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牡蠣ぴー
2020年6月24日 18:17
静かな暗い夜に鈍く高い音が響く。何かが破裂したような何かが落ちたようなそういう音。静かな夜から一変あたりは騒然とし、家々に明かりが灯った。誰かが通報したのか、パトカーや救急車のサイレンが町中に響き渡る。赤く点滅する街並み。人が群れるのは時間の問題。隣で横になる君を見つめる。目を見開き、一点を見ている。静かで、全く動こうともしない。静かな君に言いた
2020年6月24日 21:39
眩しい太陽がアスファルトに跳ね返る。体感では40℃くらいあるだろう。蝉の声が耳を刺す。「うるさいなぁ」僕は夏が嫌いだ。蒸し暑い屋外騒々しい虫ども不快すぎて寝れやしない。夏という季節で好きなのは夏休みがあることくらいだ。学校の面々と顔を合わせなくていい。アイツらの目は夏よりも嫌いなんだ。冷たく、蔑んだ目。僕がサイコパスなら1人ずつ目玉をほじくり出し
2020年6月25日 18:41
(ピンポーン)夏休み初日。家のチャイムが鳴った。家には僕しかいない。(ピンポーン)時計を見るとまだ朝の9時だ。誰だよ。こんな朝っぱらから。気持ちよく寝ていた僕は居留守をかまそうともう一度布団に潜る。(ピンポーン ピンポーン)「しつこいなぁ」部屋の窓から玄関を除く。女の人だ。しかもよく見た覚えのある女子。(ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポ
2020年6月26日 18:13
夏休み初日。僕は思わぬ来客に戸惑っていた。同じクラスの佐藤さんだ。突然家に来て、宿題を見せろと家に上がり込んできた。僕の夏休み引きこもり計画はたった1日で、たった1人の女子によって簡単に崩された。何が目的だ?友達との罰ゲームか?佐藤さんはクラスでも人気の女の子だ。元気で優しくて男女隔てなく話す。男子の中には勘違いしている人間もいるみたいだ。でも分
2020年6月28日 17:45
夏休みが始まって1週間くらい経った。僕の平穏な夏休みは1人の女の子によって崩された。同じクラスの佐藤さんだ。夏休みが始まって1週間が経つというのにほぼ毎日僕の家に来る。毎日朝の9時に家に来て17時に「また明日」と言って帰っていく。1週間も続けていたら日常になるんだな。いるのが当たり前となっていた中で今日は9時を過ぎたというのになかなか家のチャイムが鳴らない。
2020年6月28日 21:05
クラスの男子と同じ状態に成り果てた僕は君を忘れられないでいた。昨日も「また明日」と言って帰っていったのに。実は事故にでも合ってるんじゃないか。こんな事なら連絡先交換しておけば良かった。この気持ちに気づいた僕にとって佐藤さんは光そのものだった。頭に生えている物でバカにされいじめられ距離を置かれてきた。そんな僕に学校では声をかけてくれて休みなのに家まで来
2020年6月29日 21:18
次の日。君はいつも通りにやって来た。朝の九時。チャイムを連続で鳴らして。いつも通り。「宿題見せて!!」と元気に明るい笑顔でやってきた。昨日の事はなかったかのように。いつも通り。僕がダラダラと過ごす横で君は宿題をしている。いつもと違うことといえば僕が一方的に意識してしまっている。時折、じっと見つめてしまう。頭の中では連絡先を交換する方法を考えて
2020年6月30日 19:06
夜の12時。君との約束の場所。指定された場所はただの公園だった。何も無い。ごく普通の公園。真っ暗な公園の中、街灯に照らされている光がいる。真っ白なワンピースを着ている。着替えてきたのか。「あ、こっちこっち!」笑顔が眩しい。天使ってこういう人のためにある言葉なんだと理解した。集まった2人の男女は他愛もない雑談をしながら移動した。「見せたい物がある
2020年7月1日 18:33
「一緒に来ない?」華奢な右手を差し出し君が言った。戸惑っていた僕は口を開くことが出来なかった。僕の前に立っている女の子は天使なのか悪魔なのか。夢を見て僕を誘った。僕を救おうとしてくれているのか。救う?一体何から。あの子も体感した冷たく、蔑んだ目からだろう。断る理由がなかった。僕にとっての光が手を差し伸べてくれている。僕は佐藤さんの右手を掴んだ。