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カオスを行く

もうすぐ・・・あと2週間ほどで施設に実地指導が来るわけだが、私は正社員&主任になってまだ2ヵ月とちょっと。

無理だろ?と思いつつも、あたかも汚部屋のような医務課を日々掃除した。
隅っこの方に押し込められて扉も空かない謎の冷蔵庫に至っては、もう見る度に意気消沈していたが、介護職員のTさんが救世主かのように現れて「任せて」と言って一瞬で運び去って行った。痩せている女性である。しかし、老いてなお大男である利用者様をも軽く持ち上げる彼女の身体と精神はいったいどんなふうに出来ているのだろう?疲れを知らないその脳の作りとは?

それもそうだが、あの冷蔵庫をいったいどこへ持ち去ったのだろう?色々なことが謎なのだが、アッと言う間に帰って来て、そのままのスピードで、かなりの粗大ごみをも片づけてくれた。

はたまた今日はKちゃんが現れて、注文し過ぎだろ!という山ほどのプラスチックグローブの段ボールを沢山倉庫に運んでくれた。

前任者の主任は物を溜め込む性質の人だった。

だもんで、ただでさえ狭い医務課が上記のようになっているわけだが、ブックスタンドに立てられたファイルや紙くずやメモの山も、大切なものを捨てないようにと、一つ一つ見ながらゴミ袋に移したが、何とデスクの端から端まで全部要らないものだった。

とにかくもう何かをやりかけた後が多いのだ。山ほどの疥癬の資料、コロナ関連の資料。○○委員会とか〇〇研修とかタイトルがつけられたノートもめくってみれば1~2ページで終わっている。残骸だらけだった。

じゃ、次は何をしようか?と焦る心で過去の実績が記されているはずのエクセルを何枚か開いてみれば・・・記されていない。

色々と焦る割に意気消沈するわけだが、看護師の人々は何もしない。これは人種の違いなのだろう。
責任が重いはずの仕事をしていると、責任の是非ばかり考えるうちに、まったく何もしない人間が出来上がるという法則。そして何もしない代わりにあれしれくれ、これしてくれと、中年になっても更年期になっても求めるばかり。

が、この空気をいとも容易く変わって行く。

一人が変われば伝播するというのもあるが、何分、介護職員さんたちが沢山助けてくれようと医務課に侵入して来るし、施設長も用度課のおじさんも助けに来てくれる。
これは気まずいとばかりに、普段動かない人も助けてくれるようになる。

色々と気が狂いそうなことがあるものの、ありがたいなあと思うことの方が多い。

この騒ぎは当分続きそうだ。

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