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どのようにして海外旅豆本を作っているのか(3)旅行先での布の調達

ハンドメイド作家のPlava Stabloこと、青木弘之です。

2/1に行われた、海外旅豆本に関するトークイベントでお話しした内容を振り返る第三回は、海外旅豆本を作るうえで必要な素材のもう一つ、旅行先で作られた布の調達方法をお話ししたいと思います。
※第二回の「旅行先での写真撮影」については、以下のリンクをご参照ください。

なにはともあれ、まずは生地屋を探す!

私は、旅行先の国に入ると、まずはホテルにチェックインして、まだ日が高ければ街中に出て、生地屋さんを探します。ただ、やみくもに歩いても効率が悪いので、ある程度は事前に場所の当たりをつけておきます。

初めのころは、旅行に行く前に、あらかじめネットで調べておくことが多かったです。現地に在住している方や、旅行者のブログなどを見て、お店の名前と住所を調べておいて、ガイドブックの地図などで大体の場所を押さえておいて、現地に着いたら直行する、といった感じです。

日本人があまり行かないような国の場合は、情報もないので、当たりをつけた場所に行くしかないのですが、まずは、その街の一番の繁華街に行ってみます。当然お店も多くあるので、よく注意してみると、生地を売っているお店が見つかることもあります。

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また、街の市場に行ってみると、結構生地を売っているお店に出くわすことがあります。市場の中だったり、周りだったり、やはり人の集まるところには、生活に必要なものを売るお店が集まっているものです。

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どうしても生地屋さんが見つからない場合、衣料品店などで、お店の人に尋ねることもあります。服を売っているのだから、地元の生地のことも知っているのではないかなあ…と思っているからなのですが、工場で作っているような既製服を売るお店では、分からないという答えが返ってくることが多いですね。

衣料品とは関係なくても、何か購入したお店で、たまたまお店の人とお話しする機会があると、もしご存知でしたら…という感じで、生地屋さんの場所を尋ねることもあります。この辺は、かなり臨機応変です。

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最近は、スマートフォンの地図アプリを使って検索することが増えました。ご存知の方も多いと思いますが、「MAPS.ME」という地図アプリは、お店を検索して(例えば「textile」とか「fablic」とか)、地図上にお店の場所を表示するだけでなく、GPS機能でネットに接続することなく、自分の現在位置も分かるので、お店までの道順も分かり、大変重宝しています。

現地製の布を入手する

さて、生地屋さんは無事見つけたところで、私の欲しいのは、旅行先の国で作られた布です。私の作っている「旅から生まれた豆本」も、旅行先で作られた布地を表紙にしているのを売りにしていますので、輸入品では意味がないと言っても過言ではありません。

お店によっては、これはどこどこ製の生地、と記載されて売っているお店もあるのですが、そうでない限り、見た目ではどこで作られた布かは分からないので、ここはお店の人に尋ねるしかありません。

特に途上国に多いのですが、柄だけ見ると、いかにもお国柄を表しているような生地に出会ったとしても、意外と海外で生産されたものが多いのです。つまり、その国への輸出用に製造されている布地ということですね。

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なので、何とかして、現地で作られた布地を入手しようと、お店の人に訊いてみるのですが、言葉も通じないことが多いので、私は、事前に現地の言葉で「○○(国の名前)で作られた布が買いたいです」と書かれた紙をプリントして、お店の人に見てもらっています。

例:カザフスタン(上:現地語、下:ロシア語、以下同様)

Мен Қазақстанда жасалған маталарды іздеп жүрмін.

Я ищу ткань, изготовленную в Казахстане.

例:キルギス

Мен Кыргызстанда жасалган кездеме издеп жатам.

Я ищу ткань, сделанную в Кыргызстане.

例:ウズベキスタン

Men O'zbekistonda ishlab chiqarilgan matoni qidiryapman.

Я ищу ткань, сделанную в Узбекистане.

例:タジキスタン

Ман матоъе, ки дар Тоҷикистон сохта шудааст, меҷӯям.

Я ищу ткань, сделанную в Таджикистане.

ここで問題になるのが、「この生地はこの国で作られたものだよ」とお店の人が言っても、本当に正しいのかどうか私には分からないことです。お店の人が勘違いしているかもしれないし、万が一かもですが、私に売りたいがために、適当にウソをついていることも無きにしもあらずです。

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とはいえ、疑いだすととキリがないので、基本的にはお店の人のいうことを信用するようにしています。お店の人が、いくつも並んでいる布について、それぞれ作られた国が言い分けられれば、まず間違いないと、私も思います。

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どうしても現地製の布が見つからないときは…

何軒も生地屋さんを周って、どこのお店でも、現地で作られた布はありませんよ…と言われてしまった時にどうするか。

まずは、お土産屋さんに行ってみることにします。お土産品として、現地で織られたテーブルクロスやショールなど置いてあったりすることがあり、豆本に使えるような厚さや柄だったら、購入することがあります。きれいに縫製してあったりして、豆本を作るために切り刻むのはためらわれるのですが…

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また、アンティークショップにも寄ってみることがあります。今はもう現地では作ってないけど、古い布の中に、現地製のものがあったりします。これも、切ってしまうのはもったいないと思うのですが…

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あと、旅行では一つの国でいくつかの街を周ることが多いので、首都など大都市の生地屋さんにはなくとも、意外と地方都市の生地屋さんに、地方で作られた生地が置いてあったりすることもあります。

旅先での生地との出会いは、本当に一期一会ともいえるので、現地製の生地を見つけたら、豆本に使いづらい柄でも、まずは一枚購入するようにしています。

ただ、旅行の限られた期間内にどうしても現地製の生地が見つからないこともあり、そういう場合は、現地向けに輸出された海外製の生地を購入したり、隣国で購入した隣国製の生地を使って、海外旅豆本を作っています。その場合は、ネット通販サイト上で説明を付け加えております。

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豆本作りに向いている布・向いてない布

一口に布と言っても、いろんな種類の布があります。

まずは柄ですが、種類(絵・ストライプ・無地)、大きさなど様々です。豆本にしたとき、出来るだけ模様が均一になるようなものが好ましいのですが、無地だと面白みに欠けるし、柄が大きいと、表紙に切り出したときに、模様のばらつきも大きくなってしまうので、実に悩ましいところです。

対面販売の時は、お客様に実際にいくつか商品をお見せして、お好みのパターンを選んでいただけるのですが、ネット通販の場合は、写真でどんなパターンになるか、お見せはしているものの、お客様に送付するときは私の方でお選びすることになりますので、ご承知おき頂きたく存じます。

布の材質には、コットン、シルク、リネン、ポリエステル、アクリル…などあるのですが、豆本の作りにくさから言えば、シルクが難しいです。というのは、裁断面が毛羽立つことが多く、表紙を作る際に、毛羽立った糸がささくれになるので、はさみできれいに整えたりと、手間がかかるのです。でも、やはりシルクは手触りがよく、模様も面白いものが多いので、お勧めではあります。ネット通販サイト上では、豆本ごとの布の材質も記載しておりますので、参考にしてください。

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細かいことですが、織りの密度(みっちり、ゆるい)も、豆本に仕立てる上では重要な要素です。みっちりしすぎていると、製本時に布を折り曲げにくく、といって、ゆるすぎても、布の裏打ち時(次回以降で説明します)に、模様が歪みやすく、裏打ち紙も透けて見えてしまったりするので、なかなか加減が難しいものです。

写真・布と豆本作りの素材が揃ったところで、次回は、私の作る海外旅豆本の製作方法についてお話しいたします。






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