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勝手な訪問者

ソファーでうたた寝をしていてそのまま眠ってしまった。このソファー、人が寝るにはちと狭い安物のソファーなのだけど、ミニラの私には居心地が良い。

すると、明け方、Kちゃんが飛び込んで来て「わーん!金縛りにあった!わーん!誰か居る?」とさんざん騒いだ後、スヤスヤ寝てしまった。誰も居ないよ。色んな意味で。

しかし、どーん!とKちゃん狭いソファーに滑り込んで来たわけだし、早くから寝たというのもあって目が覚めてしまった。それでしばらくタバコを吸っていると、「いや!居る!」ということに気が付いた。

こそこそしているものの、何やら部屋を物色したり見まわしたりしている。そいつが通り過ぎた後はテーブルの上に置いてあったちらしがヒラヒラと床に落ちたり、台所では大きなプラスチック製のボウルがシンクにドン!と落ちた。

寝ぼけているし、久しぶりだし、「えーと・・・」と考えた。「生霊って、どうしたら良いんだっけ?」と。しかも物質が動いたり落ちたりするほどのやつは?と考えた。

一つの正解としては、本体と会うことが可能ならば本人と話し合う。

シンクに物が落ちる音で、再び目を覚ましたKちゃんが「やっぱり居る?」と訊いて来るのだが、彼女はこの朝早番なので「大丈夫、大丈夫。居ない、居ない。」と答えて毛布をかけてあげる。

二つ目の方法、無視する。もしも体調悪くなるとか、それほどの強いものでなければ。

三つめ、怒る。

ねみーんだよ!と。
方法も何も本気でイラっとしているので、内心「ぶち〇すぞ!」という気持ちで、しっかりと怒る、何せ相手は生きているので、これは効く。

4つ目。それでもダメならお祓いに行った方が良いらしい。まだここまではやったことがない。
大抵3つ目くらいで相手に何かが起こってそれどころではなくなる。ちゃんと「結構です。用事ありません。出てってください。」とハッキリ意思表示するのが最大のお祓い。

Kちゃんと共通の知り合いのこの人も、多分。

ところで知り合いに「生霊を飛ばし返す」なんて豪語する人もいたけれど、それは無理。生霊を飛ばすほど執着を持てない。

ただ、”私はそういうことしない人間です、飛ばしません!”とは誰も言い切れない。私もそう。
何せ無意識だし、生きていると色んなことがあるから。ポジティブに好きという感情のみでもそういったことが起こるかも知れないし、逆に「頭に来た。どうしてくれよう。」でも飛ばしてしまうかも知れない。

ただ一つ言えるのは、飛ばしやすいタイプの人は、あまり物言わぬタイプの人が多い。本心を抑圧して、とても良い人でいようとしている人の方が断然多い。
飛ばしている間は、少なくとも本体の一部がお留守になっているわけだから、実はとても疲れやすかったり、思わぬミスやドジを踏んでしまうこともある。事故に遭ったりもするかも知れない。文字通り、ぼーっとしているから。

家に帰ってからずっと仕事で会った人のことをプンプン怒っていたり、誰か好意を持っている人のことを悶々と考えていたり、思い通りにならない伴侶のことをどうにかしようとしていたり、案外人は生霊を飛ばすことで疲れているらしい。何せ、本当に虚血状態になる。

心理学とは、ある意味統計学の要素が強いものだと思うのだが、同時に心霊まがいのこととも繋がりがある。スピリチュアルとか魂の成長の話にも深い繋がりがある。ついでに言うと、医学も太古の昔はおまじないの要素が強かった。

だから、こんなアホみたいな時間なのにも関わらず、こんなことを書いていると面白くなって来ちゃって、つい夢中になる。気が付けば部屋はKちゃんと私のみ。招かざる人は、いつの間にか居なくなっていた。

指先の一本一本まで”自分”をしっかりと入れて、地に足を踏みしめ、血を通わせ、今日もしっかりと自分を生きよう。

そうすると、人を恨むこともなく、後悔することも確実に減って来る。飛ばさずに済むし、飛ばされても振り落とせる。

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