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育児中、一家全員ダウンな日々よ

ここ一週間の記憶がほぼない。

いや、正確にはあるのだ。確かにある。冷静になって振り返ってみれば、この日はこうで、この日はこうなって…と記憶を引っ張りだすことができる。

ただ、もうずーっと地続きで、地をはって、なんとかその日その日を必死でやり過ごしている感じでいた。

一週間の記憶がないんじゃなくて、一週間経った記憶がない、だな。

これは普段のエッセイというよりは、体調不良な1歳の娘と夫と私の1週間のただの記録である。

「ああ、これが世間でよく言われている、一家全員ダウン」状態なのだなと思い知った、1週間の。

備忘録として、自分へのいましめとして、ちょっと長くなるけれどnoteしておきたい。

そしてだれかひとりでもいいから、どこかの育児中の方の参考程度にはなりますように。

* * *

こんな(のんきな)トークを投稿したのが、先週の木曜日の朝。

それ以前も、娘は4月からずっと咳がつづいていて通院していた。内服薬に加えて、吸入薬も続けているのに咳がおさまらないなぁという状況だった。

さらにその週には、わたしたち夫婦ものどの痛み・咳・鼻水などを自覚し、「早めの対策が肝心だよね!」と病院を受診して処方薬を飲んでいた。

そんななか、水曜日の夜中に娘が高熱を出す。

子どもが簡単に40度近い熱を出すということをまだ知らなかった夫(普段は私よりはるかに冷静沈着)は、体温計を見るなり暗闇で「ヤバイ!」と焦った声でつぶやき、すぐさま救急車を呼ぼうとした。

スマホを手に持ち、何か対処法についてググっているのかなと思っていたら、突然「119でいいよね?!」と言うので逆に私が焦った(だって特にぐったりしているようすもなく、普段通りゴロンゴロンしている)。え!いや、いったん落ち着いてと「#8000」(小児救急医療相談)に電話してもらう。

小児救急電話相談 #8000
・小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院などのアドバイスをうけられます。
・全国同一の短縮番号#8000をプッシュすることで、お住まいの都道府県の窓口に自動転送されます。

この番号があることを、すぐに思いつくレベルで覚えておいてよかったなぁと思う。こういうときは、客観的に専門家の冷静な話を聞くのが一番。

相談の結果、結局自宅でようすを見ることになり、翌朝再び病院へ。夫はショックの余韻もあってか目まいなどがありつらそうだった。

木曜日、検査ではとくにウィルス等も見つからず気管支炎との所見。

金曜の朝には熱も下がり始めていたので、わたしもいったんnoteでのコメントをお返しするなど、ひと心地ついていたのだった。

しかし、その当時のわたしはまだ知らない。

それがほんの序章にしか過ぎなかったことを……。

* * *

娘の熱、下がってきてよかったなぁ。そう思っていたのもつかの間、金曜日の夕方には再びあがり始め、夜を迎えるころには再び39度台を平然と叩き出した。

その後も1日中、熱はさがらない。

咳のための吸入薬やいろいろな内服薬はきちんとつづけつつ、様子をみながら解熱剤も使いつつ。不安な両親をよそに、本人は高熱のわりに、普段通り遊んだりもして元気そうにみえる。

そしてなによりの救いは、ごはんを食べてくれていたことだ。

「こんな高熱でも食欲あるのは救いだよねぇ」「ほんと」と夫婦で言いながら、まあそのうちよくなるだろう……と、自分たちも体調不良のなか土曜日をやり過ごしていた。

* * *

しかし。

(以下、お食事中の方はスクロールをおやめください)

日曜日の明け方、ついに娘が大量に嘔吐。脱水をおそれて水分をとらせようとしても嫌がり、再び吐く。

夜中にシーツや布団カバーを総とっかえし、洗濯おばさん発動のひと騒動。

翌朝には熱がさがってひと安心していたのだが、咳は明らかに増加。発作も続くことがありゴホゴホゴホゴホッ!と苦しそうだ。

そしてあろうことか、高熱のときにはもりもり食べていた彼女、食欲がない。口に入れようとすると、首を振って拒否。機嫌をみて乳児用スポーツドリンクなどを飲ませるが、それすら嫌がることも。

おかゆにしてみたり、離乳食初期みたいにどろどろにしてみたり、スープにしたりとなんとか工夫をする。固形よりは食べてくれるようになったが、明らかに足りていない。昼食はわりと食べてくれたが、夜はすりりんごしか受け付けなかった。

