【初心者】文字書きが初めて文庫エッセイ同人誌を完成させるまでにお世話になったリンクまとめ
※このnoteは、”同人誌など「紙の本」を自主制作してみたいけれど、まだ一度もやったことがなくていったい何をどうしたらいいのか右も左もわからない状態の文字書きの方(数ヵ月前の私)”に向けて書いているものです。
すこし前、文学フリマに初出店するのを目標に文庫サイズのエッセイ集を自主制作しました。
本づくりの知識はゼロ。編集や校正はまだ勘どころがわかるものの、レイアウトやデザイン、印刷などはほんとうにほぼ知識ゼロで、まさに手さぐり状態の制作でした。それでもなんとか、形にすることができました。
完成したものをよく見ると自分でも「あっここはもう少しこうすればよかった!」という改善点はちらほら。それでも、大きなミスなく一発入稿で仕上げられたのは奇跡に近い偉業かと……(※わたしの日ごろの行い比)。
これもひとえに、インターネットの大海原にすばらしい先達の知恵が散在していたからにほかなりません。何の誇張もなく、これ事実。
同人誌コミュニティにまったくつてのない自分がこの本を作れたのは、インターネットと、そこに情報を公開してくださっていた先達のおかげです。
原稿や表紙の作成中、ほんとうに何度も感動していました。先達のみなさんが、惜しみなく詳細にノウハウを公開してくださっていて。壁にぶつかるたび、Google先生経由でそれらの知恵にたどりつき、「神……!」と思いながらありがたくいろいろな技を真似させていただきました。
あまりに数々の知恵にお世話になったので、わたしも何かしら足跡を残しておきたいなと思い、このリンク集を書いています。というわけで以下は、工程別にわたしがお世話になったリンクのまとめです。
これをたどればとりあえず素人でも紙の本ができるよ、というリンク集。
もし2回目の本作りをするとしたら、わたしまた同じことを調べる気がしたので、少なくとも自分の役には立つはずと。そしてできることなら他の「紙の本つくってみたいな……」って悩める方の参考にもなれば幸いです。
※なお大事なことですが、初心者が書いているため、この記事にある方法は一例であって「ベスト」とは限りません。他にも便利なアプリやサービス等山ほどあるのはなんとなく感じている(キャパ不足で吟味しきれていない)ので、お時間のある方はぜひご自身でもいろいろ調べられることを推奨します(そして使ってみてよければむしろ教えてください!)。
1.印刷所の手配
入稿データができあがってなくとも、出店イベントなど本の完成日が決まっている場合は何はともあれ印刷所の日程を予約(または問い合わせ)します。早割などの特典がある印刷所が多いですし、イベント前の日程は予約が集中するので数カ月先でもとれないことがあるからです。
慣れている方には常識だと思うのですが、わたしはそのあたりの感覚がなくのんびりしていたので、近づいてきてから印刷所のページを見に行き「うわっ、その日程全部うまってるっ……」とあたふたしました。さすが初心者。
なお今回わたしがお願いしたのは「ちょ古っ都印刷工房」さん。以前文学フリマにお客として足を運んだ際、「自分好みだな」と思う本を見るたびに奥付(後ろの方のページ)で印刷会社さんの名前もチェックしていたのですが、その中に複数、この印刷会社さんの名前があったからです。
ただ、下記のtogetterなどをみてもわかるように、みなさんけっこう好みはバラバラ。費用、色、装丁、紙の種類、加工の種類、対応などなど、何を重視するかで相性は変わってくるもようです。わたしもまだ経験値が1しかないので、今後他の会社さんにもお願いしてみたいなと考えています。
・最初に全体像をなんとなくつかむ10選。ざっくり特徴を把握できる。
・漫画やイラスト系の情報が多い中、文庫小説同人誌に特化して比較してくださっていてとてもありがたい……! 個人としても次回発注時はもっと読み込ませていただこう、と思ったリンク。
・ちょっと昔(2014)だけど、先達のリアルな声が楽しい……。
【個人的な改善点】今回は時間がなく一発で本番刷りになったので、次回以降はできれば事前に紙サンプルや試し刷りなども手配してみたい……
このnote↓は最近拝見したので今回の制作には間に合わなかったけれど、読ませていただいて紙のサンプル、次までには絶対取り寄せよう……!という思いを新たにしました。書いてくださってありがとうございます。
そしてこちらも作成後に拝見したnote↓。わたしも次回がもしあれば、カバー付きなども検討してみたい(時間とお金がゆるせばですが…)。みなさん紙や装丁にこだわっていてまぶしいです。
2.原稿づくり
・本文
はい。上記が本文原稿作成の基盤となる神リンクです。
手持ちのWordだけでなんとかしてしまいたい方はまずここへ行きましょう。
印刷所・ポプルスさんのページのようですが、万人向けに「Word」での印刷用原稿の作り方をていねいに、わかりやすく!解説してくれています。
用紙サイズ、余白、ノンブル、縦中横等々、「本でよく見るあの形式にするにはどうしたらいいの?」という初心者の疑問をひとつひとつ解決していってくれます。設定なども具体的に教えてくださってて、ほんとうに神です。
ちなみに文庫本での本文設定についてはこちら↓も参考にしました!感謝。
ほんとうにみなさんの経験値がすごくて頭が下がります……。ありがたい。
ということで入稿用の原稿づくりはわたしの場合、基本的には上記のポプルスさん神リンクに沿って進めつつ、対応に困ったときなどに適宜調べて進めていきました。
以下には、わたしが原稿作成中に個人的につまづいたポイントと、その解決策を示してくれたありがたいリンク先をのせておきます。
*
■ ダッシュ「ーー」のつなげ方がわからない
→下記リンクの200%設定で解決!ありがとうございます。
■ なぜか縦書きにすると三点リーダが横になってしまい、「縦中横」設定でも解決できない
→これはわたしのPC固有の問題のようでした。でもなんとかせねば……ということで、お世話になったのがこちらの方法(↓)。言語設定変えてチェックしながらの編集は面倒だったけれど、解決できたので感謝です!
