【レビュー】PENTAX67の105mm F2.4をGFXとフォーカルレデューサーで使う
はじめに
本レンズはPENTAX67用レンズとして販売されました。今回紹介するのは、旧鏡筒でマルチコート、トリウムレンズのものです。
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まずは写真をご覧ください。
巧拙はさておき、これらを撮って、私はこのレンズがいっぺんに好きになりました。
使用機材
カメラはGFX 50Sを使用しています。
マウントアダプターは特に説明がない限り、
KIPONの「Baveyes Focal Reducer Pentax 67-GFX 0.8x」を使用しています。
本アダプターには大きな特徴があり、中にレンズが入っている(フォーカルレデューサー)ことで、レンズの焦点距離が0.8倍されます。
したがって、105mm F2.4を装着した際の換算焦点距離はおよそ67mm程度となります。
なお、マウントアダプターについては、以下の記事で詳しく記載しています。
外観
フードは純正を使用していますが、ねじ込み式なら社外製のものを取り付けられます。旧鏡筒はメタルフードとなっており、質感も良好です。
なお、フィルター経は67mmとなっています。
大きいです。重いです。2kgくらいあります。
しかし現実をたいへん美しくしてくれます。
ボケについて
同条件の機材でF値を換算すると、F1.5相当となりそこまで明るいわけではありません。
GFXで使うのであればSIGMAの105mm F1.4 Artのほうがボケ量としては大きいです。しかし……
この、ピント面から遷移するなだらかなボケ。このレンズの特徴的な描写だと思います。
流行りのフィルムライクをするのであれば、避けては通れないレンズの一つでしょう。
玉ボケもきれいだと思います。67レンズのなせるワザでしょうか。
中望遠的に背景をすべてボカしてみました。
なめらかなボケは被写体を際立たせてくれるはずです。
画質
ピントを無限遠に合わせ、F値を変化させた際の描写を観察しました。
結果を以下に示します。拡大してお楽しみください。
最周辺部は少し流れ、サジタルコマフレアのようなものが見受けられます。
普通のアダプターとシーンに合わせて使い分けられるとよいかも。
周辺減光がかなり改善します。
以降絞るにしたがって画質が改善します。
F8がピークっぽい気がしますが、じゃあF5.6が悪いかというとそうでもなく、十分な画質だと思います。
周辺減光はF5.6でほぼ解消されます。
たぶん画質のピークですが、実際はここまで絞るシーンはあまりないかも。
普通のレンズならそろそろ回折の影響を受けてくるはずですが、フォーカルレデューサーを使用していることもあってまだあまり影響を受けていないようです。
周辺までばっちり解像しています。
周辺までばっちり解像しています。
私の目がフシアナなのかもしれませんが、これだけ絞っても回折の影響はよくわかりませんでした。
シフト時の画質変化
次に、Fotodioxの「Pro Shift Lens Mount Adapter」を使用してシフト時の画質変化を観察しました。
本アダプターは±15mmのシフトが可能となっています。
以下ではそれぞれ10mmずつシフトさせ、+15mm、+5mm、-5mm、-15mmの位置で撮影しました。
なお、換算焦点距離は約83mmとなり、F値はF2.4(開放)、ピントは無限遠に合わせました。
結果を以下に示します。拡大してお楽しみください。
めいいっぱいシフトしており写真の上端に周辺減光が見られます。ただしこれは後述のアダプターによるものかも。
中心部から5mmしかシフトしておらず周辺減光は軽微なはずですが、この写真では見受けられます。
もしかすると、アダプターを重ねて使用しているためアダプターの内径でケラれてしまっているのかもしれません。
+5mm時と特に変わらず。67レンズだけあって画面の均質性は良好に思えますが、いかがでしょうか。
こちらもめいいっぱいシフトしており周辺減光が出ていますが、周辺部はボケているのでそれほど気になりません。アダプターが対応していれば、まだシフトできそうです。
67レンズのイメージサークルがいかに大きいかよく分かる結果になりました。
逆光耐性・フレア
次に逆光耐性について記載します。
本レンズは逆光に弱いと書かれているのをよく目にしました。
しかし、実際に撮影してみると、コントラストは下がりますが、古いレンズにしては比較的耐性のある方だと感じました。
夏の灼熱の西日も、本レンズにかかれば暖かな日差しにかわります。
入射光の角度によってはフレアが出ますが、きれいだと思いました。人によっては表現として使えるかも。
とはいえ、逆光に弱いのは確か。コーティングに優れたフィルターを付けるのもよいかもしれません。C-PLならコントラストも上がってフィルムライクに寄与するはずです。
【総括】フィルム表現の終着点にいたるためのレンズ
今回はPENTAX67用レンズである、「smc TAKUMAR 67 105mm F2.4」を実際に撮影した写真を交えて紹介しました。
本レンズは、デジタルカメラにおけるフィルム表現の終着点にいたるためのレンズだと感じました。
色々な方が色々なレンズでそれに挑戦していますが、表現の差はあれど、本レンズに落ち着く方は多いのではないでしょうか。
本レンズの大きなイメージサークルは豊かな周辺光量をもたらし、浅い被写界深度となだらかなボケが相まって非常にリッチな絵を見せてくれます。
そこにGFXの階調表現が加わり、さらにKIPONのアダプター(フォーカルレデューサー)による画質向上もある。
となれば、「現実を美しくしてくれる」と言っても過言ではないと思っています。
それくらい入れ込んでしまっています。いいレンズです。
(おしまい)
新品レンズが高い昨今、費用対効果の面でも本レンズで撮る意義はあると思います(でも旧型はかなり重いので軽い新型のほうがいいかも)。
作例というのもおこがましいですが、よければ下記も併せてご覧ください。
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