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仕事・ビジネスに役立つ漫画キングダムに学ぶマネジメントとキャリア形成

前回の記事「大人気漫画キングダムから学ぶ経営戦略・リーダーシップ・マネジメント」に引き続き、人気漫画キングダムの名言や名場面からマネジメントとキャリア形成の考え方に役立つものを解説も合わせてご紹介していきます。実際の仕事、ビジネスの場面でもヒントになるかもしれません。

チーム・組織マネジメント編

組織が大きくなる程マネジメント力が組織力を左右する

長き戦乱で軍の規模は増大し、今では数十万の戦い。しかし、軍が大きくなればなるほど、それを率いる将軍の才能と力が戦を左右する。結局、戦は武将のものです。
- キングダム(7巻) -

秦国六大将軍の一人、王騎(おうき)将軍が秦軍と魏軍の戦いを見ながら言った台詞。

スタートアップ企業や小さなプロジェクトのように少人数の時は、メンバー個々人のスキルなどが高ければ仕事もうまく回るかもしれませんが、会社の規模が大きくなったり、プロジェクトメンバーが増えると、マネージャーの力量によって組織の力を十分に引き出せたり、逆に組織がまとまらなくなるということを示唆しています。

マネジメント層への権限委譲

当時の秦国は常に他国に侵攻し、数国と同時に戦っていた。戦場は咸陽から遠い。
だから昭王は六人の将軍にある権限を与えた。それは戦争の自由だ。刻一刻と変化する調整、戦況に対し六人の将軍は独断で戦いを展開することを許された。他国からすれば独自の意思で暴れまわる六匹の龍が野に放たれたような心地だったという。
昭王と六大将軍は揺るぎない鉄の忠誠心で繋がれていた。だから昭王は六大将軍という制度を作れた。
- キングダム(11巻) -

秦国王の政(せい)が六大将軍の制度について解説した時の台詞。

会社が大きくなると、社長が日々のオペレーションを全て把握して、的確な指示を出すことは不可能になります。そこで有効な策が能力のあるマネジメント層に現場の指揮権を与えて、日々のオペレーションを全て任せてしまうことです。しかし、漫画の中でも”揺るぎない鉄の忠誠心で繋がれていた”と表現されているように、社長とマネジメント層の間でしっかりした信頼関係と会社の目指すべき方向性やビジョンの共有がないと組織が分解してしまう可能性もあるので、放任とは違うことを意識した方が良いかもしれません。

トップマネージャーになることの責任と栄誉

将軍とは100人将や1000人将などと同じく役職、階級の名称に過ぎません。しかし、そこに辿り着ける人間はほんの一握り、数多の死地を越え、数多の功を挙げた者だけが達せられる場所です。結果、将軍が手にするのは千、万の人間の命を束ね戦う責任と絶大な栄誉。ゆえにその存在は重く、ゆえに眩いほど光り輝く。
- キングダム(16巻) -

王騎将軍が龐煖(ほうけん)将軍と死闘の一騎打ちを繰り広げ、致命傷を負いながらも龐煖を追い込む時に言う台詞。

会社やプロジェクトでもトップマネージャーになるには、数多くの苦難を乗り越え、実績や信頼を挙げないとなかなかなれるものではありません。そして、組織を束ねる権限を持つということは、その分、背負う責任も大きくなります。しかし、王騎将軍の言葉を借りると、それゆえにトップマネージャーの存在感は大きく、選任されるのは栄誉あることと言えます。

限られたリソースの中で目標を達成する

昌文君(しょうぶんくん): もはや我々にはある中で何とか戦うしか道はないのだ。
河了貂 (かりょうてん): 戦術とかなんかの前に大前提として皆の”戦意”がないと絶対に戦いにならない。
政(せい): 全員を兵士と化すのが俺の役目だ!
- キングダム(31巻) -

