見出し画像

『ザ・レイプ・オブ・南京:第二次世界大戦の忘れられたホロコースト』人生を変えた一冊

日本人の両親の元、「自由の国」と呼ばれる世界を牛耳る大国の大都市で生まれ、現地校に通学しながら、日本語学校も週一通っていました。

そんな私が、21歳の短大生の頃、一冊の洋書がきっかけで、日本に移住しました。

その本は日本帝国軍が中国で輪姦・大虐殺した内容が書かれたニューヨーク・タイムズ・ベストセラー『The Rape of Nanking: The Forgotten Holocaust of World War II(ザ・レイプ・オブ・南京:第二次世界大戦の忘れられたホロコースト)』。

ナチスがユダヤ人を大虐殺した事実を否定したとしたら大問題になるほどセンシティブな歴史。なのに、その悪名高いナチスも比較にならないほどの残虐行為を日本軍がアジア諸国で犯しています。

しかも、その事実さえ教えない認知度のギャップが不自然すぎて、気持ち悪くなります。

アメリカ社会でも日本社会でも「異邦人」扱いだったが、どちらかというと「日本人」と見られてきて、私もそれに応えようとしてきた部分もあります。

でも手探りに構築してきた「日本人」というアイデンティティが、ガラガラと音をたてて崩れてゆくのを感じました。

当時、アメリカを早く出て、世界中を旅しがら「幸せ」というものを探し当てたいと思っていました。でも、その本を読み終えて、自分の考えにゾッとしました。

アメリカ出身であれ「日本人」として見られるにもかかわらず、「祖国」の歴史も知らずに、世界中の国にお邪魔したとき、どれほど恥晒しになるか。

日本人のイメージ、ひいては自分の印象をどれほど悪くするかということが容易に想像できたからです。

国際人としての一般教養......。少なくとも日系人として知るべく加害者としての歴史を、人並み以上の教育を受けていた私が21年間、全く教わる機会がなかった事実に衝撃を受けました。

日本という国が一体どういう状況で、教育がどうなっていて、なんで被害者の歴史は教えるのに、加害者の歴史を教えないのでしょうか。

日本の中で実際、何が起きているのか知るために私は東京にある大学に入学したのでした。


ありがとうございます✧