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オーディションにやって来たパワフルお姉!🇰🇭【スーパースターを目指すカンボジアの若者たち】第5話

🇰🇭ソヒャップ

ケンの厳しいトレーニングのせいで、スーパースターになりたい若者たちの数は日々、激減。

気づけば、何十人といた若者たちの中で真面目に毎日トレーニングを受けているのは、タタとソヒャップだけ、なんてことになっていました。

ソヒャップについて紹介するわね。

ソヒャップは、スーパースターになりたいとケンの事務所にやってきた男の子。
ちなみに、ケンはそうやって事務所にやって来た若者に対して、オーディションを実施していました。
芸能界の知識なんかないクセに、一人ひとりの個性を見てやろうと思ったのね〜。

オーディションの課題曲は、当時流行っていた「Let it go」
アナ雪よ。

「えーと、君の名前は?」

「はい!アタシはソヒャップと申します!」

「ソヒャップ君ね、よし、じゃあ歌ってみよっか。」

「はい!」

ソヒャップが歌い出したのは、なぜか「Let it go」ではなく、
ホイットニー・ヒューストンの「I have nothing」でした。

そのプリッとぽっちゃりな容姿に爆裂おネェキャラ、そしてホイットニー・ヒューストンの熱唱にケンは心奪われました。

「お前、合格!!ぜんぜん課題曲じゃなかったけど、イイッ!合格だ!」

「きゃー!嬉しい!アタシ、頑張ります!」

その言葉通り、ソヒャップは一生懸命にレッスンに取り組みました。
昼間、仕事をしていたソヒャップは、夜しか事務所に来られなかったけど、どんなに疲れていても音をあげず、全てのトレーニングを凄まじいスピードで吸収していきました。

今って、多様性の時代っていうらしいわね。
もしかすると、「オネェ」って言葉は、怒られちゃうかしら?

でも、そこはどうかご勘弁を。

「オネェ」や「オカマ」っていうと、カンボジアのお隣の国・タイがその代名詞だったりするけど、カンボジアにもソヒャップみたいな子が“当たり前”にいます。

彼らは自分を隠さず、自分を愛し、多くの友人を持ち、人生を普通に一生懸命に生きています。

私たちも、普通にソヒャップを愛していたわ。
それにソヒャップは、そのキャラを存分に活かして、ケンの芸能事務所のアイコン的な存在にもなりました。

「ねぇ、サソリって、オスだよね?アンコールワット研究所にサソリをもらいに行ったとき、オスだって言われたよね?」

すっかり成犬の姿となった私を、ある日、レナが持ち上げました。

「サソリって・・・小っちゃいおちんちん的なモノはあるけど・・・キンタマが無くない!?」

「ええ!?どれどれ???」

あーん!ちょっと!
みんなでジロジロ、私の股間を見るのはやめてよ!
私は神のお遣い、可愛く言えば「天使」なんだから、性別は無いのよ!

「あらー!じゃ、サソリはレディーボーイってことね!アタシとお・な・じ❤︎」

なぜか、私とソヒャップの間には、妙な絆が生まれたのでした。

私と不思議な絆があったソヒャップちゃん

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