豊島美術館の床で思う
音担当茂野です。
先週、瀬戸内海の小豆島へ行く機会があったので、船で豊島へも寄ってみました。かつて産業廃棄物大量不法投棄で大問題となった豊島ですが、今はアートの島として生まれ変わっています。
この島を象徴する存在、アーティスト内藤礼氏と建築家西沢立衛氏による豊島美術館へ今回初めて行ってみました。
そこで感じたことを書いてみます。
光、水、風、音、時間
豊島美術館には展示物がありません。
人々は、柱のない広いドーム空間に佇んで、静かに流れる時間を体験します。
天井に大きく開いた2箇所の穴から、その日の天気によって、光や雨や風が降り注いできます。穴の縁に細い紐が弧を描くように付いていて、それが風によって揺れる様子もまた作品です。
大きな天穴は、海側と林側にあり、その中間点にいると、それぞれの方向から違う音が聴こえてきます。風の音、木々のざわめき、鳥の声。音はドーム内で反響し、気持ちのいいアンビエント空間を作っていました。
また、床の所々に小さな穴が開いていて、そこからときどき地下水が湧き出てきます。水は床を這うようにゆっくりと流れ、形を変化させていきます。この水もまた作品なのです。
ここでは一般的な美術館のように個々の作品を鑑賞することはなく、ただそこに居て、光と水と音とともに自身もまた作品の一構成要素となり、流れる時間によって変化していく環境を体験するということになります。
私が行った日は快晴でそよ風が吹く穏やかな天気でした。
床に寝転びながら過ぎゆく時間をゆっくり楽しみました。
次回は雨の日に訪れてみたいですね。天穴から降り注ぐ雨と雨の音に包まれるのもまた良いだろうなと思いました。
芸術祭へ
Poetic Mica Dropsのこの先の活動として、自然一体型の芸術祭にエントリーしてみようと考えています。
ポエトリーリーディングのライブパフォーマンス、映像作品の上映など、それぞれの芸術祭でどんなことが可能なのかをリサーチしながら、そこに向けた創作活動を進めていこうと思っています。
豊島も会場となる瀬戸内国際芸術祭へもぜひ参加してみたいと思っています。
豊島美術館は、基本ドーム内で音を出してはいけないのですが、もしあの中でポエトリーリーディングのパフォーマンスができたら、詩と声と音とで、すごく印象的な体験型作品を披露できるなと思います。
Poetic Mica Dropsの自己紹介的な作品「Intro #1 」を、もし豊島美術館内でやったらどんな感じになるかと考え、今回試しに動画を作ってみました。
豊島美術館ドーム内の音の反響、先週そこで聴いた音の記憶を元にシミュレートしてみました。
豊島美術館の床で感じる
生命の進化論には、その環境に適応できるように生命体が変化してきた、という考え方がありますが、私は、生命体がその環境に入り込むことによって環境を変化させてきた、という考え方もまたあると思っています。
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