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2011年伊独仏の旅行記① イタリア

2011年1月31日 ローマ 1日目

若かりし頃、友人とヨーロッパ3か国周遊のバスツアーに参加した。
参加者は約30人、全員がほぼ同い年の初対面、しかしバスの中はいつも修学旅行のような賑わいがあった。

最初に訪れたのはイタリアのローマ。
自由時間にバルに入り、人生で初めて本場のエスプレッソを飲んだ。
苦いにもほどがある。
後で知ったのだがイタリアでは砂糖をたくさん入れて飲むのだそうだ。
飲む前に知りたかった。

ローマで最初に訪れた観光地はヴァチカン美術館だった。
システィーナ礼拝堂ではずっと天井を見ていたため首がたいそう疲れた。
横を通った英語ガイドのお兄さんの低く甘やかな声を聴き、友人とこっちの団体に紛れてしまおうかなどと冗談を言って笑った。

有名なラオコーンを見たが彫刻にうとい私は「美術の教科書で見たやつだ」という感想しかわかなかった。

礼拝堂から出ると遅めのランチタイム、ということで近くのピッツェリアで
マルゲリータとカプチーノを注文。
なんてイタリアっぽいんだ!とワクワクしながら飲むカプチーノは、イタリアでは午前中に飲むのが定番らしい。
飲む前に知りたかった。

私はたいそうな方向音痴のため、徒歩で移動すると必ず道に迷う。

ローマでも盛大に迷った。

観光客のいない、建物の間に紐で通された洗濯物がたなびく通りを抜け、小さな子供たちがボール遊びをしている広場を通り過ぎ、持っていた地図からぎりぎりはみ出す位置にある小高い丘の公園へたどり着いた。
見晴らしの良い丘から眺める、赤い夕日に染まったローマの街並みはとても美しかった。

その後無事中心地に戻ってこれた我々は、晩御飯にマクドナルドを選んだ。
日本のてりやきバーガーのようなご当地バーガーが食べたいと思ったのだ。
しかしイタリア語のわからない我々は何がご当地バーガーかすらわからず、結局マックポークとサラダのセットを注文した。
サラダは20cmくらいの立方体の箱に入れられ、ドレッシング代わりにオリーブオイルのパウチが3つもつけられていた。まさにイタリアっぽい。
結果十分にご当地マックと言える晩御飯となった。

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費用:
朝 パンとエスプレッソ €4.oo
昼 マルゲリータとカプチーノ €15.oo 
おやつ ジェラート €3.oo 
水 €0.60
ジュース €0.99
夜 マックポークとサラダとコーラ €6.50
電車賃 €2.00

2011年2月1日 ローマ 2日目

イタリアに来て二日目、ホテルの朝食で出たクロワッサン、コーヒーマシーンから出てくるカプチーノが美味しくて感動した。
食べ過ぎた分を取り戻すかのように、2日目は怒涛の観光となった。

<移動経路>
コロッセオ

フォロ・ロマーノ

ローマ時代のやんごとなさそうなお方の像が立っている何かの建物にちょっと入る

真実の口

ナヴォーナ広場

パンテオン

トレヴィの泉

スペイン広場

スペイン広場をながめつつジェラートを食べてもう気分は最高、というそのときに、イタリア人のおじさんが友人の隣にさっと座ってきた。
「You are beautiful. Where are you from?」
急に英語で話しかけられた友人は固まっていた。
私は自分の英語を試してみたい!と思い、日本から来たのだ、と友人の代わりに回答した。
そのおじさんは無言だった。
そして、私には一瞥もくれずに友人を見つめながら自分はフローレンス出身だ、と言った。
フローレンスってどこ?フランス?と私は聞き返した。
そのおじさんはフローレンスはフローレンスだよ、とやっと私を見て返事をした。

(フローレンスはフィレンツェの英語での呼び名だと知ったのはそれから1年後のこととなる。
おじさんも素直にフィレンツェって言えばいいのに。)

結局おじさんは友人をひとしきり褒めちぎったあとチャオ!と言って去っていった。
わたしはイタリア人からもナンパの対象外として扱われたことにそれなりに傷ついた。日本でも、イタリアでも、私の容姿は醜いのだ…と悲しくなった。
しかし観光地で悲しむばかりでは滞在費があまりにもったいないので、気を取り直して観光を続けた。

<移動経路 後半戦>
スパーニャ駅からレパブリカ駅へ

ローマ三越

夜のスペイン広場へ

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費用:
コロッセオ €12.00
トレヴィの泉 €0.05
昼 ラザニア €8.80 
おやつ ジェラート ×2 €4.00と€2.70 
夜 キノコのピッツァ(@フィオールフィオーレ) €3.10
電車賃 €3.00

2011年2月2日 フィレンツェ

ローマに別れを告げ、バスはフィレンツェへと向かった。
最初に訪れたのはウフィツィ美術館。ボッティチェリの絵画を見て「美術の教科書で見たことある絵だ」という感想を抱く。

その後、美術館付近にあるマーケットで人生初のトリッパを食べた。
モツやホルモンの煮込みはたまに食べてきたが、トリッパが一番美味しいと感じる煮込み料理だった。とにかくやわらかい。トマトとの相性が抜群。日本でももっと流行ればいいのに。

大理石で出来ているドゥオモ、触ると願いが叶うと言われているイノシシの像、ヴェッキオ橋を徒歩で巡り、共和国広場にある本屋に入った。
そこで見つけたのはルパン三世の同人誌であった。裏表紙には「オフィシャル」と書かれていたが、どう見てもモンキーパンチ先生の原作の絵ではない。コミケでみるようなルパンの同人誌と旅先で出会ったことに運命を感じてしまい、そのまま自分へのお土産にすることとした。

