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ソムニウム(43)月と冥王星


真夜中のカフェで向き合って座る
母と娘と赤ん坊
三人ともみぞおちに
黒い穴が空いている
コーヒーを飲みほし
三人を並べ
黒い穴に手を入れる
指先に
広大な虚無を感じる
ハハハムスメヲアイシテイナイ
ムスメハコドモヲアイシテイナイ
コドモハヒトヲアイセナイ
引きずり込まれる
漆黒の闇
黒い鏡が浮いている
黒い女の顔が映る
黒い瞳に黒い髪
黒い唇で微笑み
つぶやく
ハハハムスメヲアイシテイル
ムスメハコドモヲアイシテイル
コドモハスベテノヒトヲアイス
息ができない
押し潰される
ばつん、と音がし
カフェに戻る
胸に穴が空いている
穴に手を入れ
女にさわる
虚無が底なしの愛だと知る


(終わり)


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