見出し画像

転生したら天国だった件 第一話(前半)   サトウ、死す

登場人物

サトウ

  • 趣味、筋トレ

  • 彼女なし

  • 22歳

  • ブラック企業で勤務

  • 6時~終電まで毎日仕事

  • 忙しいが、毎日寝る前と朝起きて筋トレをしている

  • 体力に自信があり

  • ごはんもプロテインとささみスティックのみ、と決めている

  • 唯一の癒しは家で飼っているフェレットと遊ぶこと


サトウ 母

  • 噂好き

  • スピリチュアルなことを信じていて、生前に徳を積んでおかないと地獄に落ちると信じている

  • 夫や息子にも言っていないが、長年のへそくりを利用して仮想通貨投資をしていて、実は小金持ち

  • ペットにフェレットを飼ってるが、息子にはだけ懐き、悲しい


ペットのフェレット

  • 名前はアーサー



第一話 サトウ、死す

「そんなんじゃ、アンタ死んでも天国にいけないわよ!」

「わかってるよ、うっさいな~。母さんは本当にその話ばっかり。小学生じゃあるまいし。」

「アンタねえ。ほんとうに地獄に行ったらどうなると思ってんの?針地獄だったらどうするの?無限に・・・」

「ああ!もううるさいな。わかった、わかったよ。じゃあ仕事だから。いってきま~す。」

サトウは、そう言うと母の言葉を強引に遮り、家を出た。

連日連夜の徹夜で、精神的に疲弊し、イライラしているので、少し強めに母にあたってしまったと後悔するも帰ってきたら謝ろう。。と、急ぎ足で会社に向かう。

今日はなんといっても、大口顧客へのプレゼンがあるのだ。この連日連夜の徹夜はこのプレゼンのためだった。

サトウが新卒に入社した会社はいわゆる超ド級のブラック企業。
このプレゼンで失敗したら、その分の売り上げを取り戻すために内臓を売ることになるかもしれない、というプレッシャーもあり、サトウの目は完全に血走っている。

会社に向かう道中、プレゼン用に用意したカンペを読みながらブツブツ練習していた。ただ練習するだけだと、時間が勿体ないので、ウォークランジを(いわゆる歩きながらスクワット)をしていたのだが、連日の徹夜の疲れからかフラついてしまう。
「体力だけが取り柄だったのに…プロテインとささみスティックだけじゃ栄養足りないかな。フッ」と独り言をつぶやいた瞬間。

「あぶない!!!そこの君、戻りなさい!!!」
「は?」










・・・即死だった。








周囲を見ずに歩いていたサトウは、フラついた拍子に赤信号を飛び出してしまったのだ。
そこに運悪く速度超過のトラックが突っ込んできた。
さすがのサトウもトラックには勝てなかった。

「あぁ、これはダメなやつだ。。天国いけるかな。。母さんの言っていた通り、地獄か。。。トホホ。。」



・・・



・・・




・・・( ^ω^)・・・


「いや、貴方は地獄にはいきませんよ、まだ。」

「・・・は?・・・は・・・?!え??????!俺、生きてる・・・のか・・・?」

「いえ、貴方は生きていません。地獄にも行きません。」

「じゃあなんだよ、天国にでもいくってか?」

「はい、貴方は今、天国にいます。」

「はい??馬鹿にしてる?」

「いいえ。馬鹿にしてません。私の名前は、アボック。貴方をサポートする妖精です。以後お見知りおきを、サトウさん。」









「はいはいはい、わかりましたよ。なんだ、そのコールポイントを集めないと、俺は地獄に行っちゃうのね。」

Soulポイントです。貴方にとっては重要なことです。天国にいる状態で、さらに死んだら地獄にいくことになります。天国ではSoulポイントがあり、それが0になると、その魂は死ぬことになり正真正銘の地獄に落ちます。
Soulポイントは、サトウさんのライフポイントみたいなものです。今は、1ポイント持っています。サトウさんの生前の世界である、いわゆる下界の人達を救うことで溜まります。」

「このあと、いくつかミッションが課されますので、そのミッションにクリアするとSoulポイントがもらえます。必ず、成功してください。わかりましたか?失敗すると・・・」

「わかった、わかりましたよ。Soulポイントを集めりゃーいいんでしょ。はいはい。」

「いやまだ、説明を終わってないです。パートナーも・・・」

「わかったって、うるさいな~。Soulポイントを集めりゃーいいんでしょ。はいはい。」


このやり取りなんか懐かしいな。ああ、とりあえず下界に戻れたら、母さんに謝ろう。そうこう考えているうちに、その時は来た。




天の声)ミッションのお時間です。サトウさんに、貴方には今からとある子供を救ってもらいます。クリアポイントは1ポイントです。失敗するとマイナス1ポイントです。今回のあと、10秒後に下界に移動します。では、頑張ってください。


「はい??え?それだけ?というか、失敗したら1ポイント?!!はい??俺、今1ポイントしか持ってないから・・・これ失敗すると、地獄ってこと???うそおおおおおおおおおお。誰か助け・・スッ」

そうこうしているうちに、下界に飛ばされたサトウ。

「こんなことになるなら、しっかりアボックの話をしっかり聞いておけばよかった。。。」


天の声)ミッションを進めていくためにはパートナーの協力が必要です。事前に指定がなかったので、こちらで指定させていただきました。あなたのことを信頼している方をアサインいたしました。

「は?・・・そんな人間いないだろ。だって俺、友達いないし。最悪じゃん。。。え?お!アーサーじゃん!!!って、動物ありなんだ!よかった~~お前元気してたか?アーサーがいれば、何でもがんばれる気がするんだよね~。アーサー頑張ろうぜ!」
「そうだ。ミッションっと。たしか、とある子供を救えって話だったよな。とある子供って誰?笑 とりあえず、歩いて探すか。」

脳筋のサトウは、何も考えずとりあえず歩き出すのであった。








ーーーー後半に続くーーーー
転生したら天国だった件 
第一話(後半) サトウ、死す


次回予告

歩くサトウとアーサーの前に、路肩に停まった一台の乗用車。
「こんな暑い日に、邪魔だろーよ。」

すると、サトウはあることに気が付く。
・・・あんなことが起きるなんて。


第一話(後半)は、こちらから👇

https://note.com/poitopoi/n/nda12b8d4f1b7

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?