それは どこにも書かれていない
新しい職場で”お看取り対応”と呼ばれる人に遭遇。
周囲は誤嚥を恐れて禁食で点滴のみと言う。
ところが看護主任さんが「アイスクリームを食べたいと言っているんだから食べさせてあげたいです!」と言うので揉めている。
派遣の身で僭越ながら「賛成。」と口を挟んでしまった。
何故ならば、食べたいものならば誤嚥しない確率が高いのだ。いや、その対象がステーキだとか言われたら話は別だけど。
しかし、人の本能というのは、その命が燃え尽きるギリギリまで正解を出し続ける。これは直面して来た人やそれを見て来た人しか知り得ない。
で、余計な口出しだけでなく、ちょっとした技術を持って介助すると、その人はアイスクリームを2個も食べた。咽込みゼロ&誤嚥ゼロ。
しかし、その他の栄養があると力説されているものは口を開けないし、仮に開口しても咽込む。
アイスクリーム2個で摂取カロリー428㎉、タンパク質9.2gを摂取した。
その人はそれをきっかけに肌色がピンク色に戻った。
まだ出会って間もない主任の彼女と、そして食べてくれた本人と一体になって喜んだ。一番頑張ったのは「うまいなあ、うまい、凄くうまい!」と言って食べてくれた本人だった。
SPO2も上昇した。
これは理屈じゃない。栄養学も医学も大切だけど、それを超えたものがこの世にはある。
(多分それは心なのだろうと思っている。)
すぐに酸素を下げるのか?というとそうではない。この流量は継続。
明日もSPO2が良かったらまた考える。
色んなことを皆で考える。
そして、時にはもめる。
どうしてか?というと、その命に価値があるからだ。
思い通りにならないことも多々あるだろう。
でも、その命のプロセスはいつも正しい。
心はいつも正しい。
その人の心を見つめることは、人工呼吸器にもまさる延命法だ。
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