見出し画像

木曽駒千畳敷でホワイトアウト 雪山歩けば [2/3] (山で★深読み)

<1/3よりつづく>

2日目も上天気でした ── 《地上》は。

南信・伊那谷にある駒ヶ根は、西はもちろん木曽駒ケ岳など中央アルプス、東は富士山に次いで高い北岳を初めとする南アルプスの山々に挟まれた、山好きには贅沢な街です。
《地上》といっても、既に標高は676 m(@駒ヶ根市役所)あります。

このあたりは私が結構好きな場所で、春から秋にかけて何度も訪れます。
千畳敷カールから宝剣岳に登ったこともあるし、ニッカの創業者「マッサン」と関係の深い「マルスウイスキー」の工場見学も楽しいし、「養命酒」や「かんてんパパ」の製造所に付属した庭園も、宮田のマレットゴルフ場も好きです。

しかし、真冬に訪れたのは、初めてです。

旅の2日目の朝、駒ケ根の街は ── 快晴
念のためにロープウェイの終点の天気予報も ── 快晴

朝、出発を前に、《中央アルプス通》の伸びる先、木曽山脈の山々を見る。快晴!に見える。

マイカー規制のため、ロープウェイのしらび平駅までは中央アルプスの路線バスしか行かないので、昨日使ったスノーシューとストックを手に乗り込みます。
今日はさすがに標高2,600 mまで行くので、下半身は2重(厚手のズボン+スキー用パンツ)、サングラスの他にゴーグルも用意しています。

バスに1時間ほど乗って着いたしらび平駅は標高1,662 m、山頂の千畳敷駅(2,612 m)との標高差950mは日本一です。この標高差を7分30秒で上がるので、高山病にかかる人もいるそうです。

冬場は1時間に1本のみ
しらび平を出た時は晴れていたのに
ゴンドラは急こう配を一気に昇る

昇るにつれてゴンドラの周りは吹雪始め、視界が急速に悪くなりました。

終点が近づくにつれて視界が悪化し、吹雪いてきましたよ

終点の千畳敷駅を出ると、これは寒い。
駒ケ岳神社の祠の近くで《スノーシュー》を装着しようとしますが、今日は手袋がスキー用の厚いため、うまくセットできない。時間がかかり、しかも一時的に、と手袋を外したら、軽い凍傷にかかってしまいました(と後でわかる)。
教訓:寒冷地では、絶対に手袋を脱いじゃダメ!

千畳敷駅を出たところにある《駒ケ岳神社》。稜線もほとんど見えない。

夏に来ると、ロープウェイの駅の前には《千畳敷カール》と呼ばれる、氷河が侵食した跡の広大な窪地があり、高山植物が咲く遊歩道がある。池もある。それらが今は全て雪の下に埋もれています

夏は池のある平らな場所
夏の木曽駒・千畳敷カール

とにかく、せっかく来たので、千畳敷カールをスノーシューで歩き回る。しかし、視界が悪く、突然崖から落ちる可能性もゼロではないので、安全な範囲のみ。
そうこうするうちに風が強くなり、どこもかしこも真っ白の《ホワイトアウト》的になってきました(少々大げさな表現ですが)。
でも、そんな中、木曽駒山頂を目指して、なのか、登り始める登山者もいる。彼らの写真を背後から撮ったのですが(↓)、強風で運ばれる雪でほとんど見えません。この道は夏に登るのも(私レベルには、ということですが)けっこうたいへんでしたが、大丈夫でしょうか?

木曽駒の方に登っていく人を撮った「つもり」。ほぼ白一色ですな。

当初の予定では4時間ぐらいここで走り回るはずだったのですが、1時間ぐらいで駅の施設に引き返すことになりました。
一行の中には(山の上も快晴、という予報のためでしょう)寒そうにしている女性もおり、また、危険を回避し安全を最優先する、というガイドさんの《決断》でした。スノーシューで最後の坂を上るのも、私のような《冬山素人》には、なかなかたいへんでした。
天候に左右される登山ではリーダーの決断がなかなか難しいな、と高校ワンゲル部活時代の出来事もいくつか想い出しましたね。

ロープウェイ駅に「撤収!」スノーシューでこの坂を上るのもけっこうたいへんでした。

さて、ロープウェイを降りてくると、まるでフィルムの逆回転のように、視界はだんだん改善され、ついには晴れ渡った青空が見えてくるのでした。

下り始めは視界悪く
降りてくると晴れている!

なんだかペテンに合ったようですが、山の天候なんてそんなものです。

時間が余ったので、《ひかりごけ》で知られる光前寺にハイキングして、早太郎温泉に浸かってきました。
その話を次回に。

〈3/3につづく〉

この記事が参加している募集

#旅のフォトアルバム

38,828件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?