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ミヒャエル・エンデの『モモ』- 「時間」を取り戻しに行く

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ミヒャエル・エンデの児童文学とも言われる代表作『モモ』を紹介する連載です。あらすじと印象的な台詞、文章。「時間とは、生きるということ、そのものなのです。そして人のいのちは心を住み…
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#児童文学

ミヒャエル・エンデ『モモ』(14)モモは灰色の男たちを追いかけて、時間の花を取り戻す。

とつぜんに、マイスター・ホラはまた想像をぜっするような老人に変わりました。

そして、「どこにもない家」の奥に入っていきます。ホラが眠りにつく時、この世の時間が止まります。

ぐらぐらっと、時間がゆれたような感じがしました。
周りにあった無数の時計が止まりました。

いま動けるのは、「時間の花」を持つモモと、カシオペイアだけです。

その時、灰色の男たちが<どこにもない家>に押し寄せてきました。ひ

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ミヒャエル・エンデ『モモ』(13)カシオペイアとの再会、おそろしい病気とさいごの道

ミヒャエル・エンデ『モモ』(13)カシオペイアとの再会、おそろしい病気とさいごの道

モモはカメのカシオペイアと再会しました。

「マタキマシタヨ」

カメの甲羅に文字が浮かびます。

「アエテ、ウレシクナイノ?」

「うれしいわよ。」モモは泣きそうになって言いました。「うれしいにきまってるじゃない、カシオペイア、すごく、すごくよ!」

カシオペイアはモモに導きを示します。

「ホラノトコロニ ユキマショウ」
「いま?」モモは、びっくりしてききました。

灰色の男たちはみんなでカメ

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ミヒャエル・エンデ『モモ』(12)モモの放浪と、勇気の対決

ミヒャエル・エンデ『モモ』(12)モモの放浪と、勇気の対決

モモはひとりで「時間の花」の豊かさを抱えていました。

町へ出かけると友だちに出くわします。円形劇場で遊んだ仲です。モモは声をかけました。

「で、これからどこに行くの?」
「遊戯の授業さ。遊び方をならうんだ。」

モモがどんなことをするのかとたずねると、

「パンチ・カードごっこさ。」
「どのカードにも、いろんな記入事項がいっぱいある。身長とか、年齢とか、体重とか、まだまだいっぱい。」

これら

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