合従軍(秦国以外の国が一時的に結託して秦国へ侵攻してきた軍)が、兵士が少なく、老人、子供、女性の多い秦国の蕞(さい)の城を攻めてきた時の戦略会議でのやり取り。

スタートアップ企業やプロジェクトでもリソースを湯水のごとく使えることは、なかなかないと思います。限られたリソースの中で最大限のパフォーマンスをあげるのもマネジメントの腕の見せ所です。また、戦略云々の前にチームメンバーのモチベーションを上げることがマネージャーの役割とも言えます。

マネージャーの苦悩

たきつけて万の死者を出させた張本人としては、やはり胸の奥に突き刺さるものがある。
- キングダム(33巻) -

蕞(さい)の攻城戦に勝利したものの、多くの民衆に闘志を持たせて死なせてしまったことを悔やむ政の一言。

中華統一するために多くの犠牲を出すことも厭わないと強い信念を持った後の始皇帝 政でさえも、多くの犠牲者を目の当たりにすると、やはり心が痛むという場面です。マネージャーも目標を達成するためであってもメンバーに無理を強いたり、反感を買ったりすると、自分のやっていることが本当に正しいことなのか、達成したいことなのか迷いが出てきてしまうことを表現しているようにも感じられます。

キャリア形成編

キャリア選択の判断基準は”自分の理想に近づくかどうか”

これから先はお前の道だ。お前は今二つの岐路にある。村に帰って下僕を続けるか。力なき王を助け、共に過酷な戦の荒野を歩むか。どちらがお前らのばかげた夢に近いか、言うに及ばんな。
- キングダム(1巻) -

まだ下僕の身分でありながら、天下の大将軍を目指すという少年 信が秦国の覇権争いで都を追われている政のやり方に敵意を抱いて言い争っている時に政が信へ言った言葉。

新しい仕事を任されそうになった時や転職などのキャリアチェンジを考える時、どの選択肢が自分の将来なりたい姿、叶えたい夢に近いかを考えて、踏み出してみる必要性を説いています。また、そういう場合、現状維持という道は考えにくく、大抵チャレンジングな道のりになることも示唆しています。

仕事には私情を挟まず、目の前のゴールだけを考えて行動する

くだらぬ負け犬の感傷だな。小国の淘汰は戦国の世の常。貴様のなめた苦渋などそこら中に転がっておるわ。戦場にあって身の上話など何の意味も持たぬ。
兵ならば目の前の敵をどう倒すか、将ならば敵軍にどう勝つか、それ以外に心捕らわれることは無い。
将の責務よりも私情を優先させた貴様に待つのは敗北の二文字!
- キングダム(7巻) -

秦国の麃公(ひょうこう)将軍が、自分の家族や国を戦争で失った過去の体験から秦国の侵攻に対して感情的に戦を繰り広げ、敗れた魏国の呉慶(ごけい)将軍へ言い放った言葉。

仕事の目的を達成するための最適な解を考え、行動することをないがしろにして、自分の感情や感傷的な想いだけを主張しても、うまく仕事が回らないということだと考えられます。

自分の理想とするロールモデルに従って行動し続ける

俺はてめぇみてぇな現実、現実っつってくだらねぇことを正当化する奴が一番むかつくんだよ!みんなやってるからなんて何の言い訳にもなってねぇ。外道は外道だ。飛信隊の信はどんな理由であろうとそんな奴は絶対に許さねぇ。相手が千人将だろうが将軍だろうが、王様だろうが関係ねぇ。それがこれまでもこれからも、ずっと変わることのねぇ、俺のやり方だ。処罰が怖えからってこんなのを見て見ぬ振りなんざして、何が天下の大将軍だ!
- キングダム(18巻) -

侵攻した城で罪のない住民に危害を加えながら「どこの軍でも降伏した城の住民に危害を与えるのは良くあることだ」と言った秦国の千人将に対して、激怒した信(しん)が言った台詞。