■ ページごと、または途中から別のヘッダーにしたい
→ヘッダーやページ設定は、「セクション」を挿入するとセクション単位で行えるようになる。初めてWordの「セクション」を活用できました。感謝!
■ ページ数の表示箇所について
→「ページ数」の表示箇所、設定を「外側」にしても「内側」に表示されているじゃないか……と混乱していたとき、このリンク先にあった文言(下記に引用)に救われました。ありがとうございます。
※注※ 本来、ノドは本の内側に、小口は本の外側にあるのですが、Wordがもともと横書きを標準として作られたソフトだからか、縦書き右綴じの本では内側・外側が実際とは逆になっています。
だから、右綴じの本で「外側」にページ数を配置したかったら、設定では「内側」を選ばなきゃならないのだなと理解。ていねいでありがたいです。
■ 「セクション」を分けているのに、あるヘッダーを編集すると連動して前ののセクションのヘッダーも編集されちゃう問題
→「まずはセクション1とセクション2の関係を断ち切ります!これが重要」と言い切ってくれたこのリンクに救われました。本当にありがとう……。
■ 固有名詞って出していいのかな……? 問題
→下記のリンクと、個人的に出版社勤めの友人にヒアリングして、今回のわたしのケースについては問題ないという声をもらえたことから、一部表現を更新するなどして残せるものは残しました。
もちろん、誹謗中傷するようなことを書けば、名誉毀損で訴えられる可能性などもないとはいえないので、なんでもかんでもOKというわけではなく、内容によって吟味したほうがよいな、というのが個人的な印象です。
・奥付
本の最後に、発行者や印刷所などを書く場所がありますよね。あれを書かなきゃな、と思ったときにこちらのページ(↓)がたいへん参考になりました。理由まで示してくださるとか。ありがとうございます。
(ちなみに、ものすごくためになる情報をわかりやすくまとめてくださっているのをまじめに読んでいたら突然「後記に至るときはたいてい屍になっていることが多いものですが」とさらり出てきて身にしみすぎました)
わっ。バナーを貼って今気づきましたがこの「はに同。」さんって「初心者向け同人誌作成お助けサイト」さんなのですね。
どうしようこのnote。もはやこの先を書き進める意義をしゅうしゅうとなくしていますが、せっかくここまで書いたので、「はに同」さんというすばらしいサイトへのリンクを貼るためのnote?という意義を感じながらなんとか最後まで書きたいと思います。
・表紙
文字しか書けないわたしたちを救う、清水さんの神記事3つ。この記事にたどりついたとき、心の中で最敬礼しました。清水さんの記事と「かんたん表紙メーカー」にとにかくお世話になりました。ありがとうございます。
・背表紙に文字をいれたいとき
もはや何も言うことはありません。すべてはリンク先に、過不足なく美しい状態でまとめられています。すばらしすぎる。もう読めとしか。
なおわたしは上記の方法をおおいに参考にさせていただきつつ、今回は背表紙が11ミリ越えだったので、背表紙のサイズのほうを指定して作りました。
また、塗りたし部分がカットされた後の完成形をイメージしながら文字配置などをしたかったので、清水さんの方法を参考に、別キャンパスで塗り足しカット後のサイズをつくり、それをメインキャンバスに表示して、その周りをグレーの線で隠して作業……という回りくどいこともしていました。
とにかく、文字書きひとりでも、経験がなくても再現できる方法がほんとうにありがたかったです。感謝……。
・裏表紙
よく文庫本の裏表紙にあるあらすじ(ウラスジ)は、ほんとうだったら編集者さん的な第三者に書いていただくのがよいのだよなあとは思いつつ。時間もお金もないので自分でぴゃぴゃっと書きました。こちらのリンク↓は、文字数などの参考になりました。
3.入稿
データができたら入稿です。入稿の形式は印刷所によって異なるところがあると思うので、原稿作成の前に印刷所の入稿方法を確認しておきましょう。わたしが今回お世話になった「ちょ古っ都印刷工房」さんは、専用の入稿アップローダーを使うと料金が少し割引になるというサービスがあったので、これを利用しました。
