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恋愛優先度は低め? Z世代は「趣味」を重視する傾向

最近は、何かひとつのことに熱中し、一般人でありながら専門家並の知識を持つ人たちがよく話題になります。若者の「オタク化」についていたるところで語られているように、彼らは生活の中で趣味にあてる時間が多くなっているのです。そこでふと浮かんだのが、学校、勉強、趣味…とやることが多い中、恋愛に費やす時間があるのか、という疑問。ということで今回はZ世代、特に男子の恋愛観について深掘りをします!


彼らの生活において、恋愛はどのくらいの優先順位に置かれているのでしょうか。また、恋愛の楽しみ方に特徴や変化はあるのでしょうか。

【アンケート】
<調査対象>
15~34歳の男女345名(男性174名、女性171名)
<調査実施期間>
2021年5月28日~6月3日
<調査方法>
インターネット調査

【回答者属性】
回答者の中で恋人やパートナーがいる割合は以下の通り。

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恋愛は勉強や仕事の充実があってこそ

まずは、学校や仕事(バイト)、趣味などと恋愛を並べたときに、どのような優先順位になるのかを見ていきます。

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この結果からは、「趣味」の優先順位がもっとも高く置かれている、ということがわかりました。次いで「仕事・バイト」、「勉強・学校生活・受験」と続き、「恋愛」は4番目。自分の生活の充実がベースにあってこその恋愛、と考える人が多いようです。


次に、男性に絞って1位~3位を見ていきます。尚、仕事と学校については年齢による差が出てしまうものであるため、それ以外の部分に注目していきます。


1位を見ると、10代後半では「勉強・学校生活・受験」が一番多く、次いで「趣味」となっています。この2項目でほとんどを占め、「恋愛」は3番目でありつつも他とは大きな差がついています。思春期で異性に興味をもちはじめる時期とされますが、趣味の方が重要視されているようです。20代前半では「趣味」が約39%と一番大きな割合を占めており、ここでも他と大きな差がついています。恋愛は10代後半と同じく3番目で約16%。2位の構成比は1位と大きな差がありませんが、1位・2位に学校・仕事が置かれた分、恋愛が構成比の中で占める割合が若干大きくなります。


これらをまとめると、Z世代(10代~20代前半)男性は趣味をもっとも大切にし、次いで学校、仕事・バイトと続き、恋愛は3番目という優先順位で、日々生活しているといえます。

出会いのきっかけも「趣味」がカギ 外見よりも性格が大事

次に「恋愛」にフォーカスして、どのように恋愛を楽しんでいるのかを見ていきましょう。

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全体的に学校や職場など、身近な場所での出会いが多い一方で、共通の趣味も出会いに繋がる大きな要素となっています。20代前半の男性では、学校と趣味が同じ割合でトップです。一つ前の質問も踏まえると、趣味も日常を構成する重要な要素となっており、そこから恋愛に発展をすることも学校や職場と同じくらい自然なことになっているといえます。


マッチングアプリの利用率は全世代で合コンよりも高く、男女ともに20代で特に多く利用されています。コロナ禍という状況も影響しているかと思いますが、出会いのツールとして当たり前になりつつあることが、この結果からわかります。「合コン」という言葉が古くなる日も近いのかもしれません…。

では、先のような場で出会った相手に恋愛感情を抱く基準はなんなのでしょうか。

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こちらは性別・世代別で結果に大きな差が無かったため、全体で見ていきます。一番は「性格」、次いで「外見」、となりました。ここでもこの2つに次いで「共通の趣味」が多くなっていて、経済力やファッションよりも重要視されている点は興味深いですね。

マッチングアプリは不安だけど便利? 約3割が利用経験あり

最後に、先ほど少し触れたマッチングアプリの利用経験についてもう少し深掘りします。

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利用経験について、全体では35%が経験あり、ということでこの数字からもマッチングアプリが浸透しつつあることがうかがえます。10代が少ないのは環境的に理解ができますが、男女ともに30代と20代の間に大きな乖離があることから、20代以下の年代で当たり前になってきていると言えそうです。


マッチングアプリのイメージについて聞いてみると、「便利」と感じる一方で、不安・抵抗を感じる人も同じくらいいるようです。ただし実際に「嫌な思いをした経験がある」人は少ないため、イメージ改善がユーザー獲得のカギになると思われます。(嫌な思いをした経験がある人よりも、実際に恋人・パートナーに出会ったと答えている人の方が多いのは素敵ですね…!)

恋愛観にまで「趣味」が大きく影響しているのは、非常に興味深いですね。若者の恋愛離れ、とよく言われますが、恋愛に興味がないわけではなく、やるべきことややりたいことが多すぎて優先順位が下がっているだけなのかもしれません。また、「趣味」と一括りに言っても、その中にはゲーム・スポーツ・アニメ・漫画・動画…など複数持っていることがほとんどなので、それを楽しむだけで生活が充実したり、恋愛感情に近い感情をアニメ・漫画・アイドルなどに満たされたり…ということもあるでしょう。


Z世代に向けたプロモーションにおいて、甘酸っぱい恋愛模様や片思いなどが典型的なテーマとして設定されますが、恋愛よりも趣味の優先順位が高い今回のリサーチ結果を踏まえると、恋愛中のあるあるや憧れのシチュエーションではなく、趣味を通して恋愛に発展するなど、ターゲット層のリアルな現状を意識した方が刺さりやすいのかもしれません。広く刺すことを狙ったテーマでの訴求ではなく、趣味を切り口としてクラスターごとに細分化した訴求をしていくことが、これからのプロモーションに求められていきます。

堀 200×200

堀 かおり
2014年、電通テック入社。2018年5月より +tech labo の研究員となり、“Z 世代”を軸として開発業務を行っている。Z世代男子に向けてメンズ美容の情報を発信するInstagramアカウント「Boys Beauty」のプロデューサー。