成蟜(せいきょう): その往生際の悪さ、不屈の精神は何だ。前も同じだ、絶望の淵で何がお前をそこまで前に突き動かす?
政(せい): ”宿願”のためだ。俺は中華を統べる王になる。こんな所でつまずくわけにはいかない。
- キングダム(34巻) -

かなり分の悪い戦いとなる蕞(さい)の攻城戦に王自ら出陣しようとする政と、何がそこまで政を駆り立てるのか疑問に思う成蟜との会話。


手前勝手な”現実”という言葉で問題に蓋をするな。人の世をよりよい方向(戦国時代を終わらすこと)へ進めるのが為政者の、君主の役目ではないのか。
- キングダム(39巻) -

呂不韋 (りょふい)が政と中華の統治について論争を繰り広げている時、呂不韋が「戦争は人の持つ正しい感情からの行動なので、戦争はなくならない」と言ったことに対して、政が反論した台詞。

信と政の台詞に共通するのは、自分の理想とする大将軍像や君主像というものをしっかり持っている点です。そのため、自分の考えや行動がブレないで理想に向かって突き進めるのかもしれません。

華やかなビジョンを持ったマネジメント層だけがキャリアの最終ゴールではない

六大将軍に儂が興味なかったというだけじゃ。儂から見れば奴らは全員”夢追い人”であった。戦場にどこか甘美な夢を抱いて臨んでおった。それが戦神 昭王の夢と共鳴し強烈な力を発していた。
じゃが儂は違う。儂は戦場に生まれ落ち、そこでそのまま育った。儂にとっては戦場が家であり、戦いが生きることであった。実際、昭王からは幾度も咸陽へ呼ばれたが儂は全て無視したわ。儂には六将のような華やかな光も夢も必要なかった。
儂はただ戦場で戦い、勝利し、その夜うまい酒を飲めればそれで満足じゃったからのぉ。つまりは奴らと儂とは全く違う道を歩んでおったというわけじゃのぉ。
- キングダム(30巻) -

信が麃公(ひょうこう)将軍ほどの実力があって何故、六大将軍に入っていなかったか聞いた時の麃公将軍の回答。

会社でも組織のビジョンやミッションに共感して、その実現に向けて走り続けることがマネージャーの理想像のように描かれることが多いですが、華やかな夢を追い求めなくても目の前の成果や自分の生きがいのために日々頑張ることもキャリア形成の一つの方向性であることを示しているように思えます。さらに、実力や実績が伴えば、組織の中でもユニークなポジションを確立できるかもしれません。

経験に勝るものはない?!

騰はとにかく頭が切れる上に武勇もあります。しかし本当に騰の厄介な所はそこではありません。”経験”です。副将としてあの王騎と共に数多の戦をくぐって来た”経験”により奴には隙がありません。
- キングダム(35巻) -

秦国の将軍 騰(とう)の強さについて解説した魏国の将軍 呉鳳明(ごほうめい)の言葉。

仕事でも多くの失敗や苦境を乗り越えてきた経験者は成長スピードが早く、その結果、頭が良くても失敗を恐れて行動に移せない人達を追い越していくと良く言われます。修羅場を経験することで、リスクコントロールが身に付くだけでなく、ピンチな状況でもやり抜けるという自信や説得力を持つことができるからかもしれません。

まとめ

●チーム・組織マネジメント編
・組織が大きくなる程マネジメント力が組織力を左右する
・マネジメント層への権限委譲
・トップマネージャーになることの責任と栄誉
・限られたリソースの中で目標を達成する
・マネージャーの苦悩

●キャリア形成編
・キャリア選択の判断基準は”自分の理想に近づくかどうか”
・仕事には私情を挟まず、目の前のゴールだけを考えて行動する
・自分の理想とするロールモデルに従って行動し続ける
・華やかなビジョンを持ったマネジメント層だけがキャリアの最終ゴールではない
・経験に勝るものはない?!


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