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#短歌|#詩|生存本能

ぐるぐると廻る世界で僕よりも長生きしない希望であれよ

今日もまた、朝が来る。いつものように、顔を洗い、歯を磨き、着替えて、出社して。席に着いて、まず最初に思うのはいつも、帰りたいな、だ。始業の合図が鳴る、タイピング音が鳴る、どこかで席で誰かががなる、お腹が鳴る。あと少しで昼食で、この時間を希望にして、エンターはできるだけ静かに押す。お昼が終われば、早く定時になれと思う。希望を、無いはずの希望を、仮初めの希望を、見つけて、造って、見繕って。早く、早く、と思えば人生は加速して、夜が来る。夜になれば、朝が来る。廻る世界、世界は廻る、ベッドで思う、還りたいな、と。

将来の夢はテニスでプロになることだったことだけ焼き付いて

いつから、夢を見れなくなっただろうか。成長につれて、夢は現実味を帯びたものにシフトしていった。小さい頃は、世界を救うヒーローになりたかった、小学生の頃はプロテニスプレイヤーになりたかった、高校生では建築士になりたかった、今では、人に語れる夢は無くなった。あの頃の僕は無敵で、何でもできると思っていた。今の僕を見て、あの頃の僕はなんて言うだろう。なんで、世界を救いたかったのか、なんでプロテニスプレイヤーになりたかったのか、なんで建築士になりたかったのか、今となっては取って付けたような理由しか思い浮かばない。

初恋の人が未だに夢に出て苦しいだけの熱帯夜だが

初恋の人が、未だに夢に出る。もう何年前の話だよって理性が呆れる。あの日々はとても楽しかった、のだろう。とても辛かった、のだろう。分からない、分からないのに夢に見て、そこでも僕は声も掛けられなくて、会いたいと思ってしまう。会って言いたいのです、あの時大好きでしたと、もう貴方のことは好きではないですと、言いたいのです。僕の見ていない世界で、幸せですか?幸せに生きれていますか?まだ生きていますか?気持ち悪いのは分かっています、でもそれが僕です。僕の居ないところで幸せになって、幸せですと、ただ一言伝えてほしい。夢で貴方を見た日は、いつも息がしにくいのです。

僕よりも苦しい人に目を向けたうえで弱音を吐く誠実さ

苦しい、苦しい、苦しい。生きていれば、苦しいことばっかりで、今が良くても、未来は苦しい、過去も苦しい、気づけば今も苦しい。ある日、苦しいって言ってみた、貴方より苦しい人はいるよって、肺を握り潰された。知ってるよ、僕より苦しい人が居ることは。知ったうえで言うよ、うるせえよ。僕の苦しみは僕だけのものだから、誰かと比較するなよ、苦しくないって他人が決めるなよ。そう思って、言わなかった。言えなかった。泣きたかった。泣けなかった。苦しいってなんで苦いって書くんだろう。未来ってなんで味蕾と同じ音なんだろう。僕は、嫌いなはずの、名前すら分からないあの柑橘類を思い浮かべた。

僕だけが僕の味方であるように飲みたくもないビールを買った

お酒は好きじゃないけど飲みたくなる日がある。緩やかに、穏やかに、嫋やかに、死へと加速してゆく感覚。

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