印刷所によると思いますが、「本文データ」と「表紙・裏表紙データ」を分ける、「PDFデータに限る」などいろいろと条件があると思いますので、くれぐれも原稿づくりの前に確認を。逆にいうと、原稿作成の時点でしっかり確認をしておけば、この時点で困ることはあまりありません。
ただ、背表紙入りの表紙データを作成した後にページ数が変更になった場合は、伴って背表紙サイズが変わるので、入稿前に表紙データの更新を忘れないようにしましょう(ぎりぎりで気づいてあわてて修正したひと)。
4.納品・検品
納品されたら仕上がりをチェック。わたしは一部だけ不良があったため、印刷所に連絡し、対応していただきました。1冊ごとに印刷・製本のわずかな誤差などもあるので、上の数冊だけでなく、一度箱から出してすべてを検品するのは意外と大事かもと思いました(部数にもよると思いますが……)。
5.(おまけ:ラッピング・発送編)
通販用のラッピングとおまけ作りは、必須要件ではなく完全に個人の趣味嗜好が反映された感じになっているため、別noteで楽しさ全開のメイキングを書いております。ご興味ありましたらこちらもどうぞ。
*
以上でひととおりの流れとリンク集は終わりです。
いやぁ、おつかれさまでした!
上記をまとめながら改めていろいろと苦悩(主にデータ作成中)を思い出して、改めてひと息つきました。ふう。
冒頭にも書きましたが、上記はあくまで「初心者がこのリンクにお世話になりながらまず1作品できたよ」という一例であり、他にももっと便利なアプリやツールなどいろいろとあると思うので、よかったらぜひご自身でもいろいろと調べられてみてください。スマホだけでも本はできるそうです。すごい時代だ。
わたしも入稿を終えてから知った情報もあり、また情報は得ていたけれど時間やコストの問題でできなかったこともあるので、もし次回があれば今回の反省点を少しでもいかしたいなと思っている次第です。
■次回の自分に向けたメモ:
・事前に紙サンプルをとりよせる
・本文用紙はもうちょっと薄いものにトライ(印刷会社に当時取り扱いがなかったこともあり、今回は淡クリームキンマリ72.5kg→やや厚い印象。ページ数にもよるが、ボリュームあるならもう少し薄めがよさそう。62kg?)
・印刷・製本によるのサイズの誤差が予想よりも大きかったので、印刷はできることなら1冊試し刷りなどをして背表紙サイズを調整したい……もしくは、背表紙が多少ずれてもOKなデザインにする
・予算と時間が許せば文庫カバーにもトライしてみたい……(願望
・予算と時間が許せば挿絵やイラストをお願いしてみたい……(願望
先達の方々には装丁などにこだわられている方もおられ、すごいなーと指をくわえてみていたわけですが。でも1作品つくると次はこうしようああしよう、とむくむく興味がわくし、いろいろと印刷の仕様を学びたくなるのもものすごく頷けます。これは。予算とキャパとロマンのたたかい。
でも……楽しい。
めちゃくちゃ楽しかったんですよ、紙の本作るの。前も書いたけど。
たたかいだけど、自然とまたやりたいなと思ってしまっているという。
てことで今回のリンク集が、数ヵ月前の自分と同じように「紙の本つくりたいけどいったい何をどうしたら?!」って方の一助になればうれしいです。
では! おひらきで。
(おわり)
追伸1:
先達の知恵のおかげでなんとかできあがりましたエッセイ本は、こちらで通販しています。これを機にBOOTH登録してみたんですが、初心者すぎて完全アウェイなので、よかったら商品ページ↓のスキボタンを押してくださるだけでも励まされます……(これを書いてる時点でご注文は15冊いただいているのですが、スキは4という切なさ)。
追伸2:
先達のみなさまへ。数々の知見を惜しみなく公開してくださっていてありがとうございます。もしミスや理解不足の点がありましたら、やさしくご指摘いただけるとありがたいです。また、エッセイ系ならこういうツール使うと編集らくだよーとか、適した印刷所さん、相談先など、もしお心あたりあればぜひ教えてください。twitterにもいます。感謝。