あの世に旅立つ時に必要だったもの
キンモクセイのうっとりするような甘い香りが漂ってくる。大好きな香りはもうすぐ母の命日だというサイン。
母が亡くなった後、私の体に異変が起きた。耳鳴りがひどくてよく聞こえない。精神的なものだとは思えず、母が何かを訴えているのではないだろうか、と気になった。
霊視ができる知人にすぐに連絡したところ「お母さんが補聴器がなくて困っているからそばに置いてあげて」と言われた。母がいつも使っていた補聴器をそばに置いたところ、私の耳の不調はすっかり消えてしまった。
「補聴器があるからもう安心だね。光のある方へ進めばいいんだよ。光がある方へ行けば迷うことはないからね」
何度も何度も言って、母が無事あちらの世界へたどりつけるように祈った。
初七日を終えた。七日間は亡くなった人が三途の川に辿り着くまでの期間だという。帰り道、キンモクセイの香りがした。いい香り。母が無事天国へたどり着いたという知らせなのかな。あの日以来、私の体に不調はないから。
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