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自分を満たす選択とウェルビーイング

こんにちは。自由七科のちひろです。
今回は、10月23日に開催された「調布ストリートパーク」で、ファウンダー取締役 市川望美が登壇したトークライブ「働く×ウェルビーイング」のレポートをお届けします。

イベント概要

調布ストリートパーク

日時:2022年10月23日(日)14:00~15:00
場所:トリエ京王調布てつみち
主催:一般社団法人グッド・コモンズ
司会:一般社団法人グッド・コモンズ理事 井藤寛子さん
登壇者:社会保険労務士 冨永聖子さん・非営利型株式会社Polaris 取締役ファウンダー 市川望美

左から井藤さん、市川、冨永さん

ウェルビーイングに必要なこととは?

井藤さん(以下井藤):「ウェルビーイング」は最近よく聞く言葉ですが、お二人はウェルビーイングをどのように認識されていますか?

冨永さん(以下冨永):自分でいろんなことを選択できることがウェルビーイングに繋がると考えています。様々な場面で「~しなければならない」ということがありますが、その中でもできるだけ自分で選ぶということがウェルビーイングに繋がるのではと思います。

市川:私はPolarisを設立する前に、子育て広場をやっていたんですが、そのときに、居場所があることの大切さを感じました。その居場所というのは、自分が満たされた状態になれる場所です。そういう場所もウェルビーイングには必要だと思います。

井藤:満たされた状態とは?

市川:たとえば何か役割がもてる場所。あるいは、役割がなくてもいいけど、「今はこれでいいのだ」と納得していられる場所です。子どもが小さいうちは、子育て広場に行っても子どもとしか話せなかったというときも多々あります。それでも自分がこれでいいと思えれば、穏やかな気持ちでいられますよね。

働き方を選ぶ自由と「守られている」安心感

冨永:私は、子どもが1歳になる前に社労士事務所で働くために就職活動をしたのですが、 経験があるにも関わらず、子どもが小さいからと相手にしてもらえませんでした。 その経験から、自分で事務所を開業しました。それは子育てと両立できる環境をつくろうと思ったからなんですね。現在、事務所のスタッフは全国にいて、フルリモートで働いています。また、働く曜日や時間も自分で決められるようになっています。自分自身で働き方や仕事のやり方を選べるというのはとても満足感がありますね。

井藤:今はそういう企業も多いのでしょうか。

冨永:増えていると思います。市川さんのPolarisも働き方を選べますよね。

市川:はい。私たちの場合、経営陣以外は全員業務委託でお仕事をお願いしています。仕事内容は様々で、庶務的なことをしている人もいれば、コワーキングスペースの運営をしている人もいます。

業務委託は雇用よりも選べる範囲が広い一方で、「守られていない」という側面もあります。自由というのは責任を伴うので、ときに選ぶことがしんどくなることも。「守られている」ことと「自分で決める」ことのバランスが重要だと思うんです。

井藤:もう少し詳しくご説明いただけますか?

市川:安心して選択できる環境が大事ということでしょうか。選択を自己責任として一人で背負うのではなく、コミュニティやチームをつくり、信頼できる関係性の中で選べるといいですよね。こうした考えから、Polarisではどんな仕事もチームで請け負うようにしています。

罪悪感を持たずに家事を手放すには?

井藤:「仕事もしたいし、母親として家事も育児も手を抜きたくない。どうすれば両立できるのか。」という声も多くあります。冨永さんはどうされてきましたか?

冨永:私は家事を完璧にするというのはもう手放しました。母として、妻として、こうあらねばならないというのを捨てて、自由になれましたね。

市川:頭では辞めていいと分かっていても、罪悪感を感じてしまう人は多いですね。たとえば食事はちゃんと作らないといけないとか。そういう人は、応援したいお店や何か自分の中でそのお店に行く理由をつくるといいと思います。そうして少しずつ自分がしんどいと思うことをやめてみる。そうすると、手放せることも出てくるのでは。

他者との信頼関係が働きやすさに繋がる

井藤:働き方で工夫されていることはありますか?

冨永:たとえば期限について、厳しいなと思ったり、調整が必要になった場合は、無理をせずに聞くようにしています。事情を伝えれば、意外とずらしてくれたりすることもありますよ。市川さんはどのような組織づくりをされていますか?

市川:私たちはもともと、育児離職した女性たちと仕事を請け負うことからスタートしました。そのため、起業時から急な予定の変更にも対応できる仕事の仕組みづくりをしてきています。大切にしているのはコミュニケーション。たとえば子どもの風邪だったら、少し体調が悪いということを完全に寝込んじゃう前に共有しておくとか。そうしたことが信頼関係をつくることに繋がるんですね。予定を配慮してもらうことは言いにくかったりもするけれど、そこを言い合える関係は大事です。

冨永:なるほど。それぞれの事情を受け止め合うことがこれからもっと大事になってきますよね。

市川:そうですね。結婚するしない、子どものあるなし、いろんな属性の人がいます。たとえば、介護を担うシングルの男性というケースもあります。長時間労働をコミットすることを強要するのはすでに無理がきていますよね。家事育児だって、男女関係なく担うのが当たり前になってきた。男性だから女性だからというのではなく、それぞれの立ち位置から大変さを伝え合うのが大事ではないでしょうか。

井藤:育児でも介護でも大変なことを自分だけで抱えずに、地域や仲間に共有していけるといいですね。

市川:そうですね。みんな大事なことがたくさんあって忙しい。では何かを我慢するのかとなるけど、我慢というのはウェルビーイングとは対極にあると思う。時には、誰かのアイデアを取り入れたりすることも一つのやり方。多様な時代、選ぶのは自分だけど、そのときに誰かに会って話をしたりすることは大事ですよね。

意外なことを自分に許してみる

冨永:私は仕事柄毎日スーツを着ているんですね。以前は色も白黒グレーの中から1着選ぶ、という感じでした。自分の中で、白黒グレーしか着てはいけないと思っていたんです。でもそれを少し変えてみた。まず下だけゴールドのズボンを買って履いてみたんです。それから少しずつ自由な人に触れてみるということを繰り返してみたんですね。そうすると少しずつ自分も自由になってきた。今振り返ってみると、当時は自分で選択できない状況にあったんですね。仕事も服も好きに選べないと思っていた。でも、服を少し変えてみたときに、自分で選択できることに気づいた。そこから、楽しいとか幸せとか、いろんな感情を感じられるようになったんですね。だからやっぱり選択できるということは、ウェルビーイングに必要だと思いますね。

井藤:忙しいと自分の気持ちも分からなくなってきますよね。カレーとスパゲッティとどっちが食べたいって聞かれても、すごく悩んでしまったりして。

冨永:料理だって、今日はご飯をつくらないで買って帰って、好きなドラマを見る、という選択肢もあるわけです。

井藤:それで幸せを感じられればOKと。

市川:小さな子どもがいると、自分が食べたいという理由で食事を選べなかったりする。そういうことがすごくたくさんある。誰かに強要されているわけではないけれど、納得して選べない。それはやっぱり選ばされている状態なんです。そこをどれだけ、自分で選択したというように変えられるか。さきほどの冨永さんの「やってみた」っていい言葉ですよね。自分に意外なことを許すというのは、ウェルビーイングの第一歩だと思います。

井藤:そうですね。小さなことの選択でも、自分で決めた納得感を持てると毎日が変わってきますね。そうしたことから、身体の健康だけではなくて心の安定が得られ、ウェルビーイングに近づけるのかもしれません。「やってみる」を今日のキーワードにしたいですね。

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