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詩の周辺

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詩に関すること、詩にしたい景色
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#詩の生まれるところ

アゲハチョウの話。

咀嚼音を聞いていると、生きていることが耳に届きこそばゆい。今年は、庭の金柑にアゲハチョウ…

mk
1年前
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空を呼吸する

空が私を眺めている その眼差しは大きくひとつ瞬きをして 今まさに閉じようとしていた ただそ…

mk
2年前
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息子が怪我をして帰宅した日

その日、夫と息子は一泊二日、いわゆる男同士の二人旅に出かけることになっていた。息子は三歳…

mk
2年前
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まなざしのその先に

「まなざし」について、ときおり考える。きっかけは、高文祭――全国高等学校総合文化祭――写…

mk
2年前
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【詩】手紙

  手紙                       月を見ながら歩いた 空気が優しく湿っ…

mk
2年前
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おめでとう、とは言ってもらえなかった話。

おめでとう妊娠です、と医者は言ってくれなかった。また来週来てください。袋が見えます。こっ…

mk
2年前
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金木犀のにおいが連れてくるのは

早朝、窓を開ける。ひんやりとした風がカーテンを揺らす。秋の風だ。しんとした、まっすぐな空気。あまいにおいがまじる。 まだ九月も上旬である。例年、金木犀のにおいに気が付くのは十月の足音が聞こえる頃ではなかったか。そう思いながら、そのにおいを深呼吸する。そうすると、必ず思い出す風景がある。 高校の、クラブハウス、というと聞こえはいいが、実際には古ぼけた木造の部室棟、は二階建てだった。一階の最も校庭に近い、端の部屋が生徒会室。建物のきわに植えられた金木犀が、秋になると香った。私

忘れてしまうようだ

息子が生後6か月目に入る頃だろうか、ひと月ぶりに帰省した。 末期の子宮がんを患っていた祖…

mk
2年前
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分娩台で朝食を食べた話

私はその日、予定日より2週間早く産気づいた。その一週前に、もう生まれますかね?いやまだま…

mk
2年前
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