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「Loco-working」ってナニ?わざわざ聞きなれない言葉を使うワケ。

Local×Coworking=Loco-working!

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Loco-working/ロコワーキングとは、
ハワイ語で地元を表す「Loco」と、
ともに働くを意味する「Coworking」による造語。
Polarisが創ったことばです。

「暮らす」と「はたらく」が愛着のある場所でつながる
はたらき方のことであり、
「愛着と誇り」を持って、自分の生活からの視点や、
そのまちにある資源を活用して創り出す仕事。

そのまちに住んでいるからこそできる仕事、
自分の暮らしからの経験そのものが価値になる仕事。

人を活かし、まちの資源を活かし、
まちに新しいつながりを生み出したり、まちを活性化する仕事。

それらを「Loco-working」とか「Loco-work」と呼んでいます。

「地域」という言葉を使わずに、でも、地域を表現したい。
なんか、愛着とか誇りが感じられるような言葉で。

そう思ったときにパっと思い浮かんだのが「Loco」。

「ロコサーファー」「ロコおすすめのお店」「ロコしかいないビーチ」・・
このことばにはなんか、「地元への誇らしさ」を感じるぞ。
ハワイだなんて、軽やかでいいかも・・。

「ともに」を表す「co」が入っているのもいいな。
私たちが掲げる「coworking」ともかけ合わせられるし!

そう考えて、2012年からPolarisはこのことばを使い始めます。

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 なぜ造語が必要だったのか。

新しい表現で「地域」とか「まち」を表現したかった、と
書きましたが、それにはワケがあります。

今から10年以上前、私はある人に「地域にいるなんてもったいない!」
とほめられたのですが、その時すごーくもやっとしました。

すごい事業ですね!こんなことやれるんですね!という感じで
純粋にほめてくださったのだけど、

地域=「じゃないほう」

みたいな感じで、
自分が今いる場所を軽んじられたような、そんな気がしました。


「地域」という所で、面白い仕事をしよう!
愛着と誇りをもってできるようなことをしよう!

「わざわざここで」やる意味があるものにしよう。
「地域なんて」って言われないようにしたい。


そう思って、その後、身近な地域で多様で柔軟なはたらき方や、
地域から新しい価値をうみだすための事業がしたくて
Polarisを立ち上げましたが、私たちが何をやっているか説明をすると、

「ああ、つまり、ママさんたちが近所で働くのね」

などなど言われます。

確かにそうである。でもなんか絶対的に違う。「似て非なるもの」


そういわれて、否定はできない。でも、なんか違う。
強烈な違和感がありました。「つまり」で勝手にくくんなや!と。

地域×女性となった時点で、ボランティアだと思われることも
多かったし、「ママさんでも在宅でできる簡単なお仕事です」
みたいに言われることもたびたびあって、
(ママさんでもって、なんじゃい)

「出産年齢も高くなっていて、社会人経験が長い人が多いのに
”ママ”っていうだけで、なんでみんな何もできない人みたいに
思うんだろう」とも思ったし、
(IT系企業に9年勤めていた私を捕まえて、
女子大生が、”市川さん、パソコン使えるんですね!”と
ほめてくれたのもなつかしい思い出だ・・・)

かといって、「地域にだってスゴイスキルを持つ女性がいるんです!」
いうようなことを言いたいわけじゃない。
スキルとかそういう話がしたいわけじゃないのは
前にも書いている通りです。

のちに「くらしのくうき」という事業につながっていくのだけど、
そのまちに住んでいる人たちだからこそ産みだせる価値と
いうものがあって、この仕事に関わる人たちは、労働市場に
おいては、特筆すべきスキルもない、キャリアブランクを持つ
女性たち。

地域=ボランティア
ママ=安い労働力
地域×仕事=プチ仕事、パート仕事

2020年の今では、そこまでではないけど(でも根深い)、
2010年とか2011年頃はまだ、本当にそういう理解をされることが
多くて、「いえいえ、そうではなくて」とか「いえいえ、今までは
そうだったかもしれませんが、それを変えたくて・・・」みたいな
訂正とか説明が本当に大変だった。

分からなくて聞いてくれる人はいいけど、
勝手にそう理解して、勝手にすごい安い仕事とかボランティアを
持ってきてくれる人がいたり、しかも、勝手に「応援する」つもりで
来てくれているので、私たちが普通に見積もりを出したりすると
なんか失礼なことをしている人たちみたいに思われたり、
「なんだ、結構しっかりした金額提示するじゃん」みたいに
急に上から目線で言い出す人もいたりいなかったり・・・
(あの頃結構傷ついたなあ)

だったら、最初から新しい言葉を使おう!
新しいコンセプトは、新しいことばで語ろう。
変な理解とか手あかのついた慣習が染みついた言葉を
否定する方が大変だ。

そして、この考え方に共感してくれる
人たちと一緒にやっていこう。

と思って、生まれたのが「Loco-working」なのです。

否定しきれないけど、違和感があるくくり方や、
〇〇さんてこういうことをしてるんですよ、と紹介してもらった時
なんかちょっと違うけど、まあ、そういっちゃうと申し訳ないし
いっか・・・とモヤりながらやり過ごすような時は、
絶対その違和感を大切にしたほうがいい。
訂正しなくてもいいけど、(うまく伝えられたほうがいいけどね)

「うまく説明できない自分たちが悪いんだ」と思うこともあるでしょう。
確かに、分かりにくいことはよくない。

でも、自分達だけが感じ取っている価値の源泉であったり、
他者と自分たちを明確に分ける強みだったり、
何があっても守るべき「プライド」であるかもしれない。。

違和感、大事。他者と自分の境界線がそこにあるのです
「似て非なるもの」というのは、Polarisではとても大事にしている
考え方です。

いい「ノイズ」であるためにも、新しい表現や耳慣れないことばは
有効だ、というのは「非営利型株式会社」という法人格も同様。
賛否両論あるけれど、
私たちらしいこだわりが表現されているのは確かです。
この辺の話もまたどこかで。



とかいいつつ・・・


とか偉そうにいいつつ、私も地域は「じゃないほう」だと思って
30年生きてきた人間でした。

産後、今まで通っていた表参道の美容院に行けなくなったり、
洋服とか靴とかを家の近所で買うようになって、
「ああ、私はずいぶん遠くまで来ちゃったなあ・・」とか
思っていた。

家の近所だなんて、都心に行けない人が行く場所だと。
仕方なしに、行かざるを得ない場所だと。

確かに、「表参道に行けない人たち」だったり、
「表参道にお店を出せない人たち」かもしれないけど、
それは「じゃないほう」じゃない。

それに気が付くのは、地元で小さくても素敵な仕事をする
人たちに出会ったり、そもそも「そんなものは別にいらない」
ことに気がついて、私の中でこそ、「地域」というものの
捉え方が変わったし、だからこそ、この価値を伝えたいと思う。

しかし、今はまた表参道の美容院に行ってる。
大切なのは、自分がいいと思うものを選ぶことであって、
都心vs地域っていうような2項対立ではないんですよね。

#地域 #似て非なるもの #市川望美 #創業者  

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