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ある外国人のはなし

その国の玄関に足を踏み入れた時

今まで体験したことのない

静けさに驚愕した

それは圧倒的だった

人々の声が

空間に漂う空気が

ガラスの向こう側に広がる風景が

もの音一つ立てないで

じっとしているよう強いられているようだった

あるいは

音を立てる事が

ひどく罪なことなのかもしれない

わたしにはそう思われた

しばらくして

不思議なことに

わたし自身も静けさの中に取り込まれていった