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【失敗は成功のもと】(新釈ことわざ辞典)記事版

失敗ばかりで成功する見込みのない人を慰める時に使う言葉。

本当に失敗ばかりしている人がいたら、こんな言葉を慰めに使うよりも、むしろ《失敗》自体を分析してみる必要がありそうです。

もし、それが実験中爆発のように《事故的な失敗》ならば、原因究明をして安全対策を行うチャンスです。

また、開発目標が達成できないような《目標未達的な失敗》ならば、
➀ なぜ達成できなかったのか
の要因解析を行い、マネジメントに関連しているならば組織改革のチャンス
ですし、
さらに、
➁ 当初の目標は達成できなかったが、別の用途に使えないか
を検討する
ことも重要です。
大発明って、意外と➁から生まれていることが多いようです。

ノーベル賞受賞研究者の話にも、
「最初はAを目指して研究を続けるうちにBの事象に気が付いた。そこでBの方向で掘り進めると……」
というようなセレンディピティ》エピソードがたいてい出てきます。
(それどころか、アルフレッド・ノーベルその人の、ダイナマイトの発明自体がそうですね)

若い頃、企画部署と兼務になり、コンサルタント会社と一緒に組織改革がらみの仕事をしたことがありましたが、彼らが経営者に➁の例を尋ねられて引用したのが、3Mスリーエムの研究者による有名な「Post-it」の開発ストーリーです。

1969年、3Mの研究員スペンサー・シルバーは、強力な接着剤を開発中に、たまたま非常に弱い接着剤を作り出してしまった。当初この弱い接着剤は用途が見つからず、「失敗の産物」と思われていたのだが、特許を取得していた。
1974年に3M研究員アート・フライが、本の栞に応用できないかと思いついた。このエピソードは、偶然や失敗から大発明を生む「セレンディピティ(偶察力)」の典型例として知られる。
日本での発売時には、日本独自の要望に応え、付箋の先端を赤く塗ったものを販売したところ、爆発的に売れた。

Wikipedia「付箋」より

ミネソタ州にある3Mスリーエムの研究所に学生時代の友人を訪ねて話を聞いたことがありますが、このスペンサー・シルバーさん(2021年没)は会社で最高位の研究者「Corporate Scientist」称号を持ち、終身年金が支給されている、とのことでした。

重要なポイントは、

《「失敗の産物」と思われていたのだが、特許を取得していた》

というところなんでしょうね。

ここまで考え、きちんと対処すれば、確かに、

《失敗は成功のもと》

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