なんとか水分だけはと口へ運ぼうとするのだが、それも嫌がることが多い。

ぐったりしているようすではないのと、病院が休みのため、翌朝の通院を決めてやり過ごす。

* * *

月曜日、朝イチで受診。

咳の増加や食欲不振の相談もすると、レントゲン撮影と点滴を行うことに。

レントゲンでは肺に影があり、この日には肺炎との診断になる(それまではおそらく気管支炎との診断だった)。肺炎と、気管支喘息。

そして飲食ができていないため、点滴。採血をしたら低血糖を起こしてしまっていた。

水分や栄養、少しでもとれるようにと気をつけていたつもりだったけれど、バランスや虫歯を全然気にせず、甘いりんごジュースや乳児用スポーツドリンクだけでも、どんどんあげていたほうがよかったのだろうな、と反省する。今は非常時なのだから。

点滴室では、1時間毎に気管支を拡張するための薬の吸入。エンドレスでリピートされるアニメのDVDを見ながら。

今日は朝に通院して…、と思っていたら、期せずして1日入院的な感じになってしまい、帰路についたのは15時を過ぎてからだった。

* * *

そんな月曜日の夜。

長い1日だったなぁと思いつつなんとか夕食を作り終えたら、なんだか気持ち悪い。そう、今度は私自身が吐き気におそわれた。

でも食べて体力つけないと…と数口だけ口にいれるも、ギブアップ。

結局、30分もしないうちにすべて吐いてしまった。

一度吐いたら楽になったかな、と思ったのもつかの間、その後も何度か波がきて、19時〜夜中の0時ころまで、通算8回くらいは吐き続けた。

もうなんというかひたすらに気持ちが悪く、吐いても吐いても気持ちが悪い。そして点滴をしていた娘を見ていた手前、水分とらないと脱水になるわ、と思うので水分をとろうとするのだが、水分をちょっとでも胃にいれたらやっぱりまた吐く。

(あとから調べたら、そういうものらしい。だからその間は絶飲絶食して、嘔吐が治まって1〜2時間後に少量ずつ水分をとるとよいらしい。文末のほうに参考リンク貼ります)

21:30ごろ、はてしなく気持ち悪い状態がずっと続くのと、このままでは脱水になるのでは…!と思い、今度は大人用の救急相談センター「#7119」に夫にかけてもらう。

#7119 救急相談センター
急な病気やケガをした場合に、「救急車を呼んだほうがいいのかな?」、「今すぐ病院に行ったほうがいいのかな?」など迷った際の相談窓口として、「東京消防庁救急相談センター」を開設しています。
東京消防庁救急相談センターでは、これらの相談に相談医療チーム(医師、看護師、救急隊経験者等の職員)が、24時間年中無休で対応しています。

相談の結果、救急車を呼ぶほどではないとのことで夜間急患対応してもらえる病院を紹介してもらった。

ただ、すでに寝ている娘を起こしていっしょに行くことを避けたいと考えたことと、ひとりで遠くまでタクシーで行くにはつらすぎたこと、近くは1軒しかなく救急対応料が別途5000円以上かかるということで、迷ったあげく、しばらく自宅でようすをみることにした。

夜中には口の中も乾いてきた。いよいよ脱水きてるな…と思いはじめ、おそるおそる水分を少しずつとってみたら、なんとか吐かずにいられそうだ。朝までそのまま過ごす。

* * *

火曜日の朝、娘は再びかかりつけ医の受診をし、そのままその院の病児デイケアに預ってもらうことにする。

なんとか準備物だけは整え、使い物にならないボロ雑巾みたいなわたしは、あとは夫にすべてをおまかせした。ありがとう。

夫が娘の受診やら病児デイケアの手続きやらに奔走してくれている間、わたしは重いからだを引きずって大変のろのろと洗濯を干し、9時になるころ、再びからだを引きずりながら近くの内科へやっとの思いでたどり着く。

徒歩5分くらいの距離を歩いただけで、まだ目まいがつづいていて、待合室でも座っていられない。上半身起こしているのがつらい。幸い空いていたので、ソファに横になって待たせてもらっていたら、看護師さんがベッドのある部屋に通してくれた。

