【吹奏楽】下手なことは悪いことではない【前置きの昔話 その1】

※関係者が見る可能性もあるので一応フィクションとしておいてください(笑)

かなり昔の話。
僕は高校入学後に吹奏楽を始めた。どうしても入りたい高校があり、中学生の時は受験勉強に専念していたのだが無事志望校に入学できたので、充実した高校生活を送るために何か部活を始めたいと思っていた。

そんな折に小学校の時に仲が良かった友人が「吹奏楽部に入らないか?」と誘いに来た。彼は私立の中学校に行ったためしばらく疎遠になっていたが、同じ高校に入学していたのだった。

当初、僕は入部に乗り気ではなかったので「ゴールデンウィークが終わってからなら入ってもいいよ。」と答えた。遠回しに断ったつもりだった。ところがそれを知ってか知らずか彼は連休明けに再度勧誘に来た。仕方ないな、と思い入部することにした。入学式からかなり日も経っていたので新入部員はあらかた担当楽器が決まっており、選択の余地はなく、楽器に触れてみることもなく部長から「お前、トロンボーンね」と言われた。あのスライドが伸び縮みする楽器か、面白そうだな、と思い了承した。

そうして始めたトロンボーンだが、これがなかなか上達しなかった。ただ続けていくうちに楽器自体は好きになっていったし、親に無理を言って楽器も買ってもらった。当時ネットなどはなく、いろんな本を買って読んだりして練習法を研究してみたが、なかなか実を結ばなかった。

スポーツもそうだが、どうしても下手なやつより上手いやつの方が発言権もあり、部の中心になる。野球で言えばエースで4番のやつを冷遇するチームなどない。その逆はちょこちょこある話だ。僕は部内でいじめられている、とまではいかなくとも、どちらかというと「窓際族部員」だった。
ただ上手くなりたいとは思っていたので自分なりにいろいろ研究して練習していたが、学業成績が思わしくなかったこともあり、退部して勉強に専念することも考えた。思い悩んで部活をサボることもあった。

さて、時期的に若干前後するがトロンボーンの練習に疲れた時、チューバパートの同期に頼んで時々チューバを吹かせてもらうことがあった。自分でもびっくりするほど自然に音が出せた。低音域から高音域まで。トロンボーンのときは高い音がなかなか出ずに苦労していた。運指に関してはトロンボーンのスライドポジションを置き換えて考えればよかったのでそんなに苦労しなかった。

どう考えてもチューバの方が向いているようだったが、前述のように親に楽器を買ってもらっていた。なかなか「楽器を変わりたい」とは言い出せなかった。しかしそこに上記のような展開があり、また同じ学年の仲間からは「いろいろあるんだろうけど部活に戻ってこい!」と温かく引き留める手紙(メールとかまだないのですよ。時代…)をもらったこともあり、さらには一学年下のチューバの部員が学業に専念したいと退部していた。

同学年の部員(当時3年)で話し合った結果、異例だがチューバで復帰することになった。親には大変申し訳なかったが、いろんな事情・環境を考えるとかなりホッとした。

【つづく】



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