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いつかの花火

パン ドドン

ドン ドン ドドン

窓の外から 聞こえてくる花火の音

ああそうか 今日は近場で

花火大会だったんだ

その音を聞いて 初めて気づく


こちらはいつもと変わらない

日常のルーティンを

着々と回しておりまして

娘のお風呂にお薬、授乳、寝かしつけ


目の前には

グルングルンと寝返りで暴れ回ったすえ

枕とは真逆の方向に頭を向けて

スヤスヤと眠る娘


パン ドドン

ドン ドン ドドン

外の世界では花火の音

暗がりで その音を聞きながら

脳裏に パラパラと浮かぶ残像たち


焼きそば たこ焼き りんご飴

仮設トイレに長蛇の列

たくさんの人、人、人

たくさんの恋人たち

たくさんの家族連れ


大学生サークルはみんなで場所とり

どきどきの浴衣で集合

いろんな思いが錯綜して

甘酸っぱい そわそわの時間


そんな時間を

いまこのときに過ごしている若者たちも

きっとたくさんいるに違いないわと

日常モード全開のリビングから思いを馳せる

(人はこうしてオバちゃんになるのねと

自分の変化を楽しみながら)


目の前には

文字通り「大」の字に

ぐでーんと手を伸ばし 足も全開

オムツのはみ出た愛しい姿で

ぐっすりと眠る娘


その寝顔を見つめながら

花火の音をきく


ドン ドン ドドドン

ドン ドン ドン


いつか


いつか 君も恋をするのねと

その顔を見つめて

ほほえみながら


自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。