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原因と結果

年末から体調を崩していたナースさんが出勤して来ていてほっとした。コロナでもインフルでもなく微熱の正体は、悪い風邪菌だった。

でも、抗生物質を飲めば治ったとのことで嬉しかった。心配したよ。

が、彼女の出勤と共に愚痴が始まる。これだけが問題だ。
ボスが如何に自分に酷い仕打ちをしているか?という話題なのだが、あるナースさんは、それを6時間聞かされて眩暈で倒れたとか。
何故執拗に同じ話を何度もするのか?と言うと、相手も全く自分と同じ気持ちになってくれないとダメな性質だから。

自分と同じくらい怒って、自分と同じくらい対象を恨んでくれないと気が済まないのだろう。

そこに共感しようと努力している派遣ナースのHちゃん。しかし、Hちゃんでは反応が薄いと判断した彼女は、今度は私の方に熱を入れて話し始め、「私、嫌われているんだよ、きっと!」と落ち込み出した。
挙句の果て「Ohzaさんが同じことを言っても叱られていないじゃない!ずるい!」と矛先がこちらに向きだした。

なので「叱ったり怒ったりするのも信頼が要るんじゃないかな?私はまだ信頼されていないからじゃない?」と方向を変えた。
とは言うものの、これは何も矛先を変えるためだけではなく、本当に思って言ったことだ。ボスの彼女に対する期待の表れではないかな?とも思ったから。

すると、「そんなんじゃないってば!」と、もっと怒り出してしまった。(かと言って、一緒に悪口を言うわけにはいかないのである。思ってもいないし、例え話を合わせて言ったとしても、後々全部私が言ったということになるから。)

その後しばらくして、また仕事の空き時間が出来た際、今度はHちゃんが話し出した。ご自身が常日頃辛いと思っていることをほんの少し打ち明けてくれたのだ。私と二人の時には、もっと詳しく話してくれるのだけど、この人にも分かって貰いたいと思ってのことだろう。

ところが、いつも自分の愚痴を言っている方の彼女は、「気のせいじゃない?」と話しの腰を折って自分の話を始めた。

これはいつものことではあるものの、改めてビックリした。

この年齢まで生きてきて、人の気持ちを想像するということは一切しないのだな?というところに。

無理やり自分の話に引き戻して何を言うのか?と思いきや、「今に見てなよ。Ohzaさんが正社員になったら私みたいな目に合うからね。」とのこと。

・・・・。そうですか。分かりました。

と、話を切ったのが気に入らなくてまだまだ同じ口上が続いていたが、色々と気が付くことがあった。

自分が嫌な目に合ったとき、人にはこんな思いをさせたくないと思う人間と「おまえもこんな目に合えばいいんだ。」と思う人間がいるんだなあ~・・・ということ。

そして、その心の向きの在り方を反映しているのが現状なのだろう。良いものも悪いものも皆、自分に返って来る。

自分がストレスを溜めるのは自分にも責任がある。ボスと自分との関係で嫌なことを嫌と言えなかったり、とにかく本命と戦えないがために人様に愚痴をぶっかける。要するに整理整頓ができていない状態で関係の無い人たちの心まで散らかそうとする。

「いつも ついてない」と言うけれど、そりゃあ、あんまり良いことは無いよな。誰のせい?

自分を見つめるというのはそういうことなのだろう。

悪い人ではなく、純粋に気が付かないだけなので、ちょっと言ってあげたいという気持ちが湧いても来るのだが、多分そういう人にも多々出会って来ているはず。
が、自分でパンパンに膨らませた心で、次々と豪速球を投げつけて来る人に優しいボールを投げられる人というのは居ない。プロでもなかなか難しい。

さんざん言ったあとで、さすがに気が済んだ瞬間がやって来るらしく、おそらくは一人反省して勝手に気分が良くなり冗談を言って来るときもある。

が、その頃、周りの人は、ぶつか続けられたボールで血だらけになってグッタリ。しかも、そんな人の冗談だから全然面白くない。

あとから「なんか、今日、私がふざけても誰も笑ってくれなかっよね?嫌われているのかな?」。

それは嫌われても仕方ないし、ほんとにそうなのかも知れないが、もっと、その・・・何というか。
そうそう。「何故なんだろう?」とか理由は考えないんだな、これが。

「なんで皆、疲れてたの?今日はそんなに忙しくなかったでしょ?」

自分を見つめない人は、周りのことも見えないのが常だった。

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