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10秒で読める小説

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100作書けたので、次の目標は150作!ってことでボチボチ書いていきます。
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#誕生日

【10秒で読める小説】懐かしい味

【10秒で読める小説】懐かしい味

僕は日本で人気カレー店を営む、インド人だ。

「ここのカレーは本場の味なのに、なぜか懐かしいんだよな」
客はみな、不思議そうに言う。

「アリガトウ、ゴユックリ」
と笑顔で言い、僕は厨房に戻った。

日本人である僕の妻が、仕込み用の鍋をかき混ぜながら呟く。
「肉じゃがをリメイクしたカレーが、こんなに流行るとはね」

【10秒で読める小説】ディナー

【10秒で読める小説】ディナー

「花子、今夜の夕食、何がいい?」
母が尋ねた。
「茹でモヤシ」
私はそっけなく答える。
「そんなんでいいの?」
母は驚くが、私はダイエット中なのだ。

夜、リクエスト通りモヤシが出された。
しかし私以外の家族の前には、豪華なステーキ。
「花子、おめでとう!」
忘れてた。今日、私の誕生日だ。

【10秒で読める小説】サプライズ

【10秒で読める小説】サプライズ

夫が寝言で何か呟いている。

「今日、妻の誕生日だから、花束を買って喜ばせななきゃ…」

来週の私の誕生日、花束でサプライズをしてくれようと思ってるんだ。
嬉しいな!
朝、起きて、私はニヤニヤしながら、夫にゆうべ何の夢見たのか聞いてみた。

「あー、嫌いな上司に飲みに誘われたけど、うまいこと断った夢」

【10秒で読める小説】誕生日には欠かせない

【10秒で読める小説】誕生日には欠かせない

「しまった、今日は妻の誕生日だ!」
僕は閉店間際のパン屋に飛び込んだ。ここは品揃えが良く、ケーキも売っている。

無事に買った矢先、アレもいるなと気付いた。栓を抜くと音が鳴るお酒。
名前をど忘れした僕は店員に
「シュッ…パーン!!あります?」
と、ジェスチャー付きで尋ねた。
「ええありますよ」
「良かった」
ホッとしたのも束の間、店員が差し出したのは

「食パン…」