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方向違いだった「好きなこと」

かつて食関連の仕事をしている時に、某料理の鉄人の話を聞く機会があった。料理に関するお話の中で印象に残っている言葉が
「レシピは教えてあげるけど、教わった通りに作ったとしても私の作ったようにはならないよ」

その後、料理人に憧れて有名イタリアン店のシェフに習う料理教室に通い始めた。シェフに教わった通りに作ったのに、同じグループのメンバーが作ったものと食べ比べてみると皆それぞれ味が違う。シェフが作ったものは段違い。パスタのゆで加減、肉の焼き加減、野菜の火の通し具合など、秒単位の違いが大きな味の違いになることを知った。

「私は料理が好きだ。美味しい料理を作れるようになりたい」と思っていたので、いろんな料理教室に通い、プロの料理人から料理を教わった。
数年かかって気づいたのは
「私は料理を作るのが好き、でなくて、美味しい料理を食べるのが好きだったんだ」

普段は時間がなくて簡単料理しかしないので、たまには手をかけて美味しいものを作ろうと思いたった。”プロの味”と書かれたレシピを何度も読んで作り始めた。

分量も手順も合っている、美味しくなれと念じながら丁寧に作った。だけど、ちょっとパンチが足りないような気がする。
鉄人の言葉を思い出した。レシピ通り作ってもプロの味にはならないんだった。加減、塩梅を習得してこそ職人技。その域に達するには熱意と努力と愛情が必要。私はプロの味を食べる側でいようと思う。

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