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AIとのコラボレーション朗読@ポエトリーリーディングin前橋文学館

草間です。6月3日、前橋ポエトリー・フェスティバル2023「ポエトリーリーディングin前橋文学館」という詩のイベントへ出演したので、レポートをお届けします。

実は、前橋市は、Poetic Mica Dropsにとってもゆかりのある場所。
2019年に開催されたまえばし猫町フェスにご招待いただき、萩原朔太郎記念館・蔵にてポエトリーリーディングのパフォーマンスを行いました。

草間は2014年の第一回前橋ポエトリー・フェスティバルのオープンマイクに参加してから、ここ数年は前橋で久しぶりの詩の仲間とともに朗読に浸る時間が毎年のたのしみとなっています!

去年の出演のレポートはこちらのnoteにまとめたので、ぜひご覧ください。
前橋在住のミュージシャン・Rinnさんとのコラボレーションを行いました。

総勢40名超の詩の朗読

今年は、台風の影響で残念ながら現地へ来ることが叶わなかった方もいらしたのですが、総勢40名を越える詩人が4時間半に渡り朗読を披露。

萩原朔美館長のとても珍しい自作詩の朗読にはじまり、マダガスカルから来日されたトーキョーハーレムさんのリーディング、映像や音楽で工夫を凝らしたもの、ユーモアあふれる語り、眠ってしまったお子さんを抱きながら、俳句あり短歌あり、様々な形をとりながら、でも誰もが真正面から叫んでいる、そんな迫力がずんずんと空気を伝ってやって来るので一瞬も目が離せませんでした。

良いなと感じるフレーズがたくさんあったので随所でメモをしながら聴いていたのですが、わたしが特に印象に残ったのは、iidabiiさん「きのこマン」と雨下きつねさんの怪しげな童歌のような作品(カリンバをつまびきなが「拙者社畜ツーブロック」と繰り返すのです)、GOKUさんの雑草の言葉を見出す作品も、雑草抜きをするたびに思い出すでしょう。
そして宮尾節子さんの朗読、次はぜひバンド演奏で見てみたいです!
さらに羽島貝さんの「手錠をした犬が僕のベッドで寝ているので眠れない」、という詩も面白かったです。「僕ももう寝たいのに」。あ、そこなんだ……と、カラッとしたユーモアが小気味よく感じました。

🔽idabiiさんの「きのこマン」は、YouTubeに動画がありました

今回のイベント全体として惹かれたのは、10〜20代の若い方々が次々参画している点。場が常に開かれ人の循環があり、志を持つメンバーが積極的に繋がり合える環境こそが継続するイベントかつコミュニティだと実感しました。
前橋ポエトリー・フェスティバルを主催する団体「芽部」代表の新井隆人さんをはじめ、運営の方々が意識して取り組まれているのでしょうね。

AIとのコラボレーション

画像は宮尾節子さんのTwitterからお借りしました!

さて、草間はというと、今回は生成AIの「Chat GPT4」とコラボレーションをした朗読を行いました。
その言葉通り、AIと対話しながら、AIとともに詩作し、AIとともに朗読する、というもの。

AIのアップデートや学習が進み、次々と素晴らしい作品を創出しているなか、人間との差分はどういったものかと考えた時、わたしは常々「AIは成果、人間はプロセス」であると思っています。
なので、プロセスを存分に楽しんでいただきたい、という思いから今回のパフォーマンスを企画しました。

実際にどういった過程(プロセス)でどんな成果を生み出したのか、以下に示します。

草間:
これからある詩人(草間)の作品を3つ投稿します。これらの詩を読み、特徴と作風を学習してください。一つ目の詩はこちらです

わたしの第一詩集『あの日、水の森で』より、一つ目の詩「秋の幽霊」(草間小鳥子)を投稿したところ、それに対するAIの回答はこうでした。

ChatGPT4:
この詩は物憂げであり、少しの哀しみやメランコリーを含んでいます。詩人は時折り、具象的なイメージを用いながら、ある種の失われたもの、消え去ったもの、変わってしまったものについての感情を描写します(中略)
全体として、この詩は時間の流れ、変化、そして失われたものへの感傷を強くテーマにしていると言えるでしょう。次の詩をお待ちしています。

