見出し画像

#85 愛着のある家つくりの為に

今まで、沢山のお家のリフォームを
させていただき、引渡しをしました。

1日だけの短い工期のリフォームもあれば2ヵ月に渡る長い工期のリフォームもあり、やはり滞在時間長さは愛着に繋がり、気持ちの入り方も変わるように感じます。

日本の住宅はスクラップアンドビルドで
簡単に建てて、立て直す、買い替えるということを繰り返して来たと言われていて、その結果、空き家問題が深刻になっていると共に、人口減少、新築住宅の減少で住宅業界も厳しさを増している
状況かと思います。

その様な中でもう家を建てる必要はないという考え方もあると思います。

しかし、私は現実問題として新築は
無くなることは無いと思いますが、 多くの方が今の住まいを
直して住む、或いは中古住宅を購入してリノベするという選択に流れる
と思います。

しかし、今まで建てられてきた住宅の質があまりに良くない。
特に、断熱問題や間取り、動線等使い勝手の問題があまりにひどい住宅が多く、建てたら終わり的な業界であった時代のつけが今になって深刻になって
来ていると感じます。

この様に建てる側に愛着が無い、
兎に角、早く、安く、そこそこ見た目が良ければそれでいいといった住宅では住み手にもあまり愛着が湧かず、メンテナンスもされず放置され、20年~30年でボロボロになり、今更リフォームで性能を上げるにはコストがかかりすぎ、見積合戦のあげくに問題解決には至らないという悪循環が起きてきているというのが現状だと強く感じます。

何だか救いようがないな・・・といった感じですが実はそうでもないと思う部分もあります。

確かに時代背景もあり、このような放置された可哀想な家も沢山あるとは思いますが、住み手が家を愛し、毎日掃除をし、片付けを繰り返し、収納を使いやすく工夫をし続けていれば、少々出来の悪いお家でもかなり愛着のある家に育つのではないかと感じます。(子育てと似ている)

これは、お客様のお家に一歩足を踏み入れた瞬間に感じ取ることが出来ます。
寒くて、使いにくい家だと不満を言いながらも住み手の愛を浴び続けている家は良い顔をしています。

でも、この場合住み手の負担が大きいという問題が起こります。高齢化とともに問題は深刻化していきます。
この負担を解決するのはリフォーム以外の何物でもないと私は思います。

こうやって問題をかみ砕いて考えると
作り手の愛、住み手の愛の両方があって理想的な愛着のある家が出来上がるのではないかと考えます。

家は建てて終わりではないということは作り手にも住み手にも言えることで、
住み手は特に我が子と同じように手間もお金もかけて大切に守っていくことで家族の安全、思い出、そして
愛着に繋がるのだと思います。

良い家は、リフォームしても素敵な家に生まれ変わります。
良い家というのは、作る側と住む側の思いと愛に溢れた家だということです。

これから、我が国は今までの歴史に学んで建てて終わりではなく、メンテナンスをする、或いはリフォーム、リノベをする前提で住まいを提案していく必要が
あると思います。
そして、長く愛着のある住まいとして何世代にも渡って住まうことが出来る家作りに繋げていく文化にしなければならないと思います。

それにはまず、空き家、中古物件のリノベーションをどうするか?ということを考えなければなりません。リフォーム業界も見直しが必要だし、工務店、ハウスメーカーもリフォームとどう向き合うか?を真剣に模索しているはずです。しかし、これが結構大変な問題だと感じます。新築とリフォームは全く違うからです。

リフォームには新築にない沢山のハードルがあります。私は四半世紀これと向き合ってきたけれどまだまだ答えは見つからずにいます。
要するに新しく作る方が簡単だという事です。

住み手となる施主は、これからは人任せではなく、しっかり問題を把握して、言語化し、作り手にしっかり伝えるということがこれまで以上に大切になると思います。

その為にリフォームを学ぶことを考える必要がありますが、建築としてもリフォームではなく、むしろ自分のなりたい暮らし方の言語化の為に学ぶ時考えた方が良いと思います。そう考えればハードルも下がるはずだからです。

そして何よりも予算計画を長期で考えておくこと。これはどうしても外せない問題ですね。身の丈を考え、未来を見つめて住まいに投資すると考えるのがお勧めです。手元の現金だけにこだわる必要はないと思います。

色々と書きましたが、愛着のある家はどうやって育てて行けばいいのか?
まとめてみると

1.愛着のある家というのは、作る側の思いや愛の上に住み手の愛が積み重なって育てて行くのが理想的。

2.例え、少々出来の悪い家であっても
住み手の愛を降り注ぎ、掃除や片付けを繰り返していく事で愛着のある家に育てる事は可能。

3.これからは建てるより直すを前提にして家を見直す。業界を変えることが必要。我が国の未来を見据えて住宅問題に取り組んでいく必要がある。

以上、参考になれば幸いです。

では、今日はこの辺で・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?