見出し画像

惜別の時 / 二人

私は今の職場へ派遣社員としてやって来て1年が経った。
色んなことがあった。

かつて揉めていた人も居る。
その人たちは当初私のことを「何てやつだ。」と思っていたことだろう。
「普通はこういうふうにする。こういうふうにするのがあたりまえだ。」と言っていたことが今は真っ逆さま。

しかし、一旦やってみれば「こんなに簡単に済むことだったんだ。」と分かってくれて、今や新しく入って来た人たちに「前はね、いちいちここでこういうふうにやっていたんだけどね。Ohzaさんが変えてくれたんだよ。」と自慢げに説明しているのを目にする。若干、絶句してしまう。人って変わるんだなあ。

私はすぐにあきらめる癖があるので、人間関係で「はい?」と思う人がいると、あっさりあきらめてしまう。それは多分自分がダメだと思ったらダメなので、相手もそうだと思い込んでいるからだろう。怠けものなので無駄なことを一切やろうとしない。つまりは媚びない。
ところが、こうも素晴らしき変容ぶりを目にすると『もうちょっとちゃんとしなくちゃなあ。私も歩み寄らなくてはなあ・・・』と思うわけである。ほんとに書いていて偉そうだなあと我ながら嫌気がさす。

「違う、違う。Ohzaさんは変わらないで。」と言ってくれている人が、半年くらい前までは、どーん!と人を突き飛ばすような人だったというのに。

***

出会う人もあればお別れする人も居る。家庭の事情、特に婿・姑事情で故郷に帰らなければならない人あり。
「ここに居る間だけは皆と笑えていました。職場に居るときの方が食欲が出ました。」と言ってくれるので、思わず施設長に相談すると「いくらでも交通費は出すよ。残ってくれるように便宜をはかるよ。Ohzaさんのためだもの。」と手を尽くして下さった。
が、この距離は現実的じゃない。
本人も余計に去り難くなるのであまり強く引き留めるのは止めておいた。

離れなければならないときに、妙に執着するよりも「縁があったらまた会いましょう。縁があればまた一緒に仕事しましょう。」と言う方が良い。門出を祝おう。

***
白猫ブランカは、うちに来て21日。わずかの間に倍くらいの大きさになった。こ、こんなに早く大きくなるもんだったっけ?

いつまでも寝たり遊んだり健やかで居て欲しい。

猫と暮らすのが初めてのKちゃんも、もはやメロメロになっている。
二人は友情のような、兄弟のような、良く分からないけれど、とにかく固い絆で結ばれているようだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?