなみにこの「中身が面白そう」は私的には非常に重要であった。優しさやマナーはもちろん、「知性」が一番大事。次にユーモア。

知性がなければ話は面白くはならないし、ユーモアはコミュニケーション能力が高い証拠である。私は頭が良くて、頭の回転の早い人が好きだった。

そんななか目に止まったのが、車椅子の彼であった。

クレイジー

正直、マッチングアプリで選び放題の中から、将来の相手としてわざわざ車椅子の人を選ぶことなんてないだろう。どう考えても大変だから。しかも、この彼は外国人であった。

恋活や婚活をしてる友達に言うと、いっせいに「は??」って言われるクレイジーな話。

でもね、私的にはなにもブレてはいないのよ。一番大事にしてたのが知性とユーモアで、後は吹っ飛ばしてたわけで(笑)。

彼はちゃんとプロフに車椅子ユーザーであることも書いていたし、写真も載せていた。正々堂々としている。自己紹介文もウィットに富んでいて、賢さが見て取れた。

マッチしてから会話してみると、やっぱりとても頭が良くて、ユーモアもあって、素晴らしい人だった。

考えてみて欲しい。家族から遠く遠く離れ、外国で車椅子ユーザーとして、働きながら生活することを。ものすごくものすごく大変なはずである。

彼はそれをこなした上で、マッチングアプリでデート相手まで探しているのだ。すごい精神力じゃない?

彼が人格者で、困難にも負けず、ずっと前向きに挑戦し続けていることの証なわけで、私はそれだけで尊敬してしまった。

そこらへんの中身のないチャラい日本人のイケメンと比べて、とても魅力的だと思ったので、会ってみることにした。

デート当日

もし彼と付き合うことになったら、どういう感じのデートになるのかなとか考えながら待ち合わせ場所へ。

彼は最高の笑顔で私を迎えてくれた。

エレベーターのボタンを先回りして押したり、レストランで「車椅子でも入れますか?」と聞かなければいけなかったり、通常のデートとは違うことはあったけど、デートは概ね楽しかった。

彼は想像通り、頭が良くて笑顔の素敵な人だった。彼の国の話や日本での生活について話してくれて、有意義な時間も過ごせたと思う。

でも、私はもう二度と彼と会うことはなかった。

なぜかというと・・・フ、フケがすごかったの・・・・
「はじめまして」の段階で「あれ、夏だけど今日は雪降ってたっけな」っていうくらいの、フ、フケが・・・・肩にふわぁっと(笑)。

大事なのは中身で間違いないんだけど、さすがに最低限の清潔さは必要だねっていうオチでした(笑)。

でも楽しい経験だったよ!!私の趣味は人間観察なので、色んな国の人や、色んな経験をしてきた人から話を聞くのはいつだって面白いのです。

#エッセイ部門 #創作大賞2024

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?