フィレンツェは夜が街並みがより輝いて見えるので、ぜひ夜に歩いてみてほしい。深い紺色の夜空と金色に輝くようなレンガの街並みのコントラストは、街のどこを眺めてもため息が出そうになる。

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費用:
ウフィツィ美術館 €6.50
昼 トリッパ €3.50 
おやつ マロングラッセジェラート(@グロム) €2.00 
夜 Tボーンステーキ、パスタ €18.00
ルパン三世の同人誌 €6.20
家族へのお土産のキャンティワイン €4.00

2011年2月3日 ピサからヴェネツィアへ

朝フィレンツェを出発したバスは、ほどなくしてピサの斜塔へと到着した。
この塔はあと何年このまま傾いて立ち続けていられるのだろうか。
ずっと見ていると不安になる傾斜である。

一通りピサの斜塔を支えるポーズなどで写真を撮り終えたら、ヴェネツィアへと出発。
16時頃にヴェネツィア本土に上陸した。

有名なカフェ・フローリアンに入りカフェラテとタルトゥーフォで一休み。内装も外装も格式が高そうであまりリラックスはできなかった。お金や権威のにおいがする場所はいつも緊張する。

サン・マルコ寺院を観光し、いくつかのグループに分かれてゴンドラを体験した。
私たちの担当のゴンドリエーレのおじさんがずっとケータイをいじくったり何かをすれ違う船に向かってしゃべり続けたり、なんだか思っていたより風情がないなあと感じた。しかも日が暮れ始めていたので運河が薄暗くて景色もあまりよく見えなかった記憶がある。
ゴンドラは太陽が沈む前に乗ることをおすすめする。

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費用:
昼 サラダとフォカッチャ €6.40 
おやつ カフェラテとタルトゥーフォ €20.00 
ゴンドラ €15.00

2011年2月4日 ヴェローナからミラノ

10時ごろにヴェローナに着いた我々は、ロミオとジュリエットの像がある場所へと向かった。先客はわんさかといる中国人観光客。ジュリエットの右胸をわしづかみして笑顔で写真を撮る集団を見てさすがにジュリエットが可哀想に思えた。
モンタギューだかキャピュレットだか知らないが、13歳そこらで心中するほどの悲劇を生きた後、銅像になって胸揉まれるなんて人生辛いにもほどがある。

ロミジュリの聖地を離れて2時間ほどバスに揺られ、ミラノに移動した。

ガレリアの牛の絵を踏みつけるという謎の願掛けを体験し、カテドラルへと向かう途中ですれ違いざま白人の男性に尻を掴まれた。体が硬直したが目は男を追い続け、男はにやにやしながら群衆の中に消えた。
私が人生で初めて痴漢にあった日だ。イタリアに来てから男性に嫌な思いをさせられる回数多くない?と嘆きながらカテドラルでしっかりと男に天罰が下るよう神様に祈った。

ランチで入ったレストランでは、70代くらいのマダムが隣に座っており、30cmくらいありそうな大きさのピッツァを一人でぺろりと平らげていた。
マンマ・ミーア!

滞在先でビューラーをなくしてしまったため、ガレリアにある百貨店の美容コーナーでひたすらビューラーを探し求めた。しかしどの店にもビューラーはないという。どの店の美容部員さんも信じられないほどまつ毛がぱっちりと上を向いているのに、だ。生まれた時から彼女たちのまつ毛は当たり前にカールしているのだろうか。羨ましすぎる。宝くじ1等に当たるのと同じくらいに憧れる。
結局、日本ブランドのシュウ・ウエムラの店舗で€30もするビューラーを買うこととなった。

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費用:
昼 ミラノ風リゾット €14.10 
おやつ 揚げパン €2.50
おやつ ジェラート €2.50
夜 寿司(カリフォルニアロールとイタリアーノ) €20.00
ビューラー €30.50
イタリア語の漫画 €17.00

2011年2月5日 イタリア出国、ドイツへ入国

バスツアーのデメリットを挙げるならそれは移動時間が長いことに尽きる。
朝にミラノを出発し、スイス、リヒテンシュタイン、オーストリア国境を抜けて目的地のドイツに着くまでに10時間ほどバスに揺られっぱなしだった。

ただし、スイスを通る際に車窓から見下ろした、アルプスの紺碧色をした雪解け水が流れる川の美しさを見れたこと、途中休憩のサービスエリアで買ったこの旅行中で一番おいしいお菓子と出会えたことなど、思いもよらないラッキーとも出会える可能性がある。
お尻が屈強な方はバス旅も悪くはないかもしれない。

<シュプリングリ>
スイスの一口サイズのマカロンのようなお菓子。甘さもちょうどよく、噛むとホロっとくだけて天にも昇るような幸せな気分になる。
スイスなので値段は高いが見かけたらお試ししてみてほしい。

ドイツで最初に訪れたのはヴィース教会だった。
見た目はかなり質素で簡素、しかし中に入るとキンキラど派手な内装に目を奪われるギャップ抜群の教会なのでぜひ訪れてほしい。

夜はご当地マックを食べるべく、宿の近所のマクドナルドへ向かった。ドイツにはニュルンベルバーガーというヴルストが3本バンズに挟まっているバーガーがある。ドイツらしく肉、パン、以上!!!というシンプルな味付けだった。

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費用:
昼 ピッツァ €8.40 
おやつ キットカット €1.07
おみやげ シュプリングリ €50.00
夜 マクドナルド €7.00

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