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ソムニウム~夢~

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夢をモチーフにした詩と短編小説です。
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2020年8月の記事一覧

ソムニウム(68)青い犬

ソムニウム(68)青い犬

青い犬になって走る
通っていた学校は建て替えられた
桜の木は伐られ 根は抜かれた
でもここだ 匂いがある
掘り返していく
スマホが出てくる 
バッテリーが生きてる 電話する
半地下の家の前に立つ
二十二歳の彼女が出てくる
十三歳の自分に戻る
来ました、先生
彼女が微笑む
もっと子供でいたかったから
もらった手紙を土に埋めた
犬はそれを覚えていて
放たれる時を待っていたんだ

(終わり)

ソムニウム(67)走れヤマザキ

ソムニウム(67)走れヤマザキ

走れヤマザキ
はい、と言って走り出す
体がどんどん老けていく
あっという間におじいさん
足が攣り筋が切れ動脈が詰まる
心臓が止まって脳が死ぬ
地面にダウン────と思いきや
ばりばり体を食い破って
新しくなり
走るヤマザキ

(終わり)

ソムニウム(66)微笑み

ソムニウム(66)微笑み

もうだめだ、と沈み込み
電車の座席でうなだれる
視線を感じて目を上げる
母親の背中で赤ちゃんが
にこにこ笑ってこっちを見てる

もうだめだ、と打ちひしがれて
広場の手すりに寄りかかる
野鳥が飛んできて肩にとまり
綺麗な声でさえずり出す

もうだめだ、と肩を落とし
神社への広い石段を上る
ふわふわしゅっ、と足首に
獣が体をこすりつける
白くて丸くて光るものが
湧き水の洞窟へ走って消える

もうだめだ

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