詩のソムリエ、母になる/新川和江「赤ちゃんに寄す」(こどもと詩①)
3月下旬、ついに出産予定日。入院バッグに詰めたのは、新川和江さんの詩集。表題作「わたしを束ねないで」で有名な新川和江さんは、夫との出会いや妊娠出産についてすばらしい詩を書いている。
出産は壮絶な体験(完全にケダモノ化…)。長い断末魔の陣痛の末、げんきな産声を聞いたとき、あふれる涙とともに新川和江さんの「赤ちゃんに寄す」のことばが体を貫いた。
これだけ医療や科学技術が発展しようとも、出産は母親が命を懸けて死に物狂いでおこなうもの。だからこそ、産んだ瞬間、これまで味わったことのない種類の達成感を覚えた。
いつもどこかで、「もっとがんばらなくちゃダメだ」と欠損感と焦燥感を持ち続けていたけれど、《子を産んだ》ことが、こんなにもパワフルに肯定感をもたらしてくれるとは…。誰がなんと言おうとも、ゆるがない肯定感ははじめてかも。
退院日には、太陽の光を浴びて《母になったぞー!》と伸びをした。細胞全部が生まれ変わったような、清々しい気持ちに。
出産は、じぶんが何倍にもつよくなった経験であり、詩を体感できる体験でもあった。退院のとき、木々が風にゆれていたのが忘れられない。
▼新川和江さんの詩を「食べる」レシピはこちら
ぼちぼち、ウィリアム・ブレイクや八木重吉、室生犀星ら詩人たちの「子どもの詩」も紹介していきたいと思います。どうぞお楽しみに!
どうでもいいあとがき
産後は、みすゞメンタル(金子みすゞの感傷的なメンタル)になったり回復したりで感情が忙しかったです(ホルモンバランスの急激な変化のせいです)
そのお気持ちだけでもほんとうに飛び上がりたいほどうれしいです!サポートいただけましたら、食材費や詩を旅するプロジェクトに使わせていただきたいと思います。どんな詩を読みたいかお知らせいただければ詩をセレクトします☺️