結局、そのまま、点滴。

昨日は自分がいろいろと娘の通院に奔走し、グズる娘を抱いて片手でコンビニおにぎりを頬張りながら、娘の点滴に付き添っていたはずなのだが。

その夜には自分がまさかの嘔吐パラダイスで、からだの栄養と水分をしぼりとられたボロ雑巾に成り果てて、今日は自分が点滴。わーお、である。

しかし、点滴直後にいろいろ飲んだり歩いたりしたのがよくなかったのか、家に帰って結局また吐く。

昼前には夫もいったん帰宅。念のため受診すると病院へ。吐き気はないが、朝ちょっとお腹をくだしていたとのことで、なんと彼もそのまま点滴してきた。家族全員点滴パラダイスや。

その頃のわたしは熱が38度を越えていた。ひたすら寝て回復につとめる。うーん、あいかわらず胃はなんだか変で食欲はない。夜もおかゆにしてみたが、無理やり義務感で少々流し込んで限界であった。

娘は咳がなかなかおさまらず、この日から吸入薬が変更されて強めになった。ただ食欲は徐々に回復してきたようで、何より救われる。

夫の食欲も超低空飛行。

* * *

水曜日。わたしはまだ胃が重たく体全体もだるいものの、熱はさがった。

あいかわらず食欲はまったくないが、ちょっとずつでもエネルギー回復していこうとちびちび食べれそうなものを口にしてみる。

娘を家で看病できる状況ではないため、この日も夫に娘の受診と病児デイケアへの送迎をお願いしていた。今飲んでいる内服薬に加え、強めの薬が加わることになったとのこと。毒々しい色のシロップだった。

わたしは回復が仕事、と思ってひたすらに寝ていたら、前日よりは体調が戻ってきたのを感じる。ただ、横になっていると平気だが、起き上がって夕食準備などで動いていると、重力の影響もあってか、胃が痛くなってくる。

結局夜ご飯も、がんばっても少ししか食べられなかった。激しく胃痛。抱っこをせがむ娘を抱えるのがつらく、ハイハイ姿勢(胃が楽)になって娘と遊ぶ。

普段は食べることが大好きなだけに、食べられないのはメンタルにもくる。あぁなんか、つわり時期を思い出す…。

逆に娘は、まだ固いものは嫌がることもあるが、普段くらいの量を食べるようになり、ほっとする。

* * *

そして今日、木曜日。

あのトーク投稿から一週間しか経っていないことに気づいて唖然とする。まじか。なんかいろいろありすぎた。

おかげで私も胃の痛みがだいぶおさまってきて、ようやく現実世界に戻ってきた感がある。好調とはまだまだ言えない具合だが、食欲も、昨日よりは出てきているようだ。

あいかわらず、家族全員咳もしている。あっちでゴホゴホ、こっちでゴホゴホ。

明日も娘は通院が決まっていて、またレントゲンで経過を見るそうだ。

この状況がいつまで続くのかわからないが、とりあえず大人たちの体調は戻しておきたい。といいつつ、またいつ何が起きるかわからないのだけれど。

* * *

ところで、点滴の際にわたしも夫も採血をして血液検査をしてもらった。結果を聞いてみたら、簡単にいうと……、「おなかの風邪」らしい。

か、風邪。

夜に救急相談に電話しようと思うくらい、本気でしんどかったんですけど。ひとことで言うとそれは、「風邪」だったのですね。

娘が肺炎と闘っているなか、母もMAXになんかと闘っている気でいたけど、「風邪」だったのですね。

このときほど、風邪という言葉の意味の広さについて思いを馳せたことはない。

思わず検索してみたら、「おなかの風邪」というのは胃腸炎や嘔吐下痢症の俗称であるということがわかったけれど、それでも、俗称だろうとなんだろうと、いやむしろ一般的に使われる名称として、「風邪」が使われているという事実。

風邪よ、いや、風邪さま。

いままで甘くみていてごめんなさい。そんなつもりはなかったけれど、無意識に「『ただの』風邪」とか要らない枕詞つきで呼んだりしていてごめんなさい。

もうそんなこと絶対しませんから、どうか今後はお手柔らかにお願いします。

(おわり)

* * *

以下参考URL

おなかの風邪(嘔吐下痢症、急性胃腸炎)については、ここの小児科さんの記述がわかりやすかったのでご紹介。岩手県民ではないのですが。っていうか、ロタとかノロとかも、「おなかの風邪」にくくられるのですね!

ちなみに上のページの記述だとウイルスだけが原因かとも思えますが、おなかの風邪は、ウイルス起因のものと細菌起因のものとあるようです。補足として下記もあわせてどうぞ。

みなさん、気持ちの疲れから体の不調にもつながりやすい5月、どうかおからだ大切に(切実)……。

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。