【デジタル】 ネット誹謗中傷対策の法案が提出される、 新たな法整備で何が変わるか
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ネット誹謗中傷対策の法案が提出される、 新たな法整備で何が変わるか
<概要>
1月26日に召集された2024年の通常国会では、以下の3つの法律案が提出されました。
いずれも、インターネット上の誹謗中傷対策を強化することを目的としており、主に以下の3点の内容について改正を進めています。
基本理念や責務の明確化など、全体的な枠組みを整備するもの
被害者への救済手段を拡充するもの
プラットフォーム事業者に対する規制を強化するもの
法律案ごとに内容を見ていきます。
【衆法36号】インターネット誹謗中傷対策の推進に関する法律案
この法律案は、インターネット誹謗中傷対策を総合的に推進することを目的としており、誹謗中傷に対する国や地方公共団体、プラットフォーム事業者などの責任を明確化し、さらには、誹謗中傷に対する基本理念を示し、教育的な活動を行っていくことを示しています。
主な内容
・インターネットを適切に活用する知識及び能力の習得
・損害賠償の請求についての援助
・外国会社の登記の適正化
・インターネット誹謗中傷の防止に関する取組の実施状況の公表
・被害者等の実効的な救済を図るための損害賠償に係る制度の導入
【衆法14号】インターネット誹謗中傷による被害の救済に資するための弁護士等の報酬の補助に関する法律案
この法律案は、インターネット誹謗中傷による被害者への弁護士費用負担軽減を目的としています。対象は、自己資金で弁護士費用を支払うことが困難な被害者や支払いにより生活に著しい支障のある被害者です。また、補助金の財源は事業者からの拠出金による基金と政府補助金によって賄われます。
この負担軽減により、被害者がより法的措置をとりやすくなり、インターネット環境の健全化を進める効果が期待されます。
【衆法15号】特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案
影響力の大きい特定のサービス提供者に対して、被害者への救済と抑止効果を高めるために、送信防止措置と発信者情報開示の透明性向上を図ることを目的にした法律案です。
主な内容
・誹謗中傷の送信を防止する措置を実施する基準などを公表
・誹謗中傷の送信を防止する措置を実施する運用について定期的な情報公開を行うこと
<これまでの課題>
改正法案提出の背景には、2022年に総務省の違法・有害情報相談センターに寄せられた相談件数は5,745 件と増加していることや芸能界等において誹謗中傷の被害者に対する救済が行われなかったことなどが挙げられます。現行の法律では、迅速で十分な救済と防止の手段が提供できていない実情があります。
<これまでの取り組み>
・2020年、総務省「プラットフォームサービスに関する研究会」が、「インターネット上の誹謗中傷への対応の在り方に関する緊急提言」を公開
・2021年4月、「改正プロバイダ責任制限法」が成立。SNSやブログ・動画サービスの発展に対して、開示請求の範囲の見直しや発信者情報開示について新たな手続き(非訟手続)を創設。
・2023年12月、「プラットフォームサービスに関する研究会」で、インターネットの誹謗中傷の対策について取りまとめ案を公開
<論点>
・誹謗中傷の定義が曖昧で、サービス提供者にその解釈を委ねられていることに批判の声が挙げられています。
・インターネット上の誹謗中傷、違法・有害情報、偽情報は、サービス提供者だけでは対応できません。根本的な原因の1つが、利用者側のリテラシー不足によるもののため、関係機関が協力して、リテラシー向上に取り組む必要があります。
・悪意を持って誹謗中傷を行う者や、注目を集めることで利益を得ようとする者への対策として、法執行機関による取り締まりの強化を検討する必要があります。
・SNS上ではなく、直接インターネット上で情報発信する誹謗中傷に対しても対策が必要です。
『PoliPoli』に掲載されている、デジタルに関する政策
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