二つ目の詩は、文藝春秋に掲載された「数値化されない波」を。

ChatGPT4:
この詩は、前の詩とは異なる雰囲気を持っています。一部には哀愁も含まれていますが、詩はより抽象的で、考察を促すような表現が特徴的です(中略)
この詩人の作風は、比喩的かつ象徴的な言葉を使い、読者により深い考察を求めるものです。また、社会的なテーマと個人的な感情を組み合わせ、それらを巧みに交錯させる能力も持っていると言えます。

そして最後に、詩と思想新人賞を受賞した「耳畑」を投稿したところ、

ChatGPT:
この詩人の特徴として、リアリティと抽象性を巧みにブレンドし、独自の視点から人間の経験と感情を探求する能力が挙げられます。具象的な描写と抽象的な考察を組み合わせ、詩人は読者をその内面の世界へと誘います。
以上の三つの詩から見るこの詩人の作風は、感情的な深淵と哀愁、社会的なテーマへの洞察力、物語性と具体的な描写の繊細さ、そして人間の感覚と経験への深い洞察が特徴的です。

とのことでしたので、次に以下のプロンプトを提示し、AIに新しく詩を書いてもらうことにしました。

草間:
以上の学習を踏まえ、この詩人が「青」をテーマとした詩を書いたらどのようなものになるか想定し、詩を生成してください。作中には群馬県前橋市の地域性や文化、地名等を挿入してください。

生成されてきた詩はこちら。

ChatGPT:
「まぼろしの蒼空と前橋市」
 神橋のそば、かたちを整えた風が前橋の街を彩る。誰もが静かに息を呑み、石畳の上に落ちる鉄道の音を聴く。それは遠くから送られた、ひとひびきの青の詩だ。
 ひととき、駅のホームに青が降り積もる。風に乗って届いた青が、雨粒のようにちりばめられ、見上げた空は一面のターコイズ。あたかも時が静止したかのように、ふいに寂しさを湛えた青が、人々の胸を打つ。
 こんな日、わたしはミカドパフィーの音を追う。青く煙るギターの音色が、前橋市の風に乗り、吾妻山へと広がる。流れる音符は、すべてが青の詩を奏でる。
 一角に広がる大樹公園、その葉陰は深い蒼。緑の葉が青に溶け、青がさらに蒼へと変わる。見えない波が、こぼれ落ちるように、ここに青の詩が生まれる。
 街角の喫茶店で、青い珈琲を啜る。一滴の青が舌先に残る。それは碧い海のようで、夜空のようでもあり、無垢な青の香りが、この街に満ちていく。
 明日が来て、再び青が生まれ変わる。それは新しい音色、新しい詩。前橋の街が青に包まれるたび、新たな旋律が生まれる。
 夢のように美しい青が、いつまでも詩を奏で続ける。それが前橋の青、それがわたしの詩。群馬県前橋市の青が、風に乗って四方に響き渡る。
 新たな青が生まれ、古い青が眠りにつく。それが詩人の世界。それが前橋の世界。夢と現の間で、わたしは青の詩を紡ぎ続ける。そしてそれは、ひとつの永遠なる詩になる。

ハルシネーション(※)も多くこのままではとても詩とは呼べないので、最後にわたしが大枠は変えずに少しだけ手を加えました。
こちらが、朗読したものです!
※人工知能が学習したデータからは正当化できないはずの回答を堂々とする現象

 神やどる橋のたもと、かたちを整えた風が前橋の街を彩る。誰もが静かに息を呑み、石畳の上に落ちる列車の音を聴く。敷島緑地の葉陰に深い蒼。見えない波がこぼれ落ちるように、葉陰に詩がひるがえる。ひとひびきの青の詩に。
 駅のホームにしんしんと青が降り積もる。風に乗って届いた色が雨粒のようにちらばり、時は止まる。寂しさを湛えた青にひととき胸を打たれる。
 あなたは喫茶店の扉をくぐり、ミカドパフィーの音を追うだろう。青く煙るギターの音色が風に乗り、広瀬川を流れる旋律のすべてが詩となって街に浸潤する。
 青い珈琲を啜る。一滴の苦味が舌先に残る。それは海のようで、夜空のようでもある。無垢な香りが、この街を染めてゆく。
 真昼の夢のような青が、いつまでも言葉を奏で続ける。それが街の名前、あなたの詩。前橋の青が、川を渡る風に霧散し響き渡る。

「ミカドパフィー」って何だろう、などツッコミどころは多いですが、人間との連詩とも違う、ある種の「思った通りにいかないもどかしさ」をポジティブな面白さとして体験することができました。

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