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転生したら天国だった件 第一話(後半)   サトウ、天に

第一話(前半)はこちらから。
https://note.com/poitopoi/n/nd78cd2f63eb0





「・・・今日、暑くない?6月だよ、、」

いきなり下界に飛ばされたサトウは、独り言をブツブツつぶやきながら歩いていた。

6月にもかかわらず、30度を超える猛暑日だった。

猛暑日にもかかわらず、肩にフェレットを乗せ、30分も歩けば独り言をつぶやきたくもなるだろう。


いくら相棒とはいえ、こんな暑い日にフェレットを肩に乗せ続けるのは限界だった。
「アーサー、そろそろ降りてくれないかい?マッチョの俺もそろそろ限界だよ・・・」

アーサーからの冷ややかな目線を感じ取りつつも、致し方なし。と歩みを止めたその時。目の前に一台の乗用車が停まっていた。

くそ暑いのに邪魔だよまったく、と車の脇を歩きすぎようとするとき、一瞬サトウの目に入ったのは、目を疑うものだった。


後部座席に、2~3歳くらいの女の子がいたのだ。その女の子が何かを大事そうに抱えてながら、横たわっている。

そんな状況を見て、サトウは居ても立っても居られなかった。


どうにか車をあけようと何度もドアを引くが、ロックされていてあけられない。


窓をたたき、子供にロックを解除するよう大声で呼びかけるも、反応はない。(それもそのはず、後から発覚したのだが、この時点で車の中に閉じ込められてから既に30分近く経過していたのだ)


近くに親御さんがいないか、大声で叫ぶ。



誰からも反応がない。



それどころか、いきなり大声を出したので、警戒され誰も近寄ってこない。





刻一刻と時間は過ぎていく。







このままでは、この子は助からない。







サトウは、意を決し、その場に落ちていたコンクリートの破片を手に取り、運転席の窓ガラスをたたき始めた。


コンクリートの破片はすぐに砕けてしまい、なかなか割れない。


再度コンクリートの破片でたたいてみたり、堅そうな石を使ってみたり。


何度もたたいた。

何度も。何度も。何度も。



サトウの手は血で真っ赤になっていたが、そんなことを気にしていない。


さらに、何度もたたいた。


何度も。何度も。何度も。





そして、ついに窓にひびが入った。


「もう少しだ。もう少しで助かるぞ!がんばれ!!!」


ガン!ガン!ガン!ガン!バリーン!


ようやく、割れたのだ。
血まみれの手を伸ばし、ドアロックを解除し、女の子を助けた。

そこで初めて、周囲は状況を理解し、助けてくれた。たまたま近くに医者がいたらしく、適切な処置がなされた。

医者が言った。

「まだ、この子息してるぞー!大丈夫!」



ドサッ



女の子が息をしていることを聞いたサトウは、気を失ってしまった。

猛暑の中激しい動きをし、大量に流血していたこともあり、普通ならもっと早く倒れていただろう。それがサトウのすごいところだ。














目を覚ますと、そこは天国だった。
目の前にいたのは、アボック。



「あ、、あの子は助かったのか!」
「あの子は、助かりましたよ。」



「そうか、、、それは良かった。。」
「あ。」




「どうされました?」
「あ~いや。そういえば、ミッション中だったな、と。」




「はい、貴方は無事クリアされました。これでれっきとした神の使いです。」
神の使い、、?どういう意味?」




「実は、今回のミッションはあなたを試したのです。」
「試した??何を?」




「貴方が神の使いとして認められるかどうかをです。私は正直ほっとしました。天国に来られた貴方は以前とは全く違い、人を救えそうな、救ってくれそうな人相をしていなかったので。」
「いやいや、全然意味わからんて。そもそも神の使いもわからないし・・・」




「神の使いは、文字通り神の使いとして、下界を救うために存在しています。先ほどお伝えしたとおり人を救うミッションをクリアし、Soulポイントをためるというのが神の使いの仕事なのです。」
「はあ、、。」




「ですから、これからは神の使いとして、下界の人々をぜひ救ってください。サトウさん」
「はあ、、、。」




「そういえば、サトウさん。あの時、助けた女の子ですが。」
「おん!元気なんだよな?」




「はい。今も元気に暮らしているそうですよ。ただ、一緒にいたハムスターは助からなかったそうですが。」
「あ~。あの時大事そうに抱えていたのは、ハムスターだったのか。」

深い悲しみと自分への怒りが入り混じった複雑な表情をするサトウを見て、これから神の使いとして色んな人を助けてくれることを確信したアボックであった。




「そうそう、実は俺さ。過去に一回、車の中にいた女の子を助けたことあったんだよね。俺、2回もそういう場面に遭遇しちゃったよ。あんな事故、二度と起きてほしくないわ。その時に助かった女の子も元気かな~。」
「そうですね。きっと元気ですよ。」








実は、サトウは2回、車の中にいた子供を助けたわけではない。


神の使いのテストとして、一番サトウが良心にあふれていた時期に出会った事件に再度遭遇したら、今のサトウはどういう対応をするのか。
当時と同じ対応をするのか、を測る試験だったのだ。


そして、見事サトウは合格。

過去の事件を再度体験しているなど、つゆ知らずサトウは2回助けたと勘違いしている。

事実に気づくのは、だいぶ後の話。





それでは、第2話でお会いしましょう。

ではまた。



Special Thanks(順不同)
クマさんあっきぃさんたつくさんサトウさん

※作成にご協力、アドバイスいただいたみなさんです。本当にありがとうございます!


作者 DAO Heaven ポイポイ

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