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小さな花が沢山咲いていく

諸問題は色々あれど、普通に働く。

そして、齢60台の大御所ナースさんが今日もバリバリ働いている。・・・のだけど、大丈夫か?と思う。持病があるから。

一人で何件ものショートステイを引き受けダッシュして行くので後を追いかけて仕事の一部をぶんどる。一人で片付けられるはずもない仕事量だから。

嫌がるかと思いきや「なんか、最近楽しいわ。」という大御所様。

そんなことをしているもので午後16時過ぎには、あらかたの仕事が落ち着いて、パートナースさんと雑談しておられた。

そこへ、Kが登場。朝の7時から出勤している早番勤務だったので、介護の仕事をあがって我らが医務課へやって来たところだった。

雑談していた大御所様とパートナースさんが「事例研究発表会を聴きたかったです。」と仰ったので「今ここで聴かせて差しあげては?」と言うと「ええ?恥ずかしいな。」と言いつつも、パワポのスライドショーを操作しつつ聴かせてくれた。

途中でナースの姉さん方が息を呑んでいるのが分かった。

そして終了するや否や、絶賛して下さった。

事例研究発表会は外へ向けて発信する作業とも言えるので、なかなか現場の職員が直接聴く機会がなかった。

だから、お二方は実質、初めて耳にし目にしたことになるのだが、「ビックリした。こんなにクォリティが高いとは思わなくて。」と褒めて下さった。

なので、「いつも皆さんがやって下さっていることですよ。」と言うと「忘れていることが沢山あった。私たち、凄い仕事をして来たんですね。」と色んな表現で感情が湧いてくる様が垣間見えた。

聴いて貰えて良かったね、Kちゃん。そう言うと、Kちゃんは少し涙目になっていた。

つい2~3年前は、こんな日が来るとは思わなかった。まさか理解してくれる日が。

介護と看護は相容れない関係とも思われていた。

日々やっていることにどんな意味があるかも分からずに、少し手がかかる人を入院させては、ただただ看護師風を吹かせているのが美学だと思い込んでいた人もいた。

「介護って凄い仕事なんですね。」と、こんな言葉が聴ける日が来るなんて。

何の変哲もない、連続して行く日々の、たった一日が今日でもあった。

けれども、じっとしていても風は吹くし、事態は流れて行く。意味がないことなんて、何一つ無いのだなと思う。

まだ冷たい風が吹く、でも、紛れもない春の一日だった。

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