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10秒で読める小説

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100作書けたので、次の目標は150作!ってことでボチボチ書いていきます。
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#子育てママ

【10秒で読める小説】懐かしい味

【10秒で読める小説】懐かしい味

僕は日本で人気カレー店を営む、インド人だ。

「ここのカレーは本場の味なのに、なぜか懐かしいんだよな」
客はみな、不思議そうに言う。

「アリガトウ、ゴユックリ」
と笑顔で言い、僕は厨房に戻った。

日本人である僕の妻が、仕込み用の鍋をかき混ぜながら呟く。
「肉じゃがをリメイクしたカレーが、こんなに流行るとはね」

【10秒で読める小説】夢の欠片

【10秒で読める小説】夢の欠片

夢はパティシエ。
叶えるために娘ちゃんは保育園で練習してるんだね。
エプロン代わりの上着のポケットに、夢の欠片を詰め込んで。
ドングリはチョコレート、綺麗な小石はキャンディだってね。素敵だね。

もう手遅れなんだけど、もっと早く知っておけば良かったって、思わずにはいられない。
そしたら、夢の欠片が洗濯機を壊すこともなかったはずだから。

【10秒で読める小説】生きる理由

【10秒で読める小説】生きる理由

仕事が終わると子供を迎えに行き、休む間もなく家事。
毎日、目の回る忙しさだ。
「ママー!」
料理の間にも、三歳の息子が話しかけてくる。

「何?」

「人間はなんで生きてるの?」

「え?」

哲学的な質問に驚いていると
「僕はね、ママが悲しい時、ギューってするためだよ」
小さな手で抱きついてくる。

守ってるつもりで、守られていたのは私の方だったのかも。