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高校までずっと文化部なのに野球部の強さで進学先を決め、現在は公私ともに野球を支える生活で幸せな奥田さんの話

こんにちは。PLMキャリアです。
先日、スポーツ業界で働く方のキャリアストーリーとして弊社の高木隆さんの半生をご紹介したところ、大変好評をいただきました。

そこで早速ですが、キャリアストーリー第2弾をお届けします。実は今回ご紹介する奥田瑛理さんも弊社PLMの社員です。2回連続で身内になってしまいますが、前回の髙木さん記事の反響を受け、逆に「最も身近なスポーツ業界の人々」として弊社メンバーのことも積極的に取り上げていくことにしました。(何より取材が楽!!!)

というわけで奥田さんですが、彼女の弊社におけるポジションは「管理部」、つまり「バックオフィス」と呼ばれる領域です。具体的には経理、人事・労務、総務、財務などがこれに当たります。企業の売上・利益に直結する業務を行う「フロント」を支える後方支援業務という意味で、一般にバックオフィスと呼ばれています。

一般に「スポーツ業界」「スポーツビジネス」という言葉を聞いて、バックオフィス業務を真っ先に思い浮かべるという方は極めて稀だと思います。しかし当然ながら、法人として営利活動を行っている以上、スポーツ関連企業も他の一般企業と同じようにバックオフィス業務が存在し、その業務を遂行するメンバーがいます。これはプロ野球の球団であっても同様です。

今回、いわゆる「いかにもスポーツビジネスっぽい」路線とはまた別の角度からスポーツ業界に入って活躍されているロールモデルとして、奥田さんのストーリーが皆さまのご参考になればと思います。

それではお楽しみください。

奥田瑛理さんプロフィール

奥田 瑛理
パシフィックリーグマーケティング株式会社 
管理部
大学卒業後、建築資材の会社に入社し、経理職に配属。給与計算、社会保険手続き、備品発注などの業務を担当。大手生命保険会社へ転職し、営業に従事。その後、パシフィックリーグマーケティングの管理部へ入社。経理・総務を担当している。

人生の選択の軸は大好きな野球

子どもの頃から、学校の休み時間にも絵を描いて過ごしているような、どちらかというと運動が苦手なタイプでした。部活も中学では演劇部、高校は合唱部と郷土芸能部の掛持ちで、とにかく文化系。

そんな私でしたが、小学生の時に姉の影響で知った高校野球だけはずっと熱心に観戦していて、地元京都の高校を中心に毎年一生懸命応援していました。甲子園にも毎年通いました。それどころか、実は高校に進学する時も学業成績より野球部の強さを基準に志望校を決めて、実際に地元で野球が強かった公立高校に進みました。あいにく母校の甲子園出場は叶いませんでしたが、充実した野球応援生活を送ることができました。

この高校生活で得た財産は野球の他にもあって、3年生の夏休みに中国の西安を訪問し、現地の高校生達と交流しました。この経験から隣国と交流することの大切さを学び、大学で中国語を学びたいと考えるようになりました。

それで希望通り中国語専攻のある大学へ進んだのですが、実は大学選びにおいても野球部の強さをかなり考慮に入れました(笑)。この時も高校と同様、特に野球部のマネージャーを目指していたわけでもなく、あくまで応援するためです。それで自分自身は合唱部に入るつもりだったのですが、実際は思いがけず熱心な勧誘を受けたことがきっかけで、体育会のソフトボール部に入部してしまいました。大学生にして初めて運動部に身を置いたので、最初は投げたボールも相手に届かずかなり苦労しましたが、プレイヤー側の楽しさや視点も知ることができて、とても良い経験ができました。それまでは何となくで済ませていた野球の知識やルールも正確に理解するようになりましたし、スコアをつけるのも勉強にもなりました。

大学4年次に中国に交換留学していた時も、このソフト部での経験に後押しされる形で現地の日本人野球チームに入りました。ここで中国や韓国のチームと試合をしたことは今でも良い思い出です。

中国留学時に現地学生と野球を通じて交流

こうして改めて振り返ると、学生時代はあまり将来について深く考えることもなく、目の前の好きなことを頑張ることに注力して、その時その時の巡り合わせを大事にしていたような気がします。その中でも、何か人生上の選択をする際には、やはり野球がきっかけや判断軸になることが多かったです。

中国の清華大学へ留学


中小企業の経理職からキャリアをスタート

こうして迎えた新卒の就職活動では、ただ野球が好きという気持ちで、なんとなくスポーツ用品の会社などを受けたりもしました。でも、よりリアルな感覚としては「何を好きか」よりも「何ができるか」「何なら貢献できるか」を考えて就職しようという気持ちが強く、自分なりに適性があると感じていた事務職で仕事を探しました。そうして自分が役に立てることで働いて、休日に野球を観に行く生活が出来ればいいという考え方でした。結果、都内の建築資材の中小企業に新卒入社しました。希望していた経理職に配属され、給与計算、社会保険手続き、仕入れ台帳記入などを担当しました。例えば営業などの部署では頻繁に大きな声も飛び交うような職場だったのですが、黙々と自分の世界に入り込んで作業できる事務の仕事は、実際にやってみて私に向いていると感じました。

それでも入社から1年が経つと、職場環境のことを中心に悩みも増えてきて、大学の後輩が生き生きと仕事について語る姿に触れたりすると、思わず考え込んでしまうことも多くなりました。様々な葛藤はありましたが、最終的に覚悟を決めて、大手の生命保険会社に営業職として転職をしました。営業そのものを希望していたというよりは、希望の仕事に辿り着く過程で営業を経験しなければならない仕組みだったので、思い切ってチャレンジしたという感覚です。ですので最初は戸惑いもありましたが、自分なりに結果を出せる方法を模索して工夫した結果、上司に褒めてもらえる場面も出てきて、少しずつ自信を持てるようになりました。そういった上司の他、同僚や営業先のお客様の存在も励みになって仕事を続けていましたが、やはり最終的には自分の適性に疑問を感じ、たとえ目指す先へのプロセスだとしても営業職を何年も続けていくのは厳しいと感じるようになりました。 

 

休日は少年野球クラブのボランティア活動

少年野球クラブの事務局で広報を担当

ところで、そんな日々の仕事での疲れを癒してくれていたのが、ひょんなきっかけで始めた少年野球クラブでのボランティアでした。社会人生活を送る中で土日の過ごし方を考えるようになった頃、知り合いを通じて中学生の硬式野球クラブを紹介してもらったのです。試合に帯同してスコアを書くなど、クラブ運営のお手伝いから始めました。中学時代を文化部で過ごした私には未知の世界でしたが、大好きな高校野球にある意味で一番近い場所だと感じられて、とても魅力的に映りました。実際、このクラブを経て高校野球の名門校に進んだ選手も何人もいます。

この活動は現在も続けていて、気が付けばもう8年目です。最近は事務局の広報として、主に写真撮影やSNS等を担当しています。私自身ずっと野球が生きがいになっているので、人生を充実させてくれたことへの恩返しというか、何かできることがあればという思いで運営に携わっています。夢を持ち、親の期待も背負って、野球に一生懸命打ち込む選手たちの姿を見守っているプライベートの時間はとても充実しています。


自分の心に嘘はつかないと決めた転職活動。そして、PLMとの出会い

というわけで4年間、週末の野球クラブの活動に心を支えられながら生命保険会社の営業職として頑張りましたが、やはり最終的には適性の限界を感じました。そこで、次は最初から好きなことに関わる仕事をしたいと思って転職活動を行いました。私の好きなことと言えばもちろん野球ですので、野球グッズを製作する企業なども受けましたが、あいにく採用には至りませんでした。そんな中ある日偶然、現職であるPLMの求人を見つけました。しかも募集ポジションは、私が苦手な営業職ではなく、最も適性を実感していた事務職です。当時のPLMはまだ10人程度の規模で、恥ずかしながら会社の存在どころかメインサービスのパ・リーグTVの存在すら知らなかったのですが、大好きな野球の企業だったので、思い切って応募してみました。大学進学時以来の、野球を軸にした人生の選択でした。

その採用面接では、1社目の経理の経験、2社目の営業で培った気遣いなど、特に野球に関連してということではなく、応募先である事務の仕事において、できることや活かせる経験があるという点をアピールしました。単に「野球が好き」ということだけで入社できるとは最初から考えていなかったので、それよりも自分がどんな点で会社に貢献できるかということを伝えようと意識しました。その結果かどうかは分かりませんが、ご縁あって入社することとなり、大好きな野球に関わる仕事に就くことが出来ました。辛かった日々も今の瞬間に繋がっていた、意味があったと思えた瞬間でした。


入社後すぐ、社長の海外スピーチのサポート!? 

PLMに入社後は、社員・アルバイトの給与計算、入退社社会保険手続き、備品発注、請求書対応、取締役会の準備や議事録の共有案内等々のバックオフィス業務を担当しています。その一方、たまに思いがけない仕事を経験することもあります。

というのも入社して間もないタイミングで、PLMの根岸社長が台湾での記者会見で中国語スピーチを行うことになり、その発音指導を頼まれてしまったのです。そもそも英語が堪能な社員が多い会社で、社内で急に英語の会話が始まるのを耳にしたこともあったのですが、まさか自分にもそんな機会が巡ってくるとは想像もしていませんでした。結果的に留学を含めた学生時代の経験も活かせる機会となり、社長のスピーチ練習をサポートさせていただきました。無事に本番を終え、現地で喝采を浴びたと知った時にはほっとしたことを覚えています。またその他、パーソルパ・リーグTVの台湾の視聴者の方からのお問い合わせに、中国語の文章で回答を作成してお戻ししたこともあります。必死に辞書を調べて対応したので大変でしたが、それ以上に楽しかったですし、良い経験をさせてもらいました。


野球界を支える皆さんの当たり前を守る使命

おそらく皆さんご想像の通り、私の業務では直接的に野球の現場に関わることはありません。それでもプロ野球の空気を間近で感じる場面にはわりと頻繁に遭遇します。例えば電話対応業務がその典型で、プロ野球の試合で何らかの新記録達成が生まれた時など、テレビをはじめとした取材依頼に対応することが多々あります。もちろん仕事なので冷静に対応していますが、内心はリアルタイムでプロ野球の空気に触れて、密かにテンションが上がっていたりします(笑)。また、オフィスのテレビで普通に野球の中継が流れていたり、プロ野球のユニフォームやグッズが自然に置いてあったりするのも、過去の職場環境からはとても想像できないことです。好きなことに囲まれて仕事をしている事実を実感しながら、大きな幸せを感じて働いてます。

考えてみると、私自身の野球への関わり方は昔からこんな感じでした。直接現場で動き回るより、一歩引いたところから眺めたり応援したりする方が自分に合っているのかなと思います。実際、今は毎日がとても楽しいです。

バックオフィスというのは、日常を守る仕事だと思っています。PCやスマホなどの備品が貸与され、知らぬ間に社会保険に入っていて、気付いたら給料が支払われていて、冷蔵庫にはお茶や水が補充されていて…といった、野球の業務に携わる従業員の皆さんにとっての「当たり前」を守ることを使命に感じて仕事をしています。営業で利益を上げる、制作で貢献するなど、それぞれの職務での使命はありますが、この「当たり前を守る」という使命感を持てると、バックオフィスでのやりがいも生まれると思っています。別の言い方をすれば、野球界を支える皆さんを支えているというやりがいです。皆それぞれなくてはならない存在で、その中で自分は自分の役割を果たしていく、という気持ちで仕事に向き合っています。

私の場合、「スポーツに関わるキャリアを積みたい」というような明確な目標が最初からあったわけではありませんでしたが、その時その時に経験してきた色々なことが繋がって、現在に至ります。お陰様で今すごく幸せなので、今後も自分らしさを忘れず、業務的な意味でも、安心の拠りどころ的な意味でも、会社にとって良い意味で、なくてはならない存在でありたいと思っています。笑顔を絶やさず「いつでも話しかけてください!」という雰囲気で座っていたいです。
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取材を終えて

以上、奥田さんのキャリアストーリーをお届けしました。いかがでしたでしょうか?

毎年甲子園に通うほど高校野球が大好きなのにずっと文化部に所属し、野球を始めるわけでも野球部マネージャーになるわけでもなく、でも進路選択の軸は野球にしてきたという、この独特な野球との距離感と付き合い方が面白い方だなと、改めてお話を伺いながら感じました。

またPLMキャリアのアドバイザーとしては、野球業界への転職ということに関して、野球自体への想いの強さでなく、ご自身の業務経験や貢献可能性など、求められている仕事に対する適性と可能性をしっかりアピールされたというお話が印象的でした。もちろん根底には野球への強く深い愛情があり、だからこそ、野球業界で働く人々を支えることにやりがいを持って業務に取り組んでおられます。求職者の皆さまにとってもご参考になるエピソードではないでしょうか。

前回ご紹介した髙木さんが戦略的にキャリアプランを立てて実行しながら歩んできたのとは対照的に、奥田さんはその時その時の自分の興味や感覚に素直に従って選択しながら、語学や経理などの経験・スキルを蓄積し、それが結果として大好きな野球に携わる今のキャリアに繋がったと言えます。全く異なる道のりで同じ職場に辿り着いたお二人のストーリーを考えると、人の数だけキャリアの可能性があるのだという当たり前の事実を改めて思い出します。

職業選択においては「好きなことは仕事にしない方がいい」という考え方もありますが、奥田さんの場合、大好きな野球との関わり方における公私のバランス感覚が絶妙で、お見事というほかありません。仕事でもプライベートでも大好きな野球と関わり、ご自身で心地の良い距離感を実現して充実している様子が伝わってきました。バックオフィスとして野球業界に自身の活躍の場を見出した奥田さんのキャリアも、皆さまご自身のキャリアを考える際の参考にしていただければと思います。

今後もスポーツ業界で働く人々のキャリアストーリーは随時お届けしいたします。ぜひ今後も本シリーズを楽しみにお